異世界の領主も楽じゃない〜うちのメイドは毒舌だけど最強です〜

長人ケッショウ

俺は俺だ

一歩フィールドに近ずくと土臭い匂いが濃ゆく香る
一歩また一歩と歩みを進める度に溜飲が上下する
でも、なぜか心は至って落ち着いていた
薄暗い通路からフィールド前の門に辿り着く
一度歩みを止めて、深く息を吸い込み
瞳を瞑り、ゆっくりと吐き出す
自分の弱音や臆病を追い出す様に力強く
息を出しき切り、重い瞼を開ける

そして一歩踏み出す

カンカンに照りつける太陽が眩しく
観客と太陽とが交わった熱気が俺を包みこむ
刹那、観客の狂気なるまでの声援が熱気を吹き飛ばす

「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」

「まじかよ……」

ボクちゃんちびっちゃいそう…………

相手は俺と同じ位の背丈で褐色肌で短い銀髪の女性だった
俺女性相手に暴力を振るうのかよ……

「両者前に!」

審判に促されるまま動く
しかし、相手は一向にその場を動かない

「オイ、始められないから早くこっち来い」

審判が少し強めに言葉を掛け召集させるが、それも無視

「オイ……」

と言葉を発すると同時に女性の上から火柱が突如として現れ、女性を消し炭と化した
その火柱の後ろから悠然と現れた男は
不敵な笑みを浮かべて、俺を見つめる

「さぁ、始めようじゃないか」

ティンデッヒは勝ち誇った顔で勝利を確信していた



刹那の間の起きた出来事は誰も理解出来ないはずだったが、ティンデッヒが起こしたパフォーマンスは観客の心を虜にした
歓声と拍手が会場を包みティンデッヒはその歓声に一礼してこちらに近づいてきた

「おい、審判早く始めろ」

「は、はい」

動揺を隠せない審判はおどおどしていた

「武器の使用は可能……」

審判は同じ説明を繰り返し行う

「なぁ」

「あ、なんだよ。あぁ、面白い演出だったろ」

「お前今どんな気持ちだ」

「は?何言ってんだ?」

心奥底に押し留めていた怒りが徐々に上昇してきた
奥歯を噛み締め、拳を力強く握って、どうにかして怒りを分散させる
少しでも刺激されたら、この怒りは抑え込めなくなる

「どんな気持ちかって聞いてんだよ」

「あぁ……そうか。そう言う事か……」

静かに睨みつける俺を見て何かを察したティンデッヒは歪んだ笑顔で

「何とも思ってない、所詮道具だ」

「……っ!!!!」

「それでは始め!!」

体の中で何かが切れた音がした
手に魔力を溜め、溜まる途中の魔力をティンデッヒに向ける
手の平の煌々と光輝く魔力が瞬時に大きくなり

「人の命は道具じゃねぇんだよ!!!!」

「なっ……!」

魔力の塊が俺の気持ちと連動して怒りを表し、
特大の魔力を放った

「シュトラート・リヒト!」

集まった魔力は怒りの矛先へと一直線に向かった
ティンデッヒは反抗する間も無く煌々と光る魔力を体に受け、激しい音をたてて吹き飛ぶ

「立て!テメェの腐りきった性根を俺が叩き直してやる!」










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