【DEEP・BLOOD】

六道 屍

第8話






         検証



 色々物色して妹の部屋に戻って来た。

 「もしかしてなんだけどさ、お兄ってわたしと同じって言ったら変だけど、同じ事出来るよね?」

 妹が聞いてくる。

 そりゃ、気になるよな。いきなり物を出したり入れたりしてれば誰だって気になる。

 「そこらの確認も兼ねて色々試してみないか? 俺の方も説明するし、考えながら意見出し合えば何か別の使い方あるかもだし。」

 俺では考え付かない事も妹なら考え付くかもだ。なんだかんだ妹は優秀なのだ。羨ましい。

 「うん、分かった。わたしもコレ何なのか分かんないし、お兄と一緒なら大丈夫だよね。色々試そ?」

 かなり乗り気だ。俺が居るからかもしれないが…。普通は怯えるだろ、そこ。

 「じゃ、やるか。まず優からやってみろ。俺はここ3日で色々試したから。」

 俺より妹を優先して色々試す事にする。

 「分かった。って言ってもわたしもちょこっと試したし、たいした事ないよ?」

 そんな事を言いながら両手を出し、その中に氷を作る。

 全然たいした事あると思うんだが…。

 今の一連の行動で分かる事は、

 氷の生成速度が早い

 生成までほぼ一瞬だが、徐々に大きくなる為、氷そのものを作り出している訳では無い。

 恐らく、一定範囲内の温度に干渉出来る。(体感温度が下がった気がする為)

 「どうかな? こんな感じだけど。地味だよ?」

 妹はそんな事をのたまう。自分が何をしているか分かっていない様だ。

 「俺は少し肌寒いが、優は大丈夫か?」

 この能力(?)を使うに当たって最も重要な部分だ。

 「あ、全然気付かなかった。寒くないよ? そういえば、氷の中に居るんだよね。何でだろ? お兄は大丈夫?」

 どうやら平気そうだ。無理をしている感じも無い。これなら平時でも十分使える。

 「俺は問題無い。色々・ ・便利な物があるからな。」

 そんなやり取りをしつつ、互いに能力っぽい物を確認する。そして意見を出し合いながら検証を重ねた。

 「うわっ、夢中になり過ぎた。外暗いよ。」

 外がいつの間にか真っ暗だった。

 「ご飯にしよ? 頭使ったらお腹減っちゃったよ。」

 そういえば俺も腹が減った。何気に朝から何も口にしていない。

 「そうだな、飯にしよう。何がいい?」

 妹の要望を聞きながらあれこれ出す。簡単な食事だが、やっぱり1人より2人。気心の知れた妹との食事は少しだけ温かかった。

 「そういえばさ、お兄って何でわざわざ口に出して能力使うの?」

 食事を摂りながら妹が聞いてくる。

 「使用制限みたいなもんだ。面倒だが仕方がない。それにイメージが固まるし、タイミングも取りやすい。」

 俺の能力(結局そう言う事になった)についてだ。妹はわざわざ口にしなくとも能力が使えるから不思議だったのだろう。

 「何かさ、中二病っぽいよ?」

 かなり痛い所を突いてくる。吐血しそうだ…ゴフッ。

 「っ!? や、やりたくて中二病やってる訳じゃ無いんだよ。仕様なんだよ。しょうが無いだろ。」

 泣きたい。他はどうでも良いが、妹に白い目で見られたら軽く死ねる。

 「ふふっ、何か楽しそうだし、今度からわたしもやーろぉ♪」

 何だか楽しそうだ。俺のSPスピリチュアル・ポイントは赤ゲージなんだが。

 「ねね、技名考えよぅ。お兄どっから名前持ってきてるの? 教えて?」

 妹がじゃれつきながら俺の心を抉りにくる。正直考えたく無い。俺のLPライフは0だ。

 結局俺は、妹が満足するまで技名を考え続けた。もう、やだ。








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