続・普通のコンビニ店員とかなり変わったお客さん達

小夜子

第6話「意味不明」

実はうちのオーナーはコンビニを4店舗所有しています。
その店舗には正社員で実力のある人が店長として勤務しています。
店長たちは雇われではなく、元々バイトとして入って実績を残した元リーダーの人達です。




コンビニはでは自身が所有する店舗数があると、数に応じてお金が貰えるそうす。中には20店舗を持つオーナーさんもいるようです。まあ、オーナー側からすると、そのお金が欲しいが為に実力のある人を店長にしているという所があるでしょうね。




以前、ローソン勤務時代にSV(スーパーバイザー)という本部の人間が偉く、店長が下とありましたが、店舗を数多く持ち、売上も良く結果を出すオーナーとなると立場は逆転。SVの方が立場的に下になってしまうそうで、あまりに何もしないSVを交代させたという噂も聞きました。




筆者は曜日に応じてその4店舗に行きます。今日はN店、今日はS店といった具合に。普通、一箇所で勤務したらずっとその場所で勤務するのが普通ですが、筆者のみ色々な場所に移動して働いています。これは元々S店のオープニングスタッフとして働くために研修中にN店に勤務していたという理由もありますが、一番の理由は人手が少なく、また、筆者が断らなかったのもあり、様々な場所に移動して働くことができる人物となったことです。こんな風に働くのは筆者を含め、2~3人程度しかいません。まあ、オーナー達からすれば言葉は悪いですが、都合の良い駒なのかもしれませんね。でも、お金は貰えるし、移動はそこまで手間ではないので問題なしです。




さて、筆者のメインは酔っぱらいの多い飲み屋街のS店です。
でも、週一ぐらいでN店にも行きます。
こちらは下町という雰囲気たっぷりで頭のおかしい人が多々いる町です。
最近そのお店でこんなことがありました。





「すいません、トイレ貸してください」




若い女の子がそう声をかけてきました。
どうぞ、と返事を返します。
でも、酔っ払っているのか千鳥足。
そして、何を思ったのか財布からカードを取り出しました。




「これでお願いします」




何故か、その女の子はクレジットカードと運転免許証を筆者に渡しました。
そして、トイレに入って行きました。
……なんでカードを渡してきたんだ?
疑問符が浮かびまくりです。
有料のトイレだと思ったのでしょうか。
用を足し、女の子が出てきました。
勿論、すぐにカードは返しました。




「え、いいんですか?」




と、女の子は首を傾げます。
首を傾げる理由がわからない。




「はい、大丈夫ですよ」




と答え、カードを返しました。
女の子は夜の闇に消えていきました。
しばらくすると、彼氏っぽい男の子が来ました。




「あの、あいつ何かしませんでしたか?」




事情を説明すると、ひたすら平謝りして去っていきました。
どうも日常的におかしな行動をしているのかもしれません。
よくわからない出来事でした。

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