ボクの完璧美少女な弟子は変態すぎて手に負えません(笑)
夏休みとは長いようで短いですな(怠)
夏休みももうそろそろ終盤に差し掛かったというところで、ボクは珍しく様々物で散らばった机と向き合っていた。
「はぁー、全く終わりが見えない・・・」
目の前に置いてある分厚い紙の束を手で弄りながら、ボクは深く嘆息していた。
ふと、部屋の隅にある掛け時計に目をやると、時計の針はもう十二時を少し回っていた。
「そんなのハル兄が夏休みの最初からやり始めなかったからでしょ?」
ボクの独り言に反応してきたのは、妹の彩奈だ。
彩奈は開けっ放しにしていたドアから部屋に入り、わざわざボクのためにミルクコーヒーを持ってきてくれた。
「ああ、彩奈。ありがとう」
彩奈は机の上にミルクコーヒーを置いた後、横にあるベットに座り込んだ。
どうやらこの部屋にまだ居座るつもりのようだ。
まあ、その方が寝落ちしないで済んでありがたいのだが、せめてもう少し何かを羽織ってほしいものだ。
今の彩奈が身につけているものといえば、ピンク色で薄地のネグリジェ一枚だけである。
そんな無防備な彩奈に肢体に見惚れていたことに自覚し、ボクはミルクコーヒーをぐいっと飲み干した。
今日も今日とて彩奈が入れてくれたミルクコーヒーはとても美味い。
ボクの好きなように、ぬるめで飲みやすく甘めになっている。
ボクの好みを知ってくれていることを嬉しく思い微笑んでいると、彩奈が話しかけてきた。
「それで?課題は何が残ってるの?」
「まあ、全部・・・かな?」
「えっ?じゃあ今の今まで何やってたの?」
彩奈が細い足をバタバタとさせながら、心底不思議そうに尋ねてきた。
「いやー、こうやって机に座ったのはいいものの、なかなかやる気が出なくてさ」
ついついケータイを見てしまってなかなか課題に手がつけられないことって、よくあることだよね。
「もうっ、そんなことじゃ進級できないよ!」
「そんな心配しなくても大丈夫だよ。多分だけど」
ボクの通っている学校は、それほど難しくもなく簡単でもないといった、学力的には平均的な学校である。
「わかりました。じゃあ今夜は私がハル兄の専属家庭教師になります」
「へっ?なんでそうなるの?」
確かに彩奈はボクと違って成績優秀だが、こんな夜中に何を教えてくれるのだろうか。
「ハル兄!もう口を閉じて集中!」
「は、はい」
鬼教師に見守られながら、少しずつ課題を進めていくボクだった。
それから数十分も経たないうちに後ろから、すうすうと可愛らしい寝息が聞こえてきた。
振り返ると先まで読んでいた雑誌を手に持ちながら、彩奈が眠っていた。
「ふみゅう、ハル兄ぃ・・・」
寝返りを打ち、小さく寝言を言う彩奈を見て頬を緩ませながら、ボクはそっとタオルケットをかけてやった。
そして右肩を小さく回しながら、呟いた。
「よっしゃ、やるかー」
・・・・・・・・・。
いえいえ、もちろん課題をですよ。
と、ボクは頭の中で言い訳をしていた。やはりボクは変態なのかもしれない・・・。
翌朝。彩奈に背中をさすられ、目を覚ました。
「ハル兄。朝だよ、起きて」
「ん、ああ。もう朝か」
口元にだらしなくついたヨダレを手の甲で拭いながら体を起こすと、背中に痛みが走った。
昨晩はいつの間にか机に伏せて寝こけていたので、こうなるのも当然だろう。
「ごめんね、ハル兄。昨日私がベット使っちゃってて」
彩奈が視線を逸らした先にあるベットは、ぐちゃぐちゃだったシーツも綺麗に畳まれていた。
「いやいいよ全然。むしろ掃除してくれてありがとな」
ボクが背中に来る痛みを隠し、立ち上がりながらそう言うと、彩奈は表情を明るくさせて部屋から出て行こうとした。
「ああそうだ。ハル兄、もう朝ごはん出来てるからね」
「うん。すぐ行くよ」
彩奈が部屋を出て言ったのを見計らって、服を着替えていると、ドアがガチャリと開いた。
「・・・どうしたの兄さん?」
ドアから半分だけ顔を出し、無言でこちらの様子を伺っている兄さんに、ボクはジト目を向けながらそう言うと、兄さんは足音を立てながら近ずいてきて、ボクの肩に手を乗せ、珍しく真剣な表情で言った。
「晴人。流石にストライクゾーンが広すぎないか?例えるならそれはもう顔面直撃の危険球くらいだぞ」
「なんのこと?」
急に意味不明のことを口走る兄さんに聞き返すと、兄さんは少し考えてから話し出した。
「ま、俺様は何も見てないからな。昨日の夜晴人の部屋の明かりがついてたからって、決して中を覗いてなんかないからな」
ボクの方から手を下ろし腕を組み頷きながら、諭すように言ってきた。
どうやら彩奈と一緒の部屋にいたことを怪しんでいるようだ。
「いや、何もしてないから。昨日は一人でずっと課題してただけだから!」
「まあ、そう言うことにしていてやるよ」
絶対わかっていないと思うが、ノリがうざい今の兄さんに説明するのも面倒臭いので、ボクはさっさと着替えて食卓へ向かった。
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