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英雄アステリオス

しげぞうじいさん

第40話 我が最高の臣下よ

 そらうがのこしたことば、それはきっとだいじなことなのだろう。
 だからぼくはそのことばをつたえるためにきたみちをもどる。てきをなぎはらい、この
あしではやくてーせうすにつたえる。
 とちゅうであすてをみかけた。ゆうかんにたたかい、てきをたおしている。
 あすてをせんとうからはずし、うでにだきかかえる。
「アステリオス!離せ!俺は戦うんだ!」
「だめ!そらうがいっていた、このたたかいはかてないって!だからあすてをにがす!」
 あばれるあすてをおさえつけてぼくはてーせうすのもとにいった。

「報告します!ソラウ将軍が敗れたとの情報が入りました!」
「何!?」
 ソラウが敗れただと!?馬鹿な!あいつが負けるなんてありえない。敵はそれほどまで
強いのか!
 失ったものは仕方がない。今は悲しんでいる暇などないのだ。
「ならば俺たちも出るぞ!準備しろ!」
 俺は残った兵士を引き連れて戦闘に向かった。
 歳をとったとは言え、俺の怪力は今だ健在だ。それにアステリオスもいる。俺たち二人
がいればこの戦いは必ず勝てる。
 歩き進んでいると遠くから何かが走って来る影が見えた。
 良く目を凝らして見てみるとそれはアステリオスだった。腕にアステを抱えている。
「アステリオス!」
「てーせうす!」
 俺の元にまで来るとアステを降ろし、俺の前に立った。
「てーせうす、そらうがいっていた。このいくさはかてない、にげろって」
「何?どう言う意味だ?」
「わからない。そのことをてーせうすにつたえてくれって」
 逃げろ、勝てない?
 それだけ敵の力は強いと言う事か?いや、ソラウのことだ。たとえ敵が強くても俺たち
は戦いでは絶対に負けない。
 だとしたら何か……何かあるのか?
 考えている時間が惜しい。
 俺はソラウが残した言葉を無視して前に進んだ。
「てーせうす!そらうがにげろって!」
「だがこのまま逃げればアテ―ナイは滅びる!それだけは避けたい!勝てる可能性が少し
でもあるのなら俺たちはそれにかけるしかないんだ!」
 俺は無理矢理アステリオスを引っ張って前へ走った。
 前に出ていた部隊は壊滅していたのか、戦う音が聞こえなかった。
 残ったのは俺たちだけ。覚悟を決めねば。
 立ち止まり、後ろを向いて味方の兵士たちに必ず勝つぞ、と言い士気を高めた。
 振り返り、前を見ると敵が歩いてくる姿を見た。だが、その前にありえない人物がいた。
 負けたはずのソラウがこちらに向かって歩いてくる。あるはずの左腕がなく、敵を率い
てこちらに歩んでくる。
 ソラウだけではない。俺たちの、アテ―ナイの兵士も敵に混じってこちらに進んでくる。
 なるほど、敵は何か怪しげな術を使って死体を生き返らせ、それを操っているのか。
 そうだとしたら俺たちは……負けたな。
 そのことを実感し、俺は兵士たちに逃げるように言った。避難した国民を連れて他国に
移住しろと。
「しかし、王は!国王様はどうするのですか!?」
「俺はアテ―ナイの王だ。ここで生き、ここで死ぬ。俺にも運命の時がやって来たのだろ
う。……さらばだ。アステを頼む。いずれ理想郷で会おう」
「父上!」
 俺は一人単身で敵に向かって走り進んだ。
 その横でアステリオスが付いてきた。
「アステリオス、お前も逃げろ」
「いやだ。ぼくはてーせうすとずっといる。いきるのもしぬのもずっといっしょだ。そし
てぼくをたおすのはてーせうすだけだよ」
「……悪いな、俺に付き合ってくれて。じゃあ、死にに行くか。もし生きて帰れたらお前
に食いきれないほどの飯をくれてやる」
「ふふ……たのしみだね」
 俺たちは同時に走り、敵陣に突っ込んだ。
 敵は立ち止まり、俺たちを迎え撃つようだ。
 先頭に立っていたソラウが一人走ってきて、残った右腕で剣を構える。
「今まで苦労をかけた。ゆっくり休め」
 俺はソラウの剣をかわし、体を斬った。
 斬られたことで正気を取り戻したのかソラウは俺にこう言った。
「もうしわけありません……王よ。あなたの手足になったのは私の誇りです……では、い
ずれ理想郷で……」
 ソラウの体から噴き出した血が俺の体を赤く染める。
「……よくやってくれた。我が忠実なる臣下よ。お前は俺の、王の命令を守ったのだ。い
ずれ理想郷で会おう」
 倒れたソラウが持っていた剣を持ち、アステリオスと同じ二刀で相手に向かって突進す
る。
 敵の軍勢と衝突し、敵を斬る。
 味方だった者、もしかしたら仲間になれたかもしれない他国の兵士を無心で斬り、前に
進む。
 アステリオスが右にいるお蔭で俺は右からの攻撃を受けずに前に進めた。
 敵を斬り、鎧を破壊し、吹き飛ばし、ただひたすらに前に進む。
 生きた屍と化した者たちを解放する為にただひたすら斬る。

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