突然不死身という最強の能力に目覚めちゃいました

カナブン

学園トーナメント2日目3

「お前は少し下がってろ後は俺がやる!」

疲れきった玲を見て日野が玲の前に出る。

「は?見て分かるだろお前が勝てる相手じゃねぇよ」

「勝てないにしても時間稼ぎくらいは出来る。それにな勝てねぇとは決まってねぇだろ」

日野は両手を前にかざし声を上げた

「死ねーーーー!!!!」

突如ドラゴンが作った炎の壁が2本の柱へと姿を変えドラゴンへと襲いかかる。

「ギギギャャォォォォォォオオオ!!」

その強烈な一撃にドラゴンはかなり悶える。

「流石ドラゴンの出した炎だ悔しいが火力が違うぜ。
これで分かっただろお前なんか居なくても勝てんだよ怪我人は引っ込んでろ足手まといだ」

「分かったよ、でもあんま無茶すんなよ」

日野の遠まわしな「休め」と言う言葉に甘え玲は一旦ドラゴンから距離をとった。
同時にバックに居た生徒達が日野の加勢に次々とドラゴンの前へと出ていった。

「1年だけに良い格好させられねぇな、オメェら行くぞー!!!!!」

「まぁそうだな見てるだけじゃ格好悪いもんな」

「先輩としての立場ないしね」

そして玲の元にも1人の男が近づいてくる。

「アイツら全員でも持って10分だろう、その間に出来る限りの治療はさせてもらう、トドメは頼んだぞ」

男は玲の背中に手を当て治癒能力を発動させた。
その間玲は自分の代わりに戦ってくれている仲間たちを見守る。

「ギギギギャャャャャャャ!」

日野による一撃を受けたドラゴンはかなり荒ぶっており手当たり次第に近くの物を破壊している。
そしてその被害は日野達にも及ぶ、破壊された瓦礫の破片が次々と降ってくるのだ。日野達はそれを避けるので手一杯で全然攻撃に移れない。

「全員一旦距離を取れ!バラバラに戦っても勝てない攻撃と防御分担を分けるぞ」

玲が下がった時一番に声を出した男が全員に指示を出す、よほど人望が厚いのかその場にいた他の生徒達は全員男の指示に従っている。

「流石だな風磨ふうまの奴あんな化け物相手でも全然動じてねぇや」

玲を治療していた男がその光景を見るなり呟いた。

「風磨先輩って何やってる人なんですか?」

風磨という男の事を全く知らなかった玲は男に尋ねた。

「お前アイツのこと知らないなんて珍しいな、風磨は戦闘学科のトップだ、そして前々回のトーナメントの優勝者だよ」

前々回のってことは前回は違かったのか、何かあったのかな?

「前々回ってことは前回のトーナメントは違かったんですか?」

「ああ、前回のはさっき君が倒した奴らが手を組んで初戦でね、だから君には感謝してるんだよアイツらのことぶっ飛ばしてくれてなんだかスッキリしたよ」

男は風磨の事をよほど慕っているのかまるで自分の事のように話している。男だけじゃない今ドラゴンと戦っている奴らもそうだ全員風磨の指示の元嫌な顔するどころかむしろ生き生きとしている。

「風磨先輩ってのはよほど凄い人なんですね、全員が風磨先輩を信頼してる」

「んー凄いって言うのは確かだけどアイツが人気なのはどっちかって言うと性格面なんだよ、君も一回話してみれば分かるよ風磨には人を惹きつける才能があるんだよ」

「人を惹きつける才能ですか・・・・」

「ぐぁぁぁーー!!!」

玲の思考を遮るように悲鳴が上がった、分担分けで防御に回った1人が横たわっている。
均衡が崩れた、。今まで何とか耐えてきた風磨達だったがついに1人がやられてしまった、これではもう今まで通りの戦いは出来ない。

「全員自分の身を守ることだけ考えろ!防御手段のない奴は後退しろ!」

咄嗟に風磨が指示を出した。約半数の生徒がドラゴンから距離を取り、残りのメンバーはひたすら攻撃をガードする。

「まずいな、このまま行くと時期に崩されるぞ、こっちの攻撃が無くなった分相手は攻撃だけに集中してくる、なぁまだ戦えないのか?」

予想より遥かに早く崩れてしまった陣形に玲を治療している男は焦りはじめた。

「すみません、戦えるほどまだ動けないっス、今行っても多分5分持つかどうか」

最後の一撃を放った腕にまだ激しい痛みが残っている。この痛みが消えない限りあの一撃を再度放つことは出来ない、だが逆に言えばこの腕の痛みさえ消えればあのドラゴンを倒す事が出来ると言うことだ。

「先輩腕だけ集中して治す事とか出来ますかね」

「ああそれくらいなら出来るけど、どっちの腕だ」

「お願いします」

玲は腕を出し治療を頼んだ。

「分かったまかせろ」

男もそれに応え出された腕を集中して治療を始めた。

頼むどうにか持ちこたえてくれ。

玲は再び戦闘に目を向けた。
だがこっちが不利なのは変わっていない、もはやいつやられてもおかしくない状況だ。今も1人また1人とドラゴンの攻撃に耐え切れず脱落者が出ている。

「ダメだこのまま行くと回復には到底間に合わないぞ」

玲の治療をしている男にも焦りが出てくる。

「いやそうでも無いかも知れないですよ」

玲はドラゴンの方へ空いている方の手で指をさした。 
そこにはたった2人ドラゴンと戦う者達の姿があった風磨と日野だ。

「おい一年お前防御手段無いなら下がっててもいいんだぞ」

「あんたこそ引っ込んでてもいいんだぜ、時間稼ぎぐらい俺1人でも出来るからな」

「フッ、随分と生意気な一年がいたもんだな、まぁいい足引っ張んなよ!」

「そっちこそ」

2人は同時にドラゴンへと走り出した。襲いかかる腕を交わし確実に一撃ずつダメージを与える。

「凄いなあの2人ドラゴンと同等に戦ってる」

「そうですね、でも先に体力が切れるのは明らかにこっちですよ」

玲でなくても分かる人間とドラゴンではそもそもの身体能力が違いすぎるこのまま戦っていても時期にこっちが動けなくなるのは目に見えている。

「つまりそれまでに君の腕を治せばいいんだろ、急かさなくてもそれくらい分かるよ」

腕の痛みはだいぶ引いてきたがまだ少しかかりそうだ。

「おい!神谷お前まだ戦えないのかよ!」

突如日野が玲に向かい叫び始めたどうやらもう体力に限界が来たみたいだ。

「一年!俺の方もそろそろ限界なんだがまだか!!」

予想以上に早い、いよいよ本気でまずい状況になってしまったようだ。

どうする、時間だけ稼いで全員を逃すか、それとも今だせる一撃に全てを賭けるか、もう迷ってる時間はない。

 玲が決断に迷っているその時、ドラゴンが振った尻尾が2人を捉え壁へと叩きつけた。

「フウマァァァァァーーー!!!」

思わず玲の治療をしている男が声を上げた。
その声に誰もいないはずの玲の隣から返事が返って来た。

「騒ぐんじゃねぇよテツ、俺は無事だもちろん一年もな」

そこには今やられたはずの風磨と日野、そして天堂の姿があった。

「天堂何でお前・・・いや助かったありがとう」

玲は2人の代わりに天堂に礼を言った。

「・・・・いいよアンタには借りがあるし」

昨日の事を思い出したのか天堂は顔を赤らめ小さい声で呟いた。

「そう言ってもらえると助かる、ついでにもう一ついいかな、今すぐアイツの胸元に俺を飛ばしてくれ」

視線をドラゴンに移す、ドラゴンは攻撃対象だった風磨達を見失い近くにいた1グループに向かい進んでいる。

「時間が無い速く!!!」

焦りのあまり玲はつい大声を出した。

「分かった、飛ぶよ」

そう言うと天堂は玲の背中に手を当てた。
次の瞬間ドラゴンの巨体に大きな風穴があき後方へと吹き飛んだ。


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