君に私を○○してほしい

しげぞうじいさん

ヤクダテル

 瞼に刺激を感じたので自然に目を開ける。目の前には見知らぬ天井。
 ……ああ、そうか。僕は買われて、この家に来たんだっけ……
 自分に起こった出来事を再確認していると、体の自由が利かないことがわかった。体に力が入らない訳ではない。ただ、『何かで動けない』だけなんだ。
 これが一体何のか確かめる為に、無事な首を動かす。横を見ると、女性が寝ていた。僕がお母さんと呼んでいた人だ。
 そしてその人が何をしているのかと言うと、僕の体に自分の体を巻き付かせている。僕は抱き枕にされているのだ。
 無理に引きはがそうにも力が強くて無理だ。このままでも別に構わないのだが、流石に辛い。何としてでも起きて、僕から離れてもらわないと……
「……お母さん」
 呼んでみることにした。これで起きてくれればいいのだけど……
「ううん……」
 反応はあった。もう一息と言ったところだな。
「お母さん、起きて」
「うーん……あと五分だけ……」
 僕は知っている。大人が言う“あと五分”と言うのは絶対に守らない嘘だと言うことを。
 お母さんは半分寝ているけど、残りの半分を使って僕を遊んでいるに違いない。おもちゃにされること自体に抵抗は無いが、体が動かないと言うのは結構辛い。
「お母さん、起きて。起きてください」
「だからあと五分って言ってるでしょ……おやすみ……」
 本当に五分経ったら起きてくれるのだろうか。不安を抱きながら時間が経つのを待つ。

 数十分後。お母さんは全く起きない。その間、窓から入ってくる太陽の光が僕の顔を照らしているので、顔が熱くなってきた。
 やはり大人の言う“あと五分”は嘘だとはっきりわかった。こういう時に目覚まし時計があればいいのだけど、周りを見渡してみる限り、そんなものはない。
 残された手段は一つだけ。それはお母さんを呼び続けること。
「お母さん! お母さん!」
「だからあと五分って……」
「五分以上経ってますよ! お願いですから起きてください! 苦しいんです!」
 僕の必死に叫びが届いているだろうか。微かな期待を持ちながらお母さんの反応を見る。
「私からしたらまだ二分しか経ってないの……」
 僕の期待は残酷にも打ち砕かれた。
 でもこんなことで諦める僕ではない。必死に呼び続ける。
「お母さん! お母さん! お母さん!」
「うーん……わかったよぉ……起きる……」
 良かった。起きてくれるようだ。これでこの体が伸びた姿勢から解放される。
 お母さんは僕の体から手や足を離していき、ベッドの上で起き上がった。
「おはようございます、お母さん。早速ですが、一つ聞いて良いですか?」
「なぁに……?」
「何で僕のベッドで、僕の隣で寝ていたんですか? 昨日の夜は別々の部屋に行ったはずですけど」
「……え? ノアのベッド……?」
 お母さんが周りをキョロキョロと見回している。まさかとは思うけど、眠ったままこの部屋まで来たのだろうか。それはそれで凄いけど、怖い。
「……本当だ。私の部屋じゃない。……ま、いっか」
 お母さんの中ではオーケーのようだ。まあ、僕もいいんだけど。
「おはよう、ノア。良い朝だね」
「はい。良い天気みたいです。お母さんに抱き着かれて散々太陽の光を浴びていましたから」
「健康でよろしい。じゃ、朝食の用意をしてくるから適当に体をほぐして、着替えたら来なさい」
 ベッドから起き上がったお母さんは若干足元がおぼつかない歩き方で部屋を出て行った。数秒後に壁に何かが当たる音が聞こえたのは気のせいだろうか。
 お母さんの抱き枕と言う呪縛から解放された僕は固まっていた体をほぐす。そうしていると一つ気づいたことがあった。
 ……こんな生活、久しぶりな気がする。
 冷たい床で丸くなって寝ていた奴隷生活。粗末な食事、そして暴力。人間として認められず、人以下の家畜になった僕がこんな朝を迎えることが出来たのは奇跡としか言いようがない。
 そのことを実感すると、嬉しくって、嬉しくって……
「おーい、ノアー!」
 お母さんが呼んでいる。行かなくては。
 横にあった小さなテーブルの上に、僕の服らしきものが置いてあったので、それに着替える。そしてお母さんがいるリビングに向かう。途中、どこにリビングがあったのか忘れてしまったけど、壁を伝って行ったら辿り着いた。
「朝ごはん、出来てるよ。冷めないうちに食べなさい」
 テーブルの上には一つのパンとスクランブルエッグらしきものがお皿の上にあった。
 まだ、これを食べていいのかと思ってしまう。僕なんかがこれを……
「食べないと、私が食べるけど」
「いただきます!」
 急いで席に着き、パンをちぎって口の中に入れる。そしてすぐにフォークでスクランブルエッグを刺し、パンが残っている口の中に入れた。
「行儀が悪い。ちゃんと噛んで飲み込んでから次のものを口に入れなさい」
「美味しいからそうしちゃうんです」
「おや? たった一日で自分の意見を素直に言えるようになって、尚且つ口答えするとは……」
 しまった、やってしまった。
 僕の飼い主であるこの人に逆らうことは罰を受けると言う事。そう考えると体が震え始めた。
 怖い……怖い……
 何をされるのかわからない恐怖で体の震えが止まらない。
 その様子を見ていたお母さんが僕の方に手を伸ばしてきた。反射的に目を瞑る。
「……」
 頭に優しい感じがした。撫でられているようだ。
 安心したので目を開ける。と、額にデコピンを食らった。
「お仕置きはこれで終わり」
 お仕置き……? こんな弱い力のデコピンが……?
 理解が出来なかったので混乱していると、お母さんは椅子に座って、僕に向かって微笑んでくれた。
「自分の意見を言う事は良いことだよ。ただ、今の場合は意見を言うと言うよりただの反抗だ。それは意見じゃない。言い訳だ、口答えだ。……でもね、嬉しいよ。ノアが段々と私に心を開いてくれるのがね」
 本当に、本当に優しい笑顔を僕に向けてくれた。それを見た僕はさっきの自分の発言を反省する。自分がいかに情けない人間かを。そしてお母さんがどんなに心が広い人かを。
 お母さんが見守っている間、僕はゆっくりと、一口ずつ食事を進める。柔らかいパンの弾力。そして少しだけ塩味が効いているスクランブルエッグ。美味しかった。
 ゆっくりと食べていたので時間はかかったが、ちゃんと残さず綺麗に食べた。一欠けらも残さず。
「どう? 卵の味は?」
「美味しかったです。本当に美味しかったです」
「それは良かった。私もノアがいてくれるから料理の腕が上がりそうだ。君がいるだけで本当に嬉しいことだらけだ」
 嬉しいのはこっちの方だ。こんな扱いをしてくれるなんて、夢みたいだ。
 朝食も食べたことだし、僕たちは昨日お母さんが言っていたこの辺りの探索に出かけた。
 昨日、この家に来た時は周りにはほとんど何も無かった。他の家や、建物、人は見かけなかった。田舎の田舎、ド田舎に来ているんだ。
 お母さんは僕を連れながら、家の周りのことを教えてくれた。
 今、目の前に見える畑は全部お母さんの物らしい。そして、極たまに人がやってくるのだと。その人は胡散臭い奴だから注意しなさいって。胡散臭い人が何でこんなところに来るんだろう。不思議だ。
 一通り案内したようなので、僕たちは家の横にある花畑を見ながら日光浴をしている。
「いや~、太陽って素晴らしいね。暖かいし、気持ちいいし、暖かいし、暖かいし」
「暖かいしか言ってませんよ」
「うん、ツッコミご苦労。でも、もうちょっとキレが欲しいな。もっとこう大声で、鋭いのを要求するよ」
 難しい注文だ。鋭いはともかく、今の僕に大声を出すだけの力はない。それはあの生活の中で失われてしまったのだ。取り戻すのにはかなりの時間がかかるだろう。
「それはそうとして、これはお母さんが作ったんですか?」
 僕は花畑を指さした。
「ああ、そうだよ。基本、することが無くてね。暇つぶしに花を育てていたらこれがまあ綺麗に咲いて。気に入ったんで、そのまま続けているんだ。今見ている花は三代目ぐらいかな」
「花っていつも咲いているんじゃないんですか?」
「花も生き物だ。いつかは寿命で死んでいく。けど、その前に花は受粉を言うのを行うんだ。花粉を飛ばして、それが次の命に繋がっていく。そして、花粉を飛ばし終え、寿命を迎えた花は朽ちていき、土の肥料となって、次の命の糧になっていく。その死は決して無駄に終わらない。まあ、寿命なんて環境によって変わるしね。正確な時間はわからない」
 なるほど、一つ勉強になった。
 僕は今まで花はずっと咲き続けているものだと思っていたが、実はそうではない。僕が見ていないところで、花は枯れて、次の花の為に命を授ける。不思議な話だ。
「よく草木って言う言葉があるけど、草と木じゃ全然寿命が違うよ。木は栄養があって、人為的、災害が無ければ何千年と生きるんだ。あそこに生えている木はノアよりずっとずっと年上だよ。ずっと、ここを守っているんだ」
 お母さんが指を刺した場所には沢山の木が生えていた。緑色の葉を持ち、風に吹かれてザワザワと音を鳴らしている。
「命を繋ぐためとは言え、花粉は人間にとっては悪影響なんだよ」
「そうなんですか?」
「花粉症って知ってるかな? くしゃみが止まらなくなったり、目がかゆくなったりしたことは?」
 首を振って「知らない」と答える。
「花粉症と言うのは、人間の体の中に草木の花粉が入ることで体が拒絶反応を起こして追い出そうとしている働きのことを言うんだ」
「体の中に入ったら、人の体の中に草木が生えてくるんじゃないんですか?」
「ハッハッハッハ!」
 突然大笑いし始めた。僕は純粋に疑問に思ったことを言っただけなのに馬鹿にされている。ちょっと悲しい。
「心配しなくても大丈夫だよ。体に入っても草や木は生えてこない。もし生えて来たらそれは驚きだね。歴史に残る大事になるだろうに」
 それなら良かった。体から草や木が生えて来たら僕の体はどうなるのか、不安だったから。
「気持ちがいいので、二度寝していい? ちょっと植物と一緒に光合成しておくわ」
「こうごうせいって?」
「光合成は植物だけが持つ特性だ。空気……原子論を教えなければいけないね。まあ、後で教えてあげるよ。それじゃあ、おやすみ。どっかに行ってもいいけど、迷子にはならないでね」
 お母さんは一人分の椅子に座りながら眠ってしまった。
 なんて無防備に寝ているんだろう。これじゃあ、誰かに襲われでもしたら大変じゃないのかな。
「……」
 そうだ、僕がお母さんを守ってあげよう。食べ物を作ってくれたお礼……とは言えないけど、何かお返しがしたい。今の僕が出来ることは寝ているお母さんの邪魔をしないことだ。このままグッスリと寝かせてあげよう。そして起きたら褒めてもらおう。今から楽しみだな。
 寝ているお母さんの周りをグルグルと周りながら、来るかもしれない敵に備える。
 でも、それは長くは続かなかった。

「もしもーし」
 声をかけられたので反射的に瞼を開ける。そして気づいてしまった。僕は寝ていたことに。
 慌てて起き上がる。地面に横になっていたようだ。空を見ると、外はもう赤く染まっていた。かなり長い間、寝ていたことがわかる。
 でも、それは問題じゃない。問題なのは、お母さんを守ろうとしていたのに、僕も寝てしまったことだ。
 せっかく僕に出来ることをしようとしていたのに……。落ち込んでしまう。
「ん? 何でそんな悲しそうな顔をし……ああ、なるほどね」
 お母さんが僕の頭に手を置いて、撫でてくれた。
「ノアは私を守ろうとしてくれていたんだね。ありがとう、お蔭でグッスリと眠れたよ。グッスリと通り越して永眠するんじゃないかと思ったけどね」
 何も言わなくてもお母さんはわかっていた、わかっていたんだ。だから安心して眠っていたんだ。
 何も言えない僕はそのまま黙って頭を撫でてもらう。とても気持ちがいい。
「しかし、冗談抜きで寝過ぎていたね。もう夕方だ。昼食も食べていないし、お腹、空いているんじゃない?」
 寝起きなのでそこまでお腹は空いていない。と、認識した瞬間に僕のお腹の音が鳴った。
 それを聞いたお母さんは大笑い。もう慣れた。
「ノアのお腹は正直だね。じゃ、家に戻ろうか。何が食べたい?」
 シチュー、と言いそうになったけど、二日連続続けて同じものを作らせるのは可哀そうだと思った。急いで何か、他の物を考える。けど、何も浮かばない。
「リクエストはない?」
「りくえすと?」
「希望するって意味。なかったらちょっと作ってみたいものがあるんだけど、それでいいかな?」
 何を作ってくれるのだろうか。それを聞いてもお母さんは意地悪で適当にはぐらかされた。「出来てからのお楽しみ」って言われて。
 まあ、お楽しみは取っておくものだ。期待が高まる程、嬉しいもの。
 お母さんの手を握って、僕は僕たちの家に戻った。
 家に戻って、お母さんは手を洗って台所に立った。僕も同じ様に真似をする。
「おや? 手伝ってくれるのかな?」
「はい。何か役に立てたらなぁって」
「嬉しいね。でも、今日はノアをビックリさせようと思っているから大丈夫だよ。気持ちだけ受け取っておく」
 役に立てなくて残念だ。だけど、僕をビックリさせるものって一体何なんだろう。楽しみだ。
 料理が出来るまでの間、僕はお風呂に入っておくように言われたので、お風呂に入る。いつの間にお湯を入れたのかわからないけど、お風呂は出来ていた。
 服を脱いで、お風呂に入ろうとしたけど、脱いだ服をどこに置いていいのかわからなかった。お母さんに聞いてみよう。
「あの……」
「ん? なに?」
 お母さんは包丁を動かしながら僕の方を見ないで返事をした。
「服はどこに置けば……」
「ああ、適当に置いておいたらいいよ。適当の本来の意味じゃないけど、まあ、そこら辺に投げ捨てて置いたらいいさ。私が洗濯してあげるよ。だから気にせず、ゆっくり堪能してきたまえ」
 適当って、ただだらける意味じゃないのかな。本来の意味って何なんだろう。
 尽きることのない興味が僕の元気の源だ。教えてもらうのがこんなに嬉しいだなんて。
 言われた通りに、服は浴室の前に置いた。だけど、ぐちゃぐちゃに置いていたのが気になって、慣れない手つきでたたみ直した。これなら良いだろう。
 浴室に入って体を洗う。昨日はお母さんが洗ってくれたけど、今は僕一人だ。久しぶりの一人での入浴。何だか落ち着かないな。
 体を洗い終え、湯船に浸かる。……暖かい。それに気持ちいい。
 お風呂を最初に考えた人は天才かもしれない。水を温めただけで気持ちよくなれるのだから。後でお母さんに聞いてみよう。
 昨日は気にならなかったけど、このお風呂は木で出来ている。それもかなり上等な木だろう。これもお母さんが作ったものなのかな。何でも教えることも出来て、何でも作れる。まるで魔法使いみたいだ。
 僕もお母さんみたいな人になれるだろうか。
 将来何になりたいかと聞かれたら、今の僕は迷わず『お母さんみたいな人』と答える。それぐらい素敵な人だ。
 お風呂に浸かってしばらく時間が経った。どれくらい、正確な時間はわからないけど、長い間ボーとしている。のぼせそうだ。
「もしもーし。大丈夫ー?」
 僕を心配してお母さんが来たようだ。扉を開けて中に入って来た。
「結構長い時間経ったけど、大丈夫? のぼせてない?」
「だ、大丈夫……です……」
 お風呂のお湯の中に体全身を浸ける。僕は子供とは言え、男だ。あまり女の人に裸を見られたくない。昨日は抵抗出来なかったけど、今は一人だから抵抗出来るだろう。
「そんなに浸かってたら体力無くなるよ。適当なところで上がってきなさいね」
「わ、わかりました……」
 お母さんが扉を閉めていく。良かった、裸を見られなかった……
「あ、そうそう」
 お母さんが再び扉を開けて、中に入って来た。何の用だろうか。出来れば早く出て行ってほしい……
「そんなに照れなくてもいいよ。昨日、散々見たし」
 そう言って出て行った。僕は呆然としたままお湯に浸かっていた。恥ずかしさのあまり、頭が爆発しそうだった。

 お風呂から上がり、着替えの服に着替えているといい匂いがしてきた。とても美味しそうな匂いだ。僕のお腹がまた鳴った。
 匂いに釣られてリビングに移動する。
「やっと来たね。ちょうど出来たところだから座りたまえ」
 椅子に座って、何の料理が出てくるのか楽しみに待つ。
それにしてもいい匂いだ。色んなスパイスの匂いがする。これは味も期待できそうだ。
「今日はね、昨日話した東の島国の料理に挑戦してみたんだ。見よう見まねだけど、味は保証するよ」
 お母さんは東の島国にかなり興味を持っているようだ。どんなところなんだろう。僕も一度は行ってみたい。
 お皿に盛りつけて料理が運ばれてきた。それはお米に茶色いシチューのようなものをかけた料理だった。
 見たことも嗅いだこともない匂いだったので、どうやって食べていいのかわからない。そもそもこれは食べ物なのだろうか。お米自体、あまり食べたことがない。あまり美味しいとは思えなかったけど。
「これはカレーライスと言ってね。元々はインドと言う国の料理をイギリスが真似をし、それを東の島国……日本って言うんだけど、それが独自の調理をして、独特の進化を遂げた料理なんだ。私も一度食べたら気にいってね。美味しいことは間違いないよ」
 日本って言うのか。それがどんなに遠くにあるのかわからないけど、日本は凄い料理を作るんだな。まさかこんなシチューみたいなものをお米にかけるなんて。
 スプーンを持って恐る恐るお米と一緒に茶色い液体を掬い、口に運ぶ。
「――ッ!?」
 美味しかった。とても美味しかった。僕の人生の中で三番目に入るぐらい美味しかった。
 程よい辛さ、野菜の味。そしてそれが何ともお米に合う。お米をこんなに美味しく味わうことが出来るなんて信じられない。
 あまりにも美味し過ぎて、手が止まらない。
「こらこら、ゆっくり食べないと喉に詰まるよ」
 そう言われても美味し過ぎる。だから手が止まらない。
 そしてあっという間に完食した。お米一粒残さずに。
「おかわりはいるかな?」
「お願いします!」
 久しぶりに大きな声が出た。僕自身、驚きを隠せない。
「そんなに気にいってくれたのなら作ったかいがあるってものだ。ま、たんとお食べ。お腹を壊さない程度にね」
 お母さんは笑顔で僕からお皿を受け取って、新しいお米とカレーを入れてくれた。
 夢中で食べ続けていると、お腹が満腹になって来た。でも、もっとこれを食べたいと言う欲が出てきている。だけど、お腹が苦しい。
 悔しいけど、ここまでのようだ。最後の一口を食べ、カレーライスを食べ終えた。
「いやはや……まさかこんなに食べるとは思ってなかった……」
 お母さんが驚いた顔をしている。僕は一体何回おかわりしたのだろう。覚えていない。
「まあ、子供は沢山食べて、良く寝て、大きくなるもんだ。あとしばらくすれば私の身長を超えるかもしれないね」
「そうなったら僕はお母さんの役に立てますか?」
「立てる立てる。物凄く役に立つよ。だからいっぱい食べて、沢山寝るんだ。いつか、私に出来ないことをして、私を喜ばせてくれよ?」
 大きく頷いて返事をした。それにお母さんは小さく笑ってくれた。

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