【DEEP・BLOOD】
第6話
片鱗
「聞きたい事がある。」
そう言って、話を切り出す。
「取り敢えず今聴きたい事なんだが…。質問の返答次第でいくつかある。いいか?」
妹の頭を撫でながら問う。
「えぅ? 聞きたいこと? いいよ。何でも聞いて? スリーサイズでも趣味でも何でも教えるよ?」
スリーサイズか。少し気になるが後でにしよう。
「じゃ、聞かせて貰う。」
妹は目を細めて気持ち良さそうに頭を撫でられている。
「家の事なんだが……何で氷漬けになってんだ?」
俺が問うと、妹が固まった。
「何で実家が業務用冷凍庫になっているんだ?」
再度問うと、妹は微妙な顔をして目を逸らす。
「え、えぇっとね? これには、そのぅ、ふ、ふかぁーいわけがぁ~、ありまして……。」
まぁ、大体予想がつくが…。
妹の頬を引っ張ったり伸ばしたりしながら続ける。とても柔らかく癖になりそうだ。
「ふかぁーい訳とはなんなんだ?」
「あぅあぅ、ひひゃいれふ。おりぃ、やめれぇ~。」
とても楽しいが止めてあげよう。だが、またやらせてもらおう。
「で、何があった?」
「うん。えっとね、信じてもらえるかわからないけど、こうなったのは、お兄の最初の電話の後だよ。」
少し不安げに告げる。
「いや、信じるぞ。何かあったんだろ? ゆっくりで良いから話してくれるか?」
信じるも信じないも無い。実際に目で見て、妹はその中で3日間無事に過ごしている。ならば導き出される答えは、言わずもがな、だ。
「ホント!? じゃぁ、えとぉ、お兄の電話の後ね? お兄に言われた通り部屋に篭ってたんだけど……。」
暫く、妹の説明が続く。
詳細は割愛するが纏めると、
曰く、腹が減った為に、俺が来るまで凌ぐ分の食糧を取りに下に降りた。(実家は2階建てで俺と妹が2階を使っている)
曰く、食糧を取りに台所に行ったはいいが、台所にある勝手口から凄い音と共にヤツが侵入。
曰く、ソレを見てアレが再発。気付いたら目の前には氷漬けのヤツ&氷漬けの部屋あった。
という事だった。俺の推測通りなら確定だ。
「………良く、頑張ったな。無事で良かった。」
そう言って、妹を抱き締める。
「お兄が絶対に来てくれるって信じてたから平気だったよ。」
色んな意味で大変だったろうに…。色々試さず真っ直ぐ来れば良かった。
暫くそのまま抱き締め続ける。
10分程抱き続けたが、余り悠長にしていられないので、そろそろ意識を切り替える事にする。
妹を膝に乗せ抱き直しつつ、今後の予定を考える。
「よし。取り敢えず切り替えよう。何時までもこのままだと不味いだろうからな。食糧は残ってるか?」
「持って来たのは食べちゃった。でも、下に行けばまだあると思うよ?」
ならば家の様子を確かめつつ食糧を探して今後の方針を詰めるとしよう。
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