異世界の領主も楽じゃない〜うちのメイドは毒舌だけど最強です〜

長人ケッショウ

皇都

「それでは改めて……ハル様、おはようございます」

お腹に手を当て腰をおり深々とお辞儀をする
流れるように行われた一連の動作は美しいを通り越して優雅だった
顔を上げ見惚れている人に向けてゴミを見る視線さえなければだが……

「あ……えーと、おはよう……ございます」

「では、今日の予定から確認いたします」

そう言うと、胸ポケットからラノベ位の手帳を取り出し予定を読み上げようとした所で手が止まった

「……確認のためお聞きしますが、ハル様はこちらの事を何一つ知らないのですよね?」
「あ、うん」
「わかりました。ちなみにですが、領土戦争も知らないという事ですね?」
「さっき話は聞いたけど、それが何かは知らない」
「なるほど…………それでは実際に見ましょう」
「え、何を……」
「もちろん、領土戦争をです」
「は?」


ー顔を叩くかのようにひんやりと冷たい風が吹く

「おおおおおおおおー!」

「はしゃがないで下さい、見っともないです」

グリフォンに乗り上空100メートルを優雅に飛ぶ
少し陸地よりも寒く感じるが、それ以上に興奮が大きく
寒さや恐怖をそっちのけで移動を楽しんでいた


「はやえええええええーーーー!」

「耳元で叫ばないで下さい、私の耳が汚れます」

「いや、汚れるか!」

「とにかく、そのはしゃぎ様はやめて下さい。はしゃぐなら、一人の時か誰もいない時にして下さい」

「はーい」
リルの説教は右から左流れていった
冷たい風とグリフォンの体温がやけに心地よく、いつのまにか眠ってしまった

「……様、ハル様起きて下さい」

「ふぁーー、あれ、ここは?」

「着きました、皇都ですよ」

欠伸をしながら、辺りを見回す
あれ、狼が立って歩いてる
あの人羽生えてる
あぁ、まだ夢か……いや、んな訳あるか!

「えっ!リル、あれ!」

「何ですか?」

「いや、狼が立って歩いてる!」

「あぁ、初めて見るんでしたね。あれはセリオンですよ」

「セリオン?」

「いわゆる、亜人。私たち人間と似て非なる者達です」

「へぇー。そんな人達もいるのか……」

「では、早く降りて下さい。この子を預けるので」

「え、あぁ!ごめんごめん」

グリフォンから降りるとこちらを見て見かけによら無い可愛い声で鳴いた
何この生き物可愛い!!!
思わずキュンとして頭を優しく撫でると気持ちよさそうに目を細める
こいつ今日からポチって呼ぼう
うん、そうしよう!

「ありがとうな」

「くぁー」

俺の言葉に反応したのか、小さく鳴いて返事をしてくれた

リルはすぐ近くにある小屋にグリフォン又の名をポチを預けて、戻って来た

「では、行きましょうか」

「……おう」

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