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英雄アステリオス

しげぞうじいさん

第25話 薬

それが何日続いた頃だろうか。
 父上の元に急ぎのようでクレタ島の住民がやってきた。
 何の用で来たのだろうか。
 父上に話をした後、俺はそれを聞きに行った。
「……ミーノース王が病気になったとのことだ」
「王が!?どんな病ですか!?」
「わからん。医者に診せてもわからんとのことだ。それにクレタ島の国民も王同じような症状で倒れたとのことだ。もしかしたら未知の感染症かもしれん。何か手助けできることはないかと来たが、生憎この国ではそんな病の治し方はない」
 父上は頭を抱えて悩んでいた。
 この国はクレタ島と同様あまり医学が進んでいない。クレタ島が治せないならこの国でも治せない。
 ミーノース王とその民は病に侵されて死んでしまうだろう。
「ミーノース王の娘はどうなんですか!?」
「アリアドネー王女も同じだそうだ。クレタ島はもう終わりだ。打つ手がない……」
 アリアドネーも同じ病に……
 何とかして助ける方法はないか。
 俺は頭の中で必死に考えた。そして一つだけ思い出した。
 アテ―ナイに来る前に、トロイゼーンで聞いたことがある。東の国にどんな病も治す薬草があると。
 そのことを父上に言ったが、難しい顔をした。
「その話が本当なら今すぐにでも兵を東の国に向かわせる。だが、そんな本当かどうかわからんことで兵を動かして国の守りが浅くなっているところを他国に攻められでもしたらそれこそクレタもアテ―ナイも終わってしまう。簡単には動かせん」
「なら……俺が行って来ます!アステリオスと一緒に!それならいいでしょう!?」
「……止めても無駄だろう。なら行ってこい。その代わり、必ずその薬草を持って帰ることだ」
「はい!」
 俺は急いで部屋に戻り、アステリオスに事情を説明すると身支度を整えた。
 食料、武器、毛布。必要だと思うものは全て袋に詰め込んだ。
 そしてまだ太陽が出ている内に宮殿を、国を出た。
 東へ、東へ。とにかく東へ。
 歩く速度ではダメだ。走る。走る。走る。
 疲れなど知るか。息切れなど知るか。今こうしている間にもクレタ島の国民は苦しんでいる。
 俺の走る速度にアステリオスは簡単についてくる。
 走る間は何も言わない。無心で、走る。
 流石に体力の限界が来た。だが、それでも俺は行かなければいけない。
 空気を求めて体が言う事を聞かなくなって地面に倒れた。
 横にいるアステリオスが心配そうに見つめてくるが、大丈夫だと言って体を休ませる。でも、アステリオスは俺がもう走れないことを感じたのか、俺を背中に乗せて、走った。
 アステリオスが走る速度は速い。馬よりも速い。この速さなら太陽が落ちる前にかなりの距離を進めるだろう。
 暗くなり、流石に走れそうにないので簡単な食事をとり、すぐに寝た。
 そして次の日、また走る。今度は最初からアステリオスの背中に乗せてもらっているので俺の体力は消耗していない。
 アステリオスの体力は底なしなのだろうか。ずっと走り続けている。
 休憩させてやりたいが時間がないのだ。そんな暇はない。
 アステリオスは太陽が顔を出し、隠れるまでずっと走り続けた。

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