世界がゲーム仕様になりました

矢崎未峻

次は・・・

 それから雅人を3人でいじりながら待つ事30分。
 2人が準備を終えて帰ってきた。
 想像以上に疲れた顔をして。

「何でそんなに疲れてるのか知らないけど、あと30分くらいしたらここを出発するからな〜」

 本当は今すぐ出発したいんだけど、そんな無茶はできないもんな。
 無いとは思うがここらへんに強い奴がいるかもしれないし。無いと思うが。

「そういえば、ここらにかなり強い魔物がいると上の階の人が言っていたから十分に警戒しなよ」

 有るのかよ。

「ありがとうございます。気を付けます。どんなに姿かは聞いてますか?」

「熊らしいよ」

「分かりやすく且つ期待を裏切らないな。首謀者め」

「悠、お前なんか楽しそうだな」

「そうか?いや・・・そうだな、うん。久しぶりにちょっと楽しい」

 何故だろう?このテンプレ展開が面白くなってきたからか?
 それともこの世界が面白いのか?
 何にせよ、いま結論を出さなくていいか。

「熊と言っても、毛は赤くて体長は4メートルほどらしいから、もうただの化け物みたいよ〜」

 シャレにならねぇ・・・。

「ほんと、出くわさないように気を付けます」

「お母さん、話盛ってる?」

「ふふ、ちょっとだけね♪」

 うわぁ、そこだけ聞いたら勘違いする人が現れてもおかしくない雰囲気だ〜。
 じゃなくて

「正確な情報をお願いします」

「ほとんど正確だよ。体長が4メートルじゃなくて3メートルってとこだけ。誤差の範囲だろ?」

 確かに誤差の範囲だな。体感的には4メートルでもおかしくない。

「ありがとうございます。・・・そろそろ行くか」

「黒鉄君、ここまできて別行動って事はないよね?」

「ない。心配しなくても一緒だから」

 さすがに俺はそこまでバカじゃない。
 これ以上勝手やったら白亜に精神的に殺される予感がある。
 てな訳で、このパーティ脱退状態をどうするか考えなければならないんだよな。

「お二人とも色々ありがとうございました。私たちは安全第一で生活しようと思ってるので心配しなくて大丈夫です」

 なんか、加耶に良いとこ持ってかれた気がする。

「俺からの連絡を楽しみに待ってて下さい」

 八つ当たりの意味を込めて雅人をいじっておこう。

「楽しみにしてるよ(わ)」ニコッ

「お父さん、お母さん、いってきます!」

「「いってらっしゃい」」

 こんな感じで何だかんだ長居した白亜家からようやく出発した。
 次は・・・どこだ?

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