世界がゲーム仕様になりました
入れたくない
「君さ、冗談言うにしてももっとマシなこと言いなよ。バカだと思われるよ?」
目がマジなのは分かってるが、冗談ということにして押し切ってやる!
俺は絶対、この子をパーティに入れたくない!
明らかにムッとした顔になり、ただでさえ本気なのにさらに訴えるように真剣な目を向けてくる。
「私は本気だよ。信じてもらえるならバカで良い」
あ、無理だ。
こりゃ冗談だって押し切るには本気だってのが分かりやすすぎる。
「悪かった、悪かったよ。さっきの発言は撤回する。撤回するけど、パーティには入れないよ」
「なんで?」
こいつ、平然と・・・。
いや、待てよ。これはチャンスじゃないか?ここでさっきの話すればブタどもが必死で止めるんじゃね?
そうなればうちに入るのを諦めるはず!
「あのさ、ちゃんと俺の話し聞いてた?うちに入ったら俺がデメリットになるって言ったよね?見殺しとか犠牲とかにする可能性があるってちゃんと言ったはずなんだけど」
「万が一そうするしかない状況なったらそうする可能性があるってだけだよね?そんな確率なんて低いでしょ?」
間違ってはいない。そうだ、間違ってない。けど、そうじゃないだろ。
命はそんな確率で測れるもんじゃないだろ!
「命に関わることなんだから、例え1%でも高い。大丈夫だと思ってんじゃねえよ。そう思ってるから、失うんだよ」
急に怒気を含んだ声で言ったせいか、完全に萎縮してしまっている彼女。
気にしてられない。嫌なことを思い出した。早く落ち着かなきゃいけない。
本来なら、というかいつもなら彼女に一言謝ってフォローの1つでも入れるんだが、今はそんな余裕持ち合わせてない。
後ろで見守っていた雅人に後を任せて教室から出た。
「ちょっと!悠、どこ行くの!?せめて謝ってから」
「加耶、やめろ。今のは白亜さんが悪い」
「でも!」
その後も何か言い合っていたが、やはり余裕がない。
半ば自動操縦で足は屋上に向けて進み出している。
いつしか息は必要以上に荒くなり、それに同期するように足も早くなっていく。
駆け足気味の速度で階段を上って扉を開ける。
「は、ははは。ちくしょ、そうだよな、そうだよ。大丈夫だと思ってたのはどっちだよ。生存率生存率って、確率の話ししてたのはどっちだよ。知ってるだろ。もう、思い知ったろ」
フェンスを掴んで落ち着くために思ったことを口に出して行く。
10分もそうしていたら、かなり落ち着いてきた。
もう少し、もう少しでいつも通りに戻れる。
バンッ!!
かなり勢いよく屋上の扉が開いたので思わず肩をビクッとさせながら振り返る。
するとそこにあったのは白亜 結衣。彼女の姿だった。
なんで、どうしてここに?
それなりに時間は経っているはずだけど来るにしては早すぎるだろ。
それに、なんかすごい急いで来たみたいだし。
一体どうしたんだ?
いや、そんなことより。
「あー、あのさ、さっきはごめんな。急に怒ったりした上、何も言わず出て行って」
彼女は首を横に振って言った。
「違う、悪いのは、私。ごめんね、詳しくは聞いてないけど、昔、その・・・命に関わることがあったって」
「ああ、大切な人の死を見た。すっかりトラウマだ。おかげで自分以外が命を軽く見た発言をしたらこれだ。君は謝らなくていい。悪いのは俺だ」
「それでも、ごめんね。もう、あんな事言わないから」
「まだ、うちに入りたいと思うか?」
「思うよ。だって、黒鉄君が2人のためなら命を捨てるって言った時、守りたいって思っちゃったもん」
「意味わかんねぇよ。なんでそうなった」
「分かんない。でも、思っちゃったんだから仕方ないでしょ?」
「言ったよな。うちに入ったら君は俺に殺されるかもしれないんだぞ?それを守りたいって、バカだろ」
「違うよ。黒鉄君は『君を殺したくない』って言ってた。それと、『これ以上大切な人を増やしたくない』とも言ってた。これって裏を返せば私が入れば私もその大切な人になるかもしれないって事でしょ?」
「それはいま関係ないだろ。論点をずらすなよ」
いやほんと、何言ってんのこの子?全く違う話になってるじゃん。
「関係あるよ。確かに守りたいって思ったのとは関係ないけど、これを言われたから黒鉄君達のパーティがいいって思ったの」
もっと分からなくなった。どういう事だ?
「だって、他のパーティの人達はみんな下心とか、何か裏があったりで本気で私のこと考えてくれてる人なんていなかったから。もちろん、ゼロじゃないよ?何人かはいたけど、その人以外のパーティメンバーに下心持ってる人がいたりしたからパーティ単位では黒鉄君達だけ。特に黒鉄君はちゃんと言葉にもしてくれた。本当に嬉しかった」
なるほど、色々納得した。
まあ確かにあのブタどもの中に下心ないやつは居なかったな。
その中で俺たちは違った、か。
「他の奴らと違うのは当たり前だ。君を勧誘する理由が違ったんだから」
「それでも、嬉しかった」
「やっぱり、君はいい子すぎる。うちに入れるわけにはいかない」
「オレと加耶は白亜さんとパーティ組むのは賛成だからな」
「ていうか、結衣以外と組めるの?」
いつのまに来たんだよ。ていうかどこから聞いてた。
2人は賛成。そして加耶の指摘通りこの子以外と組める気がしない。
そうなると3人でやってかないといけないのか。
それはそれで無理。
「あの、要するに私が死ななきゃいいんだよね?」
「もっかい怒られたいのか?」
「ち、違うよ!?自分の身は自分で守れば、黒鉄君の心配がなくなるかなって・・・」
徐々にフェードアウトしていき落ち込んでしゅんとしてしまった。
雅人と加耶からは非難の目が向けられる。
「悠、お前オレと加耶が生きてれば他はどうでもいいって言ったそうだな」
やべ、バレちった。
目がマジなのは分かってるが、冗談ということにして押し切ってやる!
俺は絶対、この子をパーティに入れたくない!
明らかにムッとした顔になり、ただでさえ本気なのにさらに訴えるように真剣な目を向けてくる。
「私は本気だよ。信じてもらえるならバカで良い」
あ、無理だ。
こりゃ冗談だって押し切るには本気だってのが分かりやすすぎる。
「悪かった、悪かったよ。さっきの発言は撤回する。撤回するけど、パーティには入れないよ」
「なんで?」
こいつ、平然と・・・。
いや、待てよ。これはチャンスじゃないか?ここでさっきの話すればブタどもが必死で止めるんじゃね?
そうなればうちに入るのを諦めるはず!
「あのさ、ちゃんと俺の話し聞いてた?うちに入ったら俺がデメリットになるって言ったよね?見殺しとか犠牲とかにする可能性があるってちゃんと言ったはずなんだけど」
「万が一そうするしかない状況なったらそうする可能性があるってだけだよね?そんな確率なんて低いでしょ?」
間違ってはいない。そうだ、間違ってない。けど、そうじゃないだろ。
命はそんな確率で測れるもんじゃないだろ!
「命に関わることなんだから、例え1%でも高い。大丈夫だと思ってんじゃねえよ。そう思ってるから、失うんだよ」
急に怒気を含んだ声で言ったせいか、完全に萎縮してしまっている彼女。
気にしてられない。嫌なことを思い出した。早く落ち着かなきゃいけない。
本来なら、というかいつもなら彼女に一言謝ってフォローの1つでも入れるんだが、今はそんな余裕持ち合わせてない。
後ろで見守っていた雅人に後を任せて教室から出た。
「ちょっと!悠、どこ行くの!?せめて謝ってから」
「加耶、やめろ。今のは白亜さんが悪い」
「でも!」
その後も何か言い合っていたが、やはり余裕がない。
半ば自動操縦で足は屋上に向けて進み出している。
いつしか息は必要以上に荒くなり、それに同期するように足も早くなっていく。
駆け足気味の速度で階段を上って扉を開ける。
「は、ははは。ちくしょ、そうだよな、そうだよ。大丈夫だと思ってたのはどっちだよ。生存率生存率って、確率の話ししてたのはどっちだよ。知ってるだろ。もう、思い知ったろ」
フェンスを掴んで落ち着くために思ったことを口に出して行く。
10分もそうしていたら、かなり落ち着いてきた。
もう少し、もう少しでいつも通りに戻れる。
バンッ!!
かなり勢いよく屋上の扉が開いたので思わず肩をビクッとさせながら振り返る。
するとそこにあったのは白亜 結衣。彼女の姿だった。
なんで、どうしてここに?
それなりに時間は経っているはずだけど来るにしては早すぎるだろ。
それに、なんかすごい急いで来たみたいだし。
一体どうしたんだ?
いや、そんなことより。
「あー、あのさ、さっきはごめんな。急に怒ったりした上、何も言わず出て行って」
彼女は首を横に振って言った。
「違う、悪いのは、私。ごめんね、詳しくは聞いてないけど、昔、その・・・命に関わることがあったって」
「ああ、大切な人の死を見た。すっかりトラウマだ。おかげで自分以外が命を軽く見た発言をしたらこれだ。君は謝らなくていい。悪いのは俺だ」
「それでも、ごめんね。もう、あんな事言わないから」
「まだ、うちに入りたいと思うか?」
「思うよ。だって、黒鉄君が2人のためなら命を捨てるって言った時、守りたいって思っちゃったもん」
「意味わかんねぇよ。なんでそうなった」
「分かんない。でも、思っちゃったんだから仕方ないでしょ?」
「言ったよな。うちに入ったら君は俺に殺されるかもしれないんだぞ?それを守りたいって、バカだろ」
「違うよ。黒鉄君は『君を殺したくない』って言ってた。それと、『これ以上大切な人を増やしたくない』とも言ってた。これって裏を返せば私が入れば私もその大切な人になるかもしれないって事でしょ?」
「それはいま関係ないだろ。論点をずらすなよ」
いやほんと、何言ってんのこの子?全く違う話になってるじゃん。
「関係あるよ。確かに守りたいって思ったのとは関係ないけど、これを言われたから黒鉄君達のパーティがいいって思ったの」
もっと分からなくなった。どういう事だ?
「だって、他のパーティの人達はみんな下心とか、何か裏があったりで本気で私のこと考えてくれてる人なんていなかったから。もちろん、ゼロじゃないよ?何人かはいたけど、その人以外のパーティメンバーに下心持ってる人がいたりしたからパーティ単位では黒鉄君達だけ。特に黒鉄君はちゃんと言葉にもしてくれた。本当に嬉しかった」
なるほど、色々納得した。
まあ確かにあのブタどもの中に下心ないやつは居なかったな。
その中で俺たちは違った、か。
「他の奴らと違うのは当たり前だ。君を勧誘する理由が違ったんだから」
「それでも、嬉しかった」
「やっぱり、君はいい子すぎる。うちに入れるわけにはいかない」
「オレと加耶は白亜さんとパーティ組むのは賛成だからな」
「ていうか、結衣以外と組めるの?」
いつのまに来たんだよ。ていうかどこから聞いてた。
2人は賛成。そして加耶の指摘通りこの子以外と組める気がしない。
そうなると3人でやってかないといけないのか。
それはそれで無理。
「あの、要するに私が死ななきゃいいんだよね?」
「もっかい怒られたいのか?」
「ち、違うよ!?自分の身は自分で守れば、黒鉄君の心配がなくなるかなって・・・」
徐々にフェードアウトしていき落ち込んでしゅんとしてしまった。
雅人と加耶からは非難の目が向けられる。
「悠、お前オレと加耶が生きてれば他はどうでもいいって言ったそうだな」
やべ、バレちった。
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