異世界の領主も楽じゃない〜うちのメイドは毒舌だけど最強です〜

長人ケッショウ

災い転じて少女へ

肺に酸素を送る度に緊張までもが肺に流れ込んで来る
張り詰めた空気のせいか体の穴という穴から大量の汗が吹き出てくる

一方で、気配を殺し、慣れた足取りでゆっくりとドアに近づいていくリルは暗殺者そのものだった

ドアが軋む音を立て開く、刹那、リルが一瞬で視界から消えた

驚く間も無く聞き覚えのある金属の擦れる音が屋敷に響く
その音は徐々に俺の元へと近づいて
耳が痛くなりそうな位になっていた金属音は止んだ

そっとドアに近づき廊下を覗こうとした瞬間
轟音と共にすぐ横の壁を吹き飛ばし誰かが飛ばされる

「え、えぇぇ……」


やばい、腰やったかも知んない

「ハル様、ご無事でですか?」

先の戦闘で薄汚れたメイド服をパタパタとはたき、身なりを整え澄ました顔で無事を確認しにきた

「それを聞くなら、俺のいる場所に敵をふっ飛ばさないでくれよ!」

「壁については申し訳ありません」

「いや、俺の心配一切無しかよ!」

「出費が痛いですね」

「笑顔で言う事じゃないけどね!」

満面の笑みで話を誤魔化してくる
もうここまでくれば清々しいくらいだ

「いててて……あちゃー、バレちゃったよー」

「おわっ、まだ意識あるのかよ」

「ハル様、お下がり下さい」

腰を抜かした俺をを庇うように前に立ちまたナイフを構え、さっきとは比べ物にならない殺気を漂わせる

本当にコイツメイドかよ……

視線の約1メートル先の敵は壁の破片や土埃を払いながら立ち上がり刃こぼれした短刀を持つ敵、否少女は麻色の
短パンとシャツを着て、ボサボサの薄紫の短い髪で今にも倒れそうなほど疲労仕切った顔でこちらを見ていた

「あぁ……お腹ぁ……」

バタンと大きな音を立て倒れこむ
……意外と早かったなぁ……

「……」

「……」

2人の間に無駄に長い沈黙が続いた

「どうしいたしましょうか…‥」

「とりあえず、お風呂に入れて、綺麗にしてあげて」

「かしこまりました」

リルは軽々と少女を抱え大浴場へと向かっていった

俺は……うん……立てないんだけど……

リルが戻って来るまで約30分、地面にただ座り込んでいた事は言うまでもない





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