話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

英雄アステリオス

しげぞうじいさん

第15話 説得

 静かに目を開けた。
 隣では熟睡しているのかアステリオスはまだ寝ている。スース―と寝息を立てながら。
 俺は起こさないように静かに立ち上がり、部屋から出て行った。
 行先は決まっている。
 父上の前だ。
「父上、何故あのようなことをしたのですか?」
「最初はお前がアステリオスに騙されていると本気で信じていた。だが、アステリオスが弱っていくにつれてお前も弱っていくことからもしかして本当なのではないのかと思ってな。あそこまでアステリオスの為にわしに反抗するなど……。確かめたかったのだ」
「あとでアステリオスも来させます。その時に謝ってください」
「……恨んでいるだろうな」
「あいつは負の感情を持っていないのです。だから恨むようなことはしません」
 そうか、と父上が言い、俺は父上から必要な情報だけ聞くと部屋に戻った。
 部屋に戻ってもアステリオスはまだ眠ったままだった。
 ……あの牢での生活がよっぽど苦しく、辛かったんだろうな。瞼を開ける気配さえない。
 アステリオスの頭を優しく撫でてやった。
「……おかあ……さん」
 夢でも見ているのか、それとも俺の手が母親と重なったのかどっちだろう。でも、幸せそうだ。いつか成長したアステリオスの姿をこいつの両親にも見せてやりたいな。その時、こいつはどんな気持ちで接するのだろうか。捨てたから怒っているとか、いや、それとも嬉しくって涙を流すのだろうか。
 アステリオスの呼吸と同じリズムで頭を撫でた。
 時々、角に当たり、起こしてしまったか、と思う時があったが、なんとか大丈夫なようだ。

「英雄アステリオス」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く