世界がゲーム仕様になりました

矢崎未峻

フレンド登録

 全員が落ち着いて、少しだけ話をして緩やかで柔らかい雰囲気になった。
 どうにか落ち着いたのは良かったが、思わぬところで時間がかかったな。
 本来なら今頃はここを出て移動してる最中のはずだったんだけど。

「ところで、出発準備は終わったのかい?」

 ・・・ナイス傑さん!
 そうだよ、それ聞かなきゃいけないんだった!

「・・・終わってない」

 まあ、予想通りだな。盗み聞きしてた時点で準備が進んでる訳ないしな。
 となると、あとどれくらいで終わるのかが気になるところだな。
 場合によっては帰らなきゃならないし。

「あとどれくらいで終わるか分かるか?」

「そ、そんなにかからないと思う。たぶん。・・・ごめんね、すぐ準備してくる!」

「慌てなくて良いよ。ゆっくりで」

 一応そう言ったが、聞こえてたかな?慌てたまま出て行っちゃったよ。
 うーん、まあしょうがない。

「加耶、ついて行ってあげて。大丈夫だと思うけど、念のため」

「ん、分かった」

 こういう時の加耶の面倒見の良さは助かる。
 あー、でもこの面子でこの場がどうにかなるのだろうか?

「四谷君だったわよね?」

「はい。そうですけど、なにか?」

「あなた、さっきの子が好きなのね♪」

 湊さーん!空気が凍りました!もうバッキバキです!!
 あ、やべ。笑いそう。

「え、あ、いや、そんなことないです」

 いやいやいや、明らかに動揺してんじゃねぇか!
 ちょ、傑さん爆笑してる!?いや、分かるけども。

「雅人、動揺し過ぎだ。ば、バレバレ、だぞ。ブハッ!」

「悠てめぇ!笑ってんじゃねぇよー!!」

「良いのかい?ここはそんなに壁が厚くないから聞こえちゃうよ?...ふ、はは」

 セリフ言い切るまでは完璧だったのに結局笑うのかよ!あんた最高だな!

「え、ちょ、勘弁して下さいよ〜」

 その言葉を皮切りに、湊さんまで笑い出し、俺たちがひとしきり笑い終わるまで雅人は顔を赤くしていた。
 しかしまあ、鋭いな。湊さん。

「悪いな雅人。あまりにも直球で本当のことを言うから、ついな」

「なっ!おま、いつから?」

「4年前、かな。それまで自分の事で精一杯だったから」

「初めからかよ!?」「初めだったのかよ!?」

「告白は?しないの?」

「・・・まだ、しないです」

「えー!しなよー!今すぐしなよー!」

「いや、あいつはオレの事、そんな風に見てませんから。良くも悪くも幼馴染なんで」

「え?そんな風に見えなかったよ?むしろあなたの事好きなんじゃないかしら?」

 湊さんの爆弾発言が止まらない!!

「湊、ストップだ。それ以上は本人たちが自分で確かめる事だよ」

「止めるの遅くないですか!?」

「え?だって、このタイミングの方が、面白いだろ?」

 あー、何となく最初に雅人が焦ってた理由が分かった。
 この人達、雅人をとことんイジるんだ。

「で、雅人。いつ告るんだ?」

 それに乗らない手はないよな。普段ノリでも言わないからな。

「ち、近々」

「「「本当に?」」」

「ほ、本当ですよ!」

「言質は取ったね。黒鉄君、本当に告白したのか、そしてどうなったのか、報告待ってるよ」

「了解しました」

 てな訳で端末の連絡先交換、というかフレンド登録しました。
 久々のゲーム感満載の機能だ!

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