突然不死身という最強の能力に目覚めちゃいました

カナブン

学園トーナメント2日目

玲の足取りは昨日の「鬼神」というあだ名によりかなり重くなっていた。   
周りからのいつも以上の視線、なぜか怯える生徒達、そしてちらほらと耳に入って来る「鬼神」と言う単語それら全てが玲の足を引っ張っていた。

くそ!このあだ名つけた奴後で絶対突き止めてやるからな、覚悟しとけよ。

玲は心の中で強く決意したのであった。

「神谷くんおはよ!」

そんな玲の背中を凛が挨拶ついでに軽く叩いて来た。
それに対し玲は軽く挨拶を返すと凛は待っていたかの様な勢いで話しかけてきた。

「神谷くん昨日の赤城先輩との戦いほんと凄かったよ・・・・

あんまりの勢いに内容はほとんど入ってこない、そもそも自分の話なんて大して興味も無く玲は凛の話を軽く流しながら教室に向かった。
教室に着き扉を開けると一気にクラスメイトの視線が集まる。正直どこもかしこも居心地が悪い玲はまだ開始には早いが一足先にトーナメント会場である異界へと飛んだ。

「天空城」

天空に浮かぶ巨大な城入り組んだ場内に無数のトラップ理事長の作り出す第2の世界。

「ここが天空城か、少し慎重に進んだ方が良さそうだな」

城内の異様な雰囲気に玲は気持ちを切り替えた。


*     *     *     *


城内を探索し暫くたった頃デバイスからアラームが鳴り再びトーナメントが始まった。
今回のステージは建物内のため昨日みたく遠くから相手を見つけることは出来ない玲は対戦相手を求め城の徘徊を始めた。
建物の大きさもわからない上に自分の居る位置も分からない、分かるのは廊下の窓から見える下に広がる雲海、ここが雲の上にあるということだけだ。
玲はそこから暫く流れて行く雲を見ているとあることを思い付きすぐさま行動に移した。
玲は窓を開け外に出るそして外壁を登り城の頂上を目指す。
城は複雑な格好をしているため意外と登りやすい、玲は器用に外壁から出っ張っている部分に飛び移り上 へと進んでいった。

「とうちゃーく!」

5分もしない内に玲は城の天辺へとたどり着いた。そこから見ると城の形状がよく分かる。てっきり巨大な1つの塔の様な物かと思っていたが実際見てみると全く違う。
確かに玲が登っていた物は巨大な塔だったがそれは1つでは無かった、塔は4つあったのだ。そしてそれらは塀の様な巨大な壁で繋がっいた。その4棟の中心にもまた巨大なドーム型の建物がある、背は低いものの敷地面積は4棟全てを合わせても足りないくらいだ。
4つの塔とそれを繋ぐ壁によって守られているその建物何かがありそうだ。
玲はその建物に向かい塔を降り始めた。


*     *     *     *


一方その頃中央ドーム内部では日野と凛が鉢合わせしていた。

「アンタあんなことやっといてよく堂々とトーナメント出れるわね」

日野を毛嫌いしている凛は出会うなりいきなり日野を口撃していた。

「ウゼェな、テメェにはなんも迷惑かけてねぇだろ!いちいち文句言われる筋合いねぇからな!!ブチ殺すぞこのアマ!!!」

それに対し気の短い日野はかなりの勢いでキレている、今すぐ襲い掛かってもおかしくないくらいだ。
しかし凛の方も全く臆することないむしろそれに張り合うレベルだ。

「最低!全然反省してないじゃんアンタなんか学校辞めればよかったのに」

「テメェが神谷の知り合いじゃなかったらブチのめしてやるのによ!見逃してやるからさっさと消えろ!!」

「はぁ、なにそれアンタなに様のつもり?アンタがどっか行けばいいじゃん」

どちらも一歩も引かず両者が睨み合っているその時、突如建物の天井が崩れひとりの男が降ってきた。

「神谷くん!!」

「神谷お前どうやって・・・・」

あまりに突然の出来に二人は混乱の色を隠せない二人の視線は瞬間的に玲の元へと移った。

「あれ?お前らなにやってんのこんなとこで」

二人の反応に少し遅れて玲は二人に気付いた。

「別になんもねぇよただ移動してただけだよ」

日野は玲を見るなり直ぐにそう言いどこかへ歩いていてしまった。

「なにアイツやっぱ全然反省してないじゃん」

その背中に向かい凛はボソッと呟いた。
玲はそれになにも答えずただ日野の背中を目で追っていた。
日野の背中が見えなくなるころ玲は口を開いた。

「なぁ雨水アイツにそんな当たんないでやってくんないか、アイツがあんな性格になったのは半分くらい俺のせいなんだよ、だからさそんな当たんないでやって欲しいんだ」

玲のその言葉に凛は頷くことしか出来なかった。まるで「お前には関係ない」と一線を引かれた様な気がした。

「ありがと、それよりさこの建物内でなんか変なもの見なかった?なんかこう巨大なゴーレムみたいなの」

さっきまでの真剣な表情から一変玲は普段通りの笑顔です尋ねた。

「変なもの?そういえばさっきなんか物凄くデッカイ石像みたいなのあったけどそれのこと?」 

「多分それ!で、それどこにあったか覚えてる?」

「えっと確かあっちだけど・・・・」

凛は日野が行った方向と逆方向に指を指した。
「ありがと」とそう言って玲は凛の指差す方向へと走って行ってしまった。


*     *     *     *

昨日・トーナメント初日放課後

保健室を後にした玲は荷物を取りに教室に戻ってきた。
教室の扉を開けるともうHRも終わっており教室に人影は無かった。
誰もいない教室に一安心し玲は荷物をまとめ始めた。

「あれ?神谷じゃん、HR居なかったけどなにやってたん?」

突然廊下から声を掛けられ振り返るとそこにはクラスメイトの戸田の姿があった。

「ああ、ちょっと保健室行ってただけ、別になんもないよ」

「ふーん、どっか怪我したの?」

「いや、人を送って来ただけ」

「まぁそうだよな、あの「鬼神」が怪我なんてするわけないよなw」

戸田は冗談めかしに玲をからかってきた。

「あんま茶化すなよ」

玲もそれを笑い混じりに返した。すると戸田は謝りついでにあることを教えてくれた。

「悪い悪い、お詫びにとっておきの情報教えてやるよ。
明日のステージ「天空城」のどっかにさ宝を守るゴーレムが居るらしいんだ、今まで誰も倒せたことが無いみたいでさ、噂によるとゴーレムを倒せたらその宝貰えるらしいんだってさ、どう気になるだろそのお宝」

「それお前が見たいだけだろ」 

「あれ?バレたwでも頼むよ見て見たいんだよその宝ってのを」

戦う気の無い玲に戸田は両手を合わせ頼んでくる。

「まぁ、俺も少し気になるしな、ちょっと戦ってみるかそのゴーレムとやらと」

「マジでありがと!恩にきるわ!」

玲の返答に戸田の表情はパァーッと一気に明るくなった。

「で、そのゴーレムどこ行けば戦えるんかな?」

「それがわかんないんだよね、なんせ今回のステージ広いからさ見つけたやつも自分がどこに居るのかわかんなかったみたいでね」

戸田は頭を掻きながら少し申し訳なさそうな態度になった。

「そっか、俺も探しては見るけどあんま期待すんなよ、そもそも勝てる保証もないしな」

「さすが神谷!お前めっちゃいい奴だな、周りからは怖がられてるみたいだけどw」

「うるせぇ、別にいいんだよそんなんは、印象なんてこれから変えてけばいいんだからな。帰るはじゃあな」

「おうじゃあ明日よろしくな」


*     *     *     *

時間は戻り凛に言われた道を走って居た玲は巨大な石像の元へとたどり着いて居た。

「よかったな、戸田御目当てのもん見つかったぜ」

玲は巨像を前に1人呟いた。

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