英雄様の非日常《エクストラオーディナリー》 旧)異世界から帰ってきた英雄
第37話 家族だから
「な………ん……で?」
それはどこまでも白い異空間。
変化も停滞もしない因果も法則も打ち破る部屋。
のはずなのに………。
何故だ。
目の前にいるのは誰だ?
蒼月は散らばった情報を必死でかき集めながら二人に疑問を投げかけた。
「そうりゃ、こんなとこ居たら地球でいくら探しても見つかるわけないよね」
愛月が笑った。
それを見て現状を受け入れた蒼月は一言告げた。
「俺は帰らない」
自分のわがままだと分かっている。
だけど、あの場所には自分の居場所なんてない。
新しいモノが積み上げられているのだ。
「探してほしかったのに?」
小悪魔のような笑みを浮かべた愛月は全てを理解したような口調でそう言った。
その言葉を聞き、イムやツクヨミ。当の本人である蒼月でさえも何を言ってるんだというような顔をしている。
「じゃあ、お兄ちゃんはどうしてイムさんに何も言わなかったの?」
「それは………」
蒼月の言葉が詰まる。
愛月はそれで確信した。
「まだ、言い訳の余地があったけどもうダメだね」
言葉を続ける。
「今は夏休み。一緒に住んでない私にお兄ちゃんが消えたなんてわかるはずもないだからイムさんを残して私が探すようにしたんじゃない?」
「……………うそだろ?」
蒼月は驚いた本当は内心ぐちゃぐちゃで何でイムを置いて来たのか分からなかったが一発で言い当てられてしまった。
それで本心に気づく、だけど。
「お前も俺から離れなきゃいけない時期だし、それで」
御託を並べる。
意味のない単語を羅列する。
「もう1年前にお兄ちゃん離れなんて終わってるよ」
「え? あれ?」
愛月は三年も兄のいない生活を送ってきた。
今は久々に会った兄に甘えたくなったそんな単純な事なのだ。
「でも、俺の居場所なんて」
「蒼月! なんでそんなうじうじしてんだ! 私の好きなお兄ちゃんはもっとピシッとしてカッコよくて頼りになって私を一番に考えてくれて。それで私が大好きだった人のはずだ! だから、だから。
帰ってきてよ」
「愛月、俺は帰ってもいいのか?」
涙を流す妹に問いかける。
「当たり前じゃん。お兄ちゃんの部屋だって残してるよ。流石に掃除とかしてるけど。エッチな本だってそのまんまだし」
「うん。うん? え? ちょっとまって俺のなんだって?」
「だからさ帰ってきてよ」
何ごともなく続ける愛月を見ながら蒼月は愛月に抱きついた。
(おっと、私達は消えましょか)
二人だけの空間が生まれる。
そして、蒼月は泣いた。
家族だから。
家族だから見せられない何かがあったりする。
でも逆に家族だからこそ見せられる何かもある。
年齢も性別も関係なく一緒に泣ける。それが家族。
「お兄ちゃん––––」
愛月はそう言えば自分は言ってなかったなと考え、胸に顔を埋める兄に殺意を覚えながらもただ優しく。
「おかえりなさい!」
それはどこまでも白い異空間。
変化も停滞もしない因果も法則も打ち破る部屋。
のはずなのに………。
何故だ。
目の前にいるのは誰だ?
蒼月は散らばった情報を必死でかき集めながら二人に疑問を投げかけた。
「そうりゃ、こんなとこ居たら地球でいくら探しても見つかるわけないよね」
愛月が笑った。
それを見て現状を受け入れた蒼月は一言告げた。
「俺は帰らない」
自分のわがままだと分かっている。
だけど、あの場所には自分の居場所なんてない。
新しいモノが積み上げられているのだ。
「探してほしかったのに?」
小悪魔のような笑みを浮かべた愛月は全てを理解したような口調でそう言った。
その言葉を聞き、イムやツクヨミ。当の本人である蒼月でさえも何を言ってるんだというような顔をしている。
「じゃあ、お兄ちゃんはどうしてイムさんに何も言わなかったの?」
「それは………」
蒼月の言葉が詰まる。
愛月はそれで確信した。
「まだ、言い訳の余地があったけどもうダメだね」
言葉を続ける。
「今は夏休み。一緒に住んでない私にお兄ちゃんが消えたなんてわかるはずもないだからイムさんを残して私が探すようにしたんじゃない?」
「……………うそだろ?」
蒼月は驚いた本当は内心ぐちゃぐちゃで何でイムを置いて来たのか分からなかったが一発で言い当てられてしまった。
それで本心に気づく、だけど。
「お前も俺から離れなきゃいけない時期だし、それで」
御託を並べる。
意味のない単語を羅列する。
「もう1年前にお兄ちゃん離れなんて終わってるよ」
「え? あれ?」
愛月は三年も兄のいない生活を送ってきた。
今は久々に会った兄に甘えたくなったそんな単純な事なのだ。
「でも、俺の居場所なんて」
「蒼月! なんでそんなうじうじしてんだ! 私の好きなお兄ちゃんはもっとピシッとしてカッコよくて頼りになって私を一番に考えてくれて。それで私が大好きだった人のはずだ! だから、だから。
帰ってきてよ」
「愛月、俺は帰ってもいいのか?」
涙を流す妹に問いかける。
「当たり前じゃん。お兄ちゃんの部屋だって残してるよ。流石に掃除とかしてるけど。エッチな本だってそのまんまだし」
「うん。うん? え? ちょっとまって俺のなんだって?」
「だからさ帰ってきてよ」
何ごともなく続ける愛月を見ながら蒼月は愛月に抱きついた。
(おっと、私達は消えましょか)
二人だけの空間が生まれる。
そして、蒼月は泣いた。
家族だから。
家族だから見せられない何かがあったりする。
でも逆に家族だからこそ見せられる何かもある。
年齢も性別も関係なく一緒に泣ける。それが家族。
「お兄ちゃん––––」
愛月はそう言えば自分は言ってなかったなと考え、胸に顔を埋める兄に殺意を覚えながらもただ優しく。
「おかえりなさい!」
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