世界がゲーム仕様になりました
依頼
白亜と別れた後、のんびり素材売り場に向かっているとアクセサリーを売っている露店を見つけた。
何となく冷やかす程度で見ていこうと思い覗いてみる。
すげ、めちゃくちゃキレイ。
売り子はアクセサリーを作った本人でもあるらしく、新しいのを作りながら時折こちらに目を向けてくる。
「このアクセサリーは君が?」
「あ、はい。全部、私が」
さっきまで俯き加減でよく見えなかった顔が、話しかけたことでよく見えるようになった。
整っている部類に入るのだろう。ここ2日3日ほど、白亜や加耶としか顔を合わせてなかったから基準がおかしくなっている。
「すごいな。めちゃくちゃキレイだ」
ネックレスを1つ手にとって、素直な感想を述べた。
もちろんネックレスだけではなく、他の商品もとてもキレイだ。
「あ、ありがとう、ござい、ます」
これは勘違いする輩がいてもおかしくないな。
今の感想を聞いただけで顔を赤らめて上目遣いに嬉しそうな表情で、尚且つ話し慣れてないようなたどたどしい口調でお礼を言うなんて。おまけに顔も整っていると言っていいはずのレベル。
なんか、危なっかしいな。
「1つ、依頼しても良いか?」
「え!?あ、はい!その、私で、良いんですか?」
「頼んでるのはこっちなんだ。良いに決まってるだろ?で、ネックレスを1つ作って欲しいんだけど」
「えっと、具体的に、どんな、感じで?」
「そう、だな。白。うん、白くて明るい感じで。デザインは君に任せたい」
「わかり、ました!」
「欲しい素材とかあるか?」
「えっと、大丈夫、です。スキルで、ある程度、作れる、から」
「そっか。じゃあ出来上がったら連絡が欲しい」
「あ、じゃあ、フレンド登録」
「ん?ああ、そうだな。そうしようか」
て訳でフレンド登録しました。
えっと、名前は・・・牧野里菜ね。
「それじゃ牧野さん、よろしく」
「あ、はい!ありがとう、ござい、ました」
思わぬところで時間を食ったが、まあ良いだろう。気分的に収穫があった気がするから。
再び素材売り場に向かって歩き出して、目と鼻の先までたどり着いたところで発見してしまった。
あれって、やっぱり生産スキル持ちだよな?素材を求めてるみたいだけど・・・。
よく聞いてみたら、生産スキルを持っているのは良いが、戦闘系スキルが1つもないため素材を集めることができないらしい。
なるほど、それで素材売り場で張り込んで頼み込んでるのか。触らぬ神に祟りなしって事でスルーだな。
「ねぇ、素材余ってない?」
「余ってない」
「お願い!装備を1つ作れるだけで良いの!作った装備はプレゼントするから!」
悪くないか。でも鍛冶屋や仕立て屋でも条件は同じだしな。よく考えればこちらにはあまりメリットが無いじゃないか。
「その剣、耐久力低いんじゃない?」
「・・・分かるのか?」
「うん。何となくだけどね。攻撃力に特化してるみたいね。他の人が共通で持ってるバランスの良い剣は、チュートリアルで貰った物かな?あなたも持ってる?」
チュートリアルの剣を端末から取り出して
「これのことか?」
話を聞いてみることにした。
「そう、それ!組み合わせたら耐久力が上がると思うの!どう?」
「悪いが、この2本は渡せない。その代わり素材を分けるから片手剣を1本頼む。重さはある程度重くていいから耐久力が高くて、最低限このチュートリアルで貰える剣より切れ味がいいもの。出来るか?」
「やる!やるわ!やらせて!素材は何がある?」
「ゴブリンは、関係ないか。コボルトとか赤熊の骨なら余ってる」
「じゃあ、その剣と同じ赤熊の骨を素材に作っても良い?」
「分かった。コボルトの骨も渡しておく。好きな装備を作ってくれ。物次第ではそれも貰うから」
「おー!太っ腹!それじゃ、出来たら連絡するからフレンド登録しようよ!」
「分かった」
短時間で2人の生産スキル持ちに依頼してフレンド登録か。何というか俺らしくないな。さて、名前は・・・緑葉柚木か。
「鍛冶スキル持ちとは思えない名前だな」
「む、気にしてるんだけど?」
「あ、悪い。そんなつもりじゃ無いんだ」
「分かってるよ。それじゃ、ありがとね」
「ああ、よろしく頼む」
そのまま早速作りに行ったのだろう、そそくさとその場を去っていった。
私用で素材使っちまった。まあそれでもまだかなり余ってはいるんだけどさ。
そして、今度こそ素材売り場に行き、残っている素材を全て売った。
まだ使えそうな素材もあったが、必要になればまた取ればいい。
かなりの額になり、5万クルドになった。もちろん4等分され、1人当たり12500クルド端末に入っている筈だ。
換金が終わったことをみんなに伝え、ちゃんと分配されているかの確認も行なった。
無事にみんな収入を得たらしい。
これでひと段落ついたって事で良いよな?何か忘れてる?いや、大丈夫だ。
さて、じゃあどうするか。う〜ん、行けるか分かんないけどあの図書館に行ってみるか。チュートリアルの入口から行けるか確認してみよう。
そんなわけで体育館に向けて出発。
「おい、そこのあんた。黒鉄だろ?」
わーい、面倒ごとの予感だー。・・・ちきしょう。
「そうだけど。何か用?」
「単刀直入に言う。四谷のパーティから抜けろ」「断る」
やっぱり、またその話か。これ以上は付き合ってられないな。とっとと体育館に行こう。
「なら、脅迫を撤回して四谷達を自由にしろ!」
「脅迫なんてしてないから。あんたの聞いた噂は俺の吐いた嘘の事だよ。信じられないなら、雅人に聞けばいい。じゃあな」
「な、待て!」
誰が待つかよ。
流石に本気で面倒なので、走ってその場から去った。
おかげさまでと言うべきか?いや、言いたく無いな。でも思ったより早く辿り着いたな。
早速あの図書館の入口まで行ってみたが、予想通り入れなかった。
予想通りだな。予想通りだけどね?じゃあどうやって行けと?
・・・今は諦めるしか無いか。
今度こそ目的がなくなり、当てもなくフラフラ様変わりした校内を歩いていると、焼き鳥?の露店を見つけたので数本購入。再び、今度は焼き鳥を食べながらフラフラしていると端末が震えた。
今日は通知がよく来るな。
確認すると、牧野からアクセサリーが出来たと連絡が入っていた。
どうせ暇なので、すぐに受け取りに行くことにする。
偶然にも、割と近くを歩いていたらしく牧野の露店にはすぐに辿り着いた。
「あ、どうも。その、待って、ました」
近くまで行くと、こちらに気付き話しかけてくれた。
「早かったな。急いだか?」
「いえ!その、わたし、作るの、好き、だから、その、夢中になって」
「そっか、てことは何も食べてないのか?」
「え?あ、そういえば」
「なら、コレあげる。さっき買ったやつだからまだ冷めてないと思う」
「わぁ、ありがとう!」
この子絶対年下だ!ていうか何か妹みたいで甘やかしたくなる。
夕香にしてやれなかったことを、してあげたくなる。
夢中で焼き鳥を食べている牧野を見て、夕香を思い出した。
昨日昔のことを話したり、色々発見したりして過去のことがすぐ頭をよぎるな。
思わずため息が漏れた。
「あ、の、大丈夫、ですか?」
「え?あーうん。大丈夫。それで、完成したアクセサリーは?」
「これです。どうぞ」
注文通り、白いネックレスだ。少し透明感のある素材を雪の結晶のような形に整えてある。
なるほど、確かに白くて明るい。
露店に並んでるどのアクセサリーよりもキレイだな。いや、そう見えるだけか?まあ良い。満足だ。
「ありがとう。費用は2000クルドでどうだ?」
「え、その、そんなに、貰えません!」
「じゃあ1500クルドな」
拒否権を与える事なく、押し付ける様に渡した。
当然、文句を言われたが早く作ってくれたお礼だとか、満足したからとか、色々理由をつけて納得してもらった。
「じゃあな。ありがとう、また頼むよ」
「ありがとう、ござい、ました!」
お、良い時間になってるな。そろそろ食堂にでも行って昼飯でも食べるか。
何となく冷やかす程度で見ていこうと思い覗いてみる。
すげ、めちゃくちゃキレイ。
売り子はアクセサリーを作った本人でもあるらしく、新しいのを作りながら時折こちらに目を向けてくる。
「このアクセサリーは君が?」
「あ、はい。全部、私が」
さっきまで俯き加減でよく見えなかった顔が、話しかけたことでよく見えるようになった。
整っている部類に入るのだろう。ここ2日3日ほど、白亜や加耶としか顔を合わせてなかったから基準がおかしくなっている。
「すごいな。めちゃくちゃキレイだ」
ネックレスを1つ手にとって、素直な感想を述べた。
もちろんネックレスだけではなく、他の商品もとてもキレイだ。
「あ、ありがとう、ござい、ます」
これは勘違いする輩がいてもおかしくないな。
今の感想を聞いただけで顔を赤らめて上目遣いに嬉しそうな表情で、尚且つ話し慣れてないようなたどたどしい口調でお礼を言うなんて。おまけに顔も整っていると言っていいはずのレベル。
なんか、危なっかしいな。
「1つ、依頼しても良いか?」
「え!?あ、はい!その、私で、良いんですか?」
「頼んでるのはこっちなんだ。良いに決まってるだろ?で、ネックレスを1つ作って欲しいんだけど」
「えっと、具体的に、どんな、感じで?」
「そう、だな。白。うん、白くて明るい感じで。デザインは君に任せたい」
「わかり、ました!」
「欲しい素材とかあるか?」
「えっと、大丈夫、です。スキルで、ある程度、作れる、から」
「そっか。じゃあ出来上がったら連絡が欲しい」
「あ、じゃあ、フレンド登録」
「ん?ああ、そうだな。そうしようか」
て訳でフレンド登録しました。
えっと、名前は・・・牧野里菜ね。
「それじゃ牧野さん、よろしく」
「あ、はい!ありがとう、ござい、ました」
思わぬところで時間を食ったが、まあ良いだろう。気分的に収穫があった気がするから。
再び素材売り場に向かって歩き出して、目と鼻の先までたどり着いたところで発見してしまった。
あれって、やっぱり生産スキル持ちだよな?素材を求めてるみたいだけど・・・。
よく聞いてみたら、生産スキルを持っているのは良いが、戦闘系スキルが1つもないため素材を集めることができないらしい。
なるほど、それで素材売り場で張り込んで頼み込んでるのか。触らぬ神に祟りなしって事でスルーだな。
「ねぇ、素材余ってない?」
「余ってない」
「お願い!装備を1つ作れるだけで良いの!作った装備はプレゼントするから!」
悪くないか。でも鍛冶屋や仕立て屋でも条件は同じだしな。よく考えればこちらにはあまりメリットが無いじゃないか。
「その剣、耐久力低いんじゃない?」
「・・・分かるのか?」
「うん。何となくだけどね。攻撃力に特化してるみたいね。他の人が共通で持ってるバランスの良い剣は、チュートリアルで貰った物かな?あなたも持ってる?」
チュートリアルの剣を端末から取り出して
「これのことか?」
話を聞いてみることにした。
「そう、それ!組み合わせたら耐久力が上がると思うの!どう?」
「悪いが、この2本は渡せない。その代わり素材を分けるから片手剣を1本頼む。重さはある程度重くていいから耐久力が高くて、最低限このチュートリアルで貰える剣より切れ味がいいもの。出来るか?」
「やる!やるわ!やらせて!素材は何がある?」
「ゴブリンは、関係ないか。コボルトとか赤熊の骨なら余ってる」
「じゃあ、その剣と同じ赤熊の骨を素材に作っても良い?」
「分かった。コボルトの骨も渡しておく。好きな装備を作ってくれ。物次第ではそれも貰うから」
「おー!太っ腹!それじゃ、出来たら連絡するからフレンド登録しようよ!」
「分かった」
短時間で2人の生産スキル持ちに依頼してフレンド登録か。何というか俺らしくないな。さて、名前は・・・緑葉柚木か。
「鍛冶スキル持ちとは思えない名前だな」
「む、気にしてるんだけど?」
「あ、悪い。そんなつもりじゃ無いんだ」
「分かってるよ。それじゃ、ありがとね」
「ああ、よろしく頼む」
そのまま早速作りに行ったのだろう、そそくさとその場を去っていった。
私用で素材使っちまった。まあそれでもまだかなり余ってはいるんだけどさ。
そして、今度こそ素材売り場に行き、残っている素材を全て売った。
まだ使えそうな素材もあったが、必要になればまた取ればいい。
かなりの額になり、5万クルドになった。もちろん4等分され、1人当たり12500クルド端末に入っている筈だ。
換金が終わったことをみんなに伝え、ちゃんと分配されているかの確認も行なった。
無事にみんな収入を得たらしい。
これでひと段落ついたって事で良いよな?何か忘れてる?いや、大丈夫だ。
さて、じゃあどうするか。う〜ん、行けるか分かんないけどあの図書館に行ってみるか。チュートリアルの入口から行けるか確認してみよう。
そんなわけで体育館に向けて出発。
「おい、そこのあんた。黒鉄だろ?」
わーい、面倒ごとの予感だー。・・・ちきしょう。
「そうだけど。何か用?」
「単刀直入に言う。四谷のパーティから抜けろ」「断る」
やっぱり、またその話か。これ以上は付き合ってられないな。とっとと体育館に行こう。
「なら、脅迫を撤回して四谷達を自由にしろ!」
「脅迫なんてしてないから。あんたの聞いた噂は俺の吐いた嘘の事だよ。信じられないなら、雅人に聞けばいい。じゃあな」
「な、待て!」
誰が待つかよ。
流石に本気で面倒なので、走ってその場から去った。
おかげさまでと言うべきか?いや、言いたく無いな。でも思ったより早く辿り着いたな。
早速あの図書館の入口まで行ってみたが、予想通り入れなかった。
予想通りだな。予想通りだけどね?じゃあどうやって行けと?
・・・今は諦めるしか無いか。
今度こそ目的がなくなり、当てもなくフラフラ様変わりした校内を歩いていると、焼き鳥?の露店を見つけたので数本購入。再び、今度は焼き鳥を食べながらフラフラしていると端末が震えた。
今日は通知がよく来るな。
確認すると、牧野からアクセサリーが出来たと連絡が入っていた。
どうせ暇なので、すぐに受け取りに行くことにする。
偶然にも、割と近くを歩いていたらしく牧野の露店にはすぐに辿り着いた。
「あ、どうも。その、待って、ました」
近くまで行くと、こちらに気付き話しかけてくれた。
「早かったな。急いだか?」
「いえ!その、わたし、作るの、好き、だから、その、夢中になって」
「そっか、てことは何も食べてないのか?」
「え?あ、そういえば」
「なら、コレあげる。さっき買ったやつだからまだ冷めてないと思う」
「わぁ、ありがとう!」
この子絶対年下だ!ていうか何か妹みたいで甘やかしたくなる。
夕香にしてやれなかったことを、してあげたくなる。
夢中で焼き鳥を食べている牧野を見て、夕香を思い出した。
昨日昔のことを話したり、色々発見したりして過去のことがすぐ頭をよぎるな。
思わずため息が漏れた。
「あ、の、大丈夫、ですか?」
「え?あーうん。大丈夫。それで、完成したアクセサリーは?」
「これです。どうぞ」
注文通り、白いネックレスだ。少し透明感のある素材を雪の結晶のような形に整えてある。
なるほど、確かに白くて明るい。
露店に並んでるどのアクセサリーよりもキレイだな。いや、そう見えるだけか?まあ良い。満足だ。
「ありがとう。費用は2000クルドでどうだ?」
「え、その、そんなに、貰えません!」
「じゃあ1500クルドな」
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