転移してのんびり異世界ライフを楽しみます。

深谷シロ

16ページ目「されど僕は騙される」

僕の周りを光が包む。淡い光だ。時折、少しばかり点滅している。そして、光は僕の周りを見境も無く、回り続ける。その数は1、2、3……無数のようだ。


生物神の創造した生物界において、第2位に君臨する四大聖獣ホーリービースト。因みに人族は約70位だ。4体のどれもがレートXに位置して、☆96の危険度を持つ。


僕が契約しているのは、その一体である守護を司る聖獣〈聖・土属性〉のガリメデルスだ。生物神様に転生神様が頼んで契約の許可を得たそうだ。何処までもアフターケアが尽きない神様である。


因みに生物界のランキングにおいて、第1位に位置するは神獣ディヴァインビーストだ。世界を創造した創造神……またの名を絶対神が世界の安定と秩序を保つ為に創り上げた獣だ。絶対神の世界創造後、秩序神がその役目を引き継いだために、現在は神獣ディヴァインビーストは、神界にいるとされている。


第3位には竜族が位置する。竜神を主神とした、真竜、王竜、上級竜、下級竜が存在する。リルもはその1人だ。ワイバーンなどの亜竜は、亜竜族に振り分けられ、第4位に位置している。


では、神様はどうなのか。ランキング外である。神様は生物界のランキングの上位に位置する神界のランキングで振り分けられる。よって神様は生物界のどの生物よりも上位なのである。


閑話休題。契約は長くなかった。光が僕を包んだのはほんの1分ぐらいだろう。その間、殺戮骸骨ジェノサイドスケルトンは身動き一つ取らなかった。〈土属性〉の【鋼鉄線ワイヤー】を張り巡らしているので、動くだけで体がバラバラになるのに。


そうして、契約終了を待つうちにいつの間にか終了していた。契約とは魂に刻むものであり、前の世界での契約書のようなものや口約束ではない。裏切れば死を代償とする。契約は魔法である。【契約コントラクト】。この魔法を使えば契約できる。だが、これは約束ではない・・・・・・。あくまで契約だ。契約の魔法は死神が管理していて、契約違反で死に至る、と言われている。嘘のようだが、真実だ。死神については分からないが。


「終わったぞ。」
「ありがとう……。」


『〈称号:聖獣契約者〉〈称号:生物神に護られし者〉〈守護聖獣の加護〉〈生物神の加護〉を得ました。さらに〈固有スキル:念話テレパシー〉〈特別スキル:守護〉〈特別スキル:聖・土属性〉〈特別スキル:聖・土属性強化〉〈特別スキル:生物の恩恵〉〈特別スキル:意思疎通〉〈特別スキル:??〉を得ました。〈特別スキル:??〉以外のスキルレベルが10になりました。』


……も、盛り沢山だ。まず、テレパシーが使えるだって!?これでリルやエレナとの意思疎通が楽になるじゃないか。新たな魔法の属性を使えるようになったみたいだし……す、すごい。特別スキルの〈??〉が気になるけど仕方が無い。時を待つとしよう。


〈情報〉スキルでさらに分からないスキルを検索してみると、〈守護〉が致命傷の攻撃を100%防ぐスキル。また、その他の攻撃も1/1000にまで威力を下げる。〈生物の恩恵〉は、食事の際に食べた生物の貯めた経験値、スキルを得ることが出来る。まさに恩恵・・だ。〈意思疎通〉は言語を理解しない生物と意思疎通を可能にするスキルらしい。意思疎通するかどうかは両方の合意で可能となる。意外としっかりとしたシステムだね。


「今度こそ終わったかね?」
「ええ、終わりましたよ。」
「戦いを始めよう……という前にここでは君が戦いづらいだろう。場所を変えよう。」


そう言うとガイコツは見事に【鋼鉄線ワイヤー】に少しも当たらずに部屋の外へ出た。そして、僕達には警戒もしていない。これが強者の余裕なのか……。


僕達は背中を見せるガイコツに攻撃を浴びせることもなく、後に従った。ガイコツはアジトの入口には行かなかった。


「ここから入れる……◆◆◆。」


この世界の標準語には無いのだろう。〈翻訳〉が対応しなかった。ガイコツのパスワードを感知した無骨なコンクリートが扉に変化した。僕にはこの魔法の名前が分からないが、隠蔽のようなスキルだろう。そして、その予想は外れていないはずだ。


「さぁ、中に行こうじゃないか。」


ガイコツは再び、僕達に背を向けると歩き出した。相変わらず、後ろを振り向こうとはしない。何故そこまでの余裕が出るのだろうか。僕には理解出来なかった。だが、僕とこのガイコツは種族が違う。価値観や考え方に相違があるだろう。その違いが余裕を生み出す何かとなっているのかもしれない。


「さて……ここだ。ようこそ〈死者の花園〉へ。」


そのガイコツはスキル無しの己の技量で僕達……四大聖獣ホーリービーストすらも欺いたのだった。このガイコツに1人で僕達に太刀打ちできるほどの余裕がなかったのである。見事な話術と僕達の性格を確実に見抜いた洞察力の優れるレートSSの☆78。現在予想危険度が☆80越えの推定レートSSS、殺戮骸骨ジェノサイドスケルトンが敵として立ち塞がったのであった。

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