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英雄アステリオス

しげぞうじいさん

第31話 結婚、そして王へ

 アリアドネーが国王になってから一年が経過した。
 俺とアステリオスはクレタとアテ―ナイを行き来して、時々アリアドネーに顔を見せに行っている。王としてのアリアドネーはとても強いが、自分の部屋に戻ったアリアドネーは俺に対しては普通の娘のように接してくる。その光景をアステリオスは陰から見ては笑っていた。
 争い事も起きず、安泰の日々を送っていた。
 ある日、俺はアリアドネーに話があるから自分の部屋に来るように言われて、アリアドネーの部屋に行った。
「テーセウス様」
「アリアドネー、どうしたんだ?話なんていつもの場所で言えばいいじゃないか」
「そうですけど……これは……その……」
 体をモジモジさせて顔を真っ赤にさせている。何か恥ずかしいことでも言うつもりなのだろうか。でも、言うのなら早くしてほしい。アステリオスが扉の陰から顔をのぞかせてニヤついているからだ。
「テ、テーセウス様は今気になっておられる方はいますか?」
「気になっている人?……わからん。いつも戦いの俺にはそう言うのには縁遠いからな。だが、俺もアテ―ナイの王子としてそろそろ王になる為の準備をしなくてはな」
「ですよね。……だから……」
 一体何の話がしたいのだ?早く本題に入ってほしい。
 俺が呆れたような顔をすると、アリアドネーは覚悟が決まった顔をして俺の目を見た。
「テーセウス様!私と……結婚してください!」
 ……はい?今なんて?
 聞き間違いだろうか、今結婚と言ったような……
「すまん、良く聞き取れなかった。もう一度言ってくれ」
「ですから、私と結婚してください!」
 聞き間違いではなかった。
 アリアドネーは本気のようだ。これ以上ないぐらい、顔を真っ赤にさせて今にも泣きそうだ。
 その申し出は嬉しい。
 俺はアリアドネーのことが嫌いではない。むしろ好意を持っている。
 だが俺はアテ―ナイの王子だ。クレタの王と結婚だなんてそんなことは出来ない。他の夫候補がいくらでもいる。そんな中俺を選ぶなんて。
 しかし、アリアドネーの一世一代の大決断だ。それを……
「……こんな俺でいいのか?」
「初めて見た時から私はあなたと結ばれる運命だと信じていました。その運命が間違いだとは思いません。だから……私と……」
 俺はアリアドネーの体を抱き寄せて、そして……
 それを見ていたアステリオスは興奮して扉を破壊してしまった。せっかくいい雰囲気だったのに台無しだ。
 翌日、アリアドネーは正式に俺を夫に迎えると言った。
 大勢の人が祝ってくれたが、中には反対する者もいた。アテ―ナイなどと言う弱い国の者と結婚だなんておかしいと。
 その反対を押し切って、俺たちは結婚した。
 俺はクレタの王になった。
 アテ―ナイはしばらく父上に任せるとするか。跡継ぎのことになったらその時考えればいい。
 王になったはいいが、俺は右も左もわからないので、政治のことはアリアドネーに丸投げだった。
 アステリオスは俺がクレタの王になった時に正式にこの国の兵士になった。毎日訓練をして体を鍛えている。それに付き合わされている衛兵たちは実力がついてきたと喜んでいる。

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