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英雄アステリオス

しげぞうじいさん

第8話 星

「あー、疲れた」
 俺は用意された部屋の床に寝転がって休んでいた。
「てーせうす、おつかれだね。だいじょうぶ?」
「人に教えるのがどんなに大変か身に染みたよ。それよりお前は大丈夫か?いくら刃がないからと言って刀で散々斬られただろう?」
「ぼくはだいじょうぶ。あのどうくつのなかにいたときのほうがよっぽどいたかったから」
 アステリオスの体に刻まれている無数の傷は中にいた獣と戦った証なのだろう。こいつは苦労してここまで生き延びてきたのだ。
 俺は自分の疲れを吹き飛ばすようにして起き上がった。
「アステリオス、とりあえず飯を食おう!飯を食って寝たら元気になるさ」
「そうだね。おなかすいた」
 俺は食事を給仕に伝えるとしばらくして食事を運んでもらった。
 今回の飯は魚か。
「これはなに?」
 魚の尻尾を掴んでジロジロと見ている。
「これは魚と言ってな。この国の周りに海って言う巨大な水の溜まりがあるんだ。魚はそこに住んでいて漁師たちが毎日魚を取ってきてくれる。食ったら美味いぞ。生でもいけるし焼いてもいい。自分の好みで食うのが一番なんだが、今日は焼いたまま出てきたからな。このまま丸ごと食え」
 俺の言った通りにアステリオスは魚を一口で食べた。
 バキ、バキ、と口から骨が砕ける音がする。
「かたいけど……おいしいね」
「骨まで食えとは言ってないが……まあ、美味けりゃいいか。どんどん食えよ」
 俺は自分の分の魚を食べた。ほう、この国じゃあ焼くときに何か付けるみたいだな。塩味が効いていて美味い。
 今日の晩餐が終わって俺たちはその部屋で寝ることにした。
「きょうは、そとにでたらだめ?」
「ダメだな。王に言われた。勝手な行動はするなってな。だから今日はこの部屋で我慢してくれ」
「うー」
 文句があるようだが、俺の言葉の通りに従った。
 目を閉じてしばらくしていると布が動く音がする。俺は横を見た。
 アステリオスは空に向かって人差し指で何かを表している。
「アステリオス、何してるんだ?」
「ほしのいちを、かくにんしていた」
 驚いた。こいつはたった二日で星の位置を覚えたのか。こいつの記憶力はすさまじい。
 小刻みに指を動かして何かを呟き、また指を動かす。
「なあ、アステリオス。お前の名前の意味ってな、星の意味もあるんだ。もしかしたらお前は星から産まれたのかもしれないな」
「ほし……から」
 その言葉がどのように伝わったのかわからないが何だか嬉しそうだった。

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