【DEEP・BLOOD】

六道 屍

第11話

 ルビ振りの無い“何故”は“なぜ”と読みまする

by蓮


         学院



 「誰もいないね」

 そう、妹がボヤく。

 「そうだな」

 そうなのだ。見事に人の気配がしない。何故? ここはここら辺一帯で有数の大学院。そして、有事の際の緊急避難場所に指定されている。人が居ない訳が無い。

 たが、事実どうだろう。ものの見事に人ひとり見かけない。人の気配も無い。

 今一度問おう。何故?


 ✯✯✯✯


 今現在、俺達は目指していた大学にいる。

 まず、正門に辿り着いた。しかし、正門は3m近いバリケード&大量の鎖+南京錠で封鎖もとい封印されていた。

 次に、ぐるりと半周し裏門に到着(無駄面積のせいでシンドい)。しかし、裏門は3m近い~(以下略)。

 そして、更に半周し再び正門に辿り着く。ヤケになり身体強化に物をいわせて大☆跳☆躍(On the 妹)。

 そして、現在に至る。因みにこの学院、何に備えていたのか、馬鹿広い土地面積全てを囲むように2m位の塀もとい壁に囲われ、出入口は裏表の2箇所のみ。次いでに、半周するのに屋根上全力疾走で約1時間半かかる(身体強化有)。

 おお、神よ。何故なにゆえ斯様かような試練を与え給う。マジ☆ブッコロ☆

 おほん。気を取り直して…。

 なんやかんや、学院内に侵入? を果たしたのだが、何故か人の気配がしない。大事なのでもう一度、人の気配がしないのだ。

 基本的に公的機関は緊急避難場所に指定されているし、規模の大きい物は食料等の備蓄もある。市役所や公民館は元より国公立の学院など、言わずもがなである。

 だというのに、人の気配がしないのはおかしいだろう。なんだかんだとこの状況になって早数日、犠牲になった者も多いだろうが、多少頭の働く者ならば直ぐに思いつくだろう。それに、普通に平日だ。学院生と職員が居ない訳が無い。

 もし居ないにしても、この学院を化物が襲い生徒及び職員を殲滅したのなら、そいつ等とその残骸がなきゃおかしい。そして、その前提も、封鎖された出入口やバリケードによって崩れている。

 では、何故人の気配がしない。或いは何処か別に隠れ得る場所があるのか? 俺一人ならば調査に…

 「お兄。」

 妹から声が掛かる。考え込み過ぎた様だ。

 「取り敢えず中入って調べよ?」

 中々に、胆力のある妹だ。

 少し考え、答える。

 「そうだな。流石に様子がおかしいから、気を付けて行こう。」

 そう言って、妹と共に歩き始める。








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