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英雄アステリオス

しげぞうじいさん

第20話 手伝い

 それから数日が経ち、アステリオスの服が出来る日がやって来た。
 俺たちはもうアステリオスの姿が慣れた国民たちの間を通って、前の呉服屋に行った。
「店主、いるか?」
「おういらっしゃい。ああ、頼んでいたものね。出来ているよ。それと……そこのデカい人。前はすまなかった!お詫びに色々とサービスしておいたから許してくれ」
「だってさ。よかったな」
「さーびすってなに?」
 店主が頼んでいたものを取っている間に俺はアステリオスにサービスの意味を教えた。
 店主が持って来たのは、本当にデカい服だった。しかも上下二つとも。俺は上の服だけでよかったのだが、サービスはこれだろうか。
 アステリオスに似合うか試しに着せてみた。
「どうだ、アステリオス。気に入ったか?」
「なんか……へんなかんじ。うごきづらいよ」
 アステリオスの服は上等の布で作られた特注品だった。こんなに上等な布、アステリオスの為に使ってくれていいのだろうか。
 でも、これでアステリオスはやっと人らしい格好になった。
「店主、いくらだ?」
「金はいらないよ。ただ、その代わり手伝ってもらいたいものがあるんだが、いいかな?」
 俺たちは何を手伝うのか疑問だった。
 店主が言ったのは怪我の為に使う薬草が足りないのでそれを採ってきてほしいとのことだった。
 俺一人でもいいのだが、アステリオスが自分も行くと言って聞かなかった。だから二人で行くことにした。
 街を出れば、そこはもう安全な場所とは言えない。どこになにがいるのかわからない。緊張感を持って歩いていたが、アステリオスは突然鼻歌を歌いだした。
「それなんの歌だ?」
「わかんない。ちいさいころにきいたきおくがあるだけでよくおぼえていないんだけど、なんだかとてもきもちいいうたなんだ」
 小さい頃と言うのは夢で見たあの親子が歌っていた歌だろうか。だとしたらアステリオスはあのラビリンスに行くまで随分大切に育てられたことだ。だったら何故アステリオスをラビリンスに幽閉などしたのだろうか。確かに頭に角が二本生えている。それ以外はただ体がデカいだけとすさまじい力を持っているだけだ。その二つはあのラビリンスの中で鍛えられたものだろう。子供の時に幽閉する必要はなかったはずだ。
 俺は色々と考えて歩いていた。
「……うす」
 何でだ?
「……せうす」
 何故だ?
「てーせうす!」
 大きな声を耳の近くで言われたので俺は驚いて飛び上がってしまった。
「てーせうす、さっきからよんでいるのにへんじしてくれない。なんだかへん」
「あ、ああ。すまん。ちょっと考え事していたんだ」
「それってあのありあどねーっていうひとのこと?やっぱりすきなんだね」
「だから違うって!俺は……その……」
 ははっとからかって満足したかのように笑う。ちくしょう、アリアドネー、恨むぞ。
 服の中に入れておいた渡された小石を思わず握り潰しそうになる。危ないところだった。
 俺たちが歩き始めて太陽が少し傾いた頃だろうか。話に聞いていた森に到着した。
「これは?」
「これは森って言ってな。木と言う植物が集まって出来る。その広さは小さいところもあれば大きなところもある。迷子になるなよ」
 俺は先に森の中に入って行った。俺の後に続いてアステリオスも森の中に入る。
 この森は木が異様に高く、それに葉の数が多いので昼間だと言うのに、辺りは薄暗い。ここだけ夜が来たみたいだ。
 獣道を通って、薬草が生えている場所を目指す。

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