異世界の領主も楽じゃない〜うちのメイドは毒舌だけど最強です〜

長人ケッショウ

再び皇都へと

冷たく、でも心地良く吹く風は懐かしく1ヶ月前を思い出させる
グリフォン(またの名をポチ)に乗りサードゲームが行われる皇都に向かっていた
昨日は緊張のせいか良く寝る事が出来ず、少々寝不足で不意にあくびが出る


「ハル様お疲れでしょう、睡眠をとられてはどうですか?」

気を効かせたリルは顔は見えないが笑っているように思えた

「良いのか?じゃぁ、お言葉に甘えていいか?」

「はい、到着致しましたら起こしますので」

「あぁ、よろしく」

目を瞑り椅子の背もたれに全体重をかけ楽な姿勢をとり一定のリズムで呼吸をする
まどろむ意識の中、飛行の揺れに心地良さを感じた


頬を何度も突かれている、頬を突く指はひんやりと冷たく気持ちいい

「……ルさま、ハル様、と、到着いたしました」

小さく聞きなれない声に起床を促される
目を開けるとまるで小動物のような雰囲気の彼が俺の顔を覗き込んでいた

「あぁ、おはよう」

「は、はい、おはようございます。ハ、ハル様」

メイド服を身に纏い、腰を折り、手を腹に当てて、丁寧な言葉使いで挨拶をする
慣れない作法にぎこちなさを感じながらも一生懸命にこなしていくうちの2人目のメイドのシオン

シオンが屋敷に盗みに入った後リルが色々と世話をしたせいか、リルを師匠と呼び出し、メイドとして雇うことになった

「なぁシオン、リルは?」

辺りを見回してもあの完璧メイドの金髪美女がいない

「え、えーと、師匠は……その」

「シオン、意思はしっかり伝えないと相手の混乱をまで巻き起こしますよ」

「し、師匠!」

「おはようございます、ハル様」

「あぁ、おはよう」

「では、ポチを獣舎に預けてきます。ハル様はシオンと一緒に宿へお向かい下さい」

「おう、先に行ってる」

ポチから降りて数回頭を撫でる
撫でるたびに目を細め甘えてくるポチはそこいらの小動物よりも愛らしさを感じる
リルに連れられ離れていくと寂しいと言わんばかりに小さく鳴き寄ってくる

「ポチまたな」

最後にとポチの首に手を回し抱きつく
グリフォンの柔らかい毛並みが心地よくいつまでも抱きついて起きたいくらいだった

「クーン」
去り際に手を振りポチとはしばしのお別れ

「ハ、ハル様宿に向かいましょう」

「そうだな、頼むぞシオン」

「は、はい」

皇都にはセリオン(亜人)や人間、他にも様々な人種で溢れかえっていた
街並みはレトロな建物もあれば、和風な建物と様々で正直覚えきれないくらいの種類があった

しばらく皇都を歩き屋敷よりもはるかに大きな宿に到着した
宿はまるで宮殿を思わせるような造りで、ここに泊まると思うと少しセレブになった感じがする
……まぁ、現実俺領主だからセレブだけど


「こ、こちらでございます」

「おー、でっけぇな……」


ビクビクしながらも仕事を全うしたシオンは一仕事終えたようにホッと胸を撫で下ろした

「では、少々お待ちください、僕は今から部屋を確認してまいります」


カウンターでまたビクビクしなきゃいいけど……

そう言って、早足でカウンターへと向かった


それを入り口にあったセレブ感満載のソファーで座って見送った

1ヶ月ぶりの皇都は驚きと興奮の連続で少しだけ楽しかった

でもすぐに歓喜は怒りに変わることになった

あの男に会うまでは……

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