チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります
第百三話 勇者と魔王
~オリド視点~
レイロード達が戦争を始める一時間前。
俺とミレイアはレイ達には黙ってこっそり魔王の死体をエリック博士の所に持っていった。
これには訳がある。
実は魔王は死んでいない。それは戦った俺が良く知っている。俺は一度魔王を倒した。だが約一ヵ月後に魔王がまだいるという事が判明した。
そして俺達のパーティーは魔王の長寿の真相について一つの仮説を立てたのだ。
魔王は心臓を複数持っている。もし俺達の仮説が当たっているのなら魔王は約一カ月後に復活するはずだ。
エリック博士には魔王が目を覚ますまでそこに置いてもらう条件に魔王について実験をしてもいいという事で置かせてもらっている。
これをレイ達に話さなかったのは余計な気を遣わせない為だ。
そして戦争が始まる日が約一ヵ月後の丁度今日に俺達は魔王の元にミレイアとジルドと行くことに決定した。
そして魔王に協力を要請する為に。
「行くぞ、ミレイア。ジルドをしっかり持っとけよ」
「分かってるよ。私はそこまで間抜けじゃない」
ジルドはミレイアには懐いているが、俺には全くと言っていいほど懐いてくれなかった。
別に悲しいわけではない。決して違う。今もミレイアに張り付いて俺を緊張気味に見ているからと言って悲しくはない。
.......悲しい。
俺は気を改め、エリック博士の所に向かう。
そして俺はエリック博士の所に行ったのはいいんだが。
「.......なあ。俺の目の前の人物は偽物か?」
「どう見ても本物だろうね」
俺達の目の前にはアドルフ王がいるんだが普通にエリック博士と話している。
「何でこんな所にいるんだ?」
その言葉にアドルフ王は俺達の存在にようやく気付いたようで、
「おお。これはあの時俺の城に攻め込んだエルフじゃないか。お前もこいつに召喚魔法を使ってもらうのか?」
俺ではなくミレイアに話しかけた。
「お前もって事はあんたも何処かにしてもらうのかい?」
「ああ。俺も戦争に参加しようと思ってな」
俺はそんなに驚かなかった。なんせ二代目のアドルフ王もこんな奴だったからだ。俺達はそれ以上に用事を済まさなきゃならない。
「俺達はちょっと用事があるんでな。エリック博士。あいつは目を覚ましたか?」
「いや。まだ目を覚ましては無いよ。もしかしたら生き返ってるかもしれないけど」
俺達は魔王がいるであろう場所に向かうのだが、
「何で付いて来るんだ?」
アドルフ王がひょっこり付いて来ている。
「何だか面白そうだからだ」
戦争はどうした。
そう思いながらもツッコンでいたらキリがなさそうなので止めて魔王の元に向かう。
魔王は暴れだしたら困るので鎖で手足を縛り、牢屋に入れられていた。
魔王は未だ眠ったままだった。だが心臓の音を確認すると、やはり生きていた。
今はただ眠ってるのか。
「おい。これは魔王じゃないのか?」
アドルフ王が当然の疑問を言った。
「ああ。見ての通り魔王だ。それと今から静かにしてくれよ。お前が話すとややこしくなりそうだし、ジルドがお前が話すたんびにビクビクしてんだから」
「それは先程からエルフの後ろに隠れている小僧だな。おい。俺は安全だ。ビクビクするな」
アドルフは上から目線でジルドに向かって言ったがそれが逆効果だったらしく、ジルドはミレイアの後ろに隠れた。
「はははは」
俺はそんな光景が面白くてつい笑ってしまった。だがアドルフは怒った表情で、
「お前。先程から俺に命令したり、笑ったりと何者なんだ?俺が気分が良くなかったら牢獄ものだぞ?」
俺は正体を明かすつもりはなかったがこれ以上は面倒だ。
「俺はオーウェル。勇者だ。お前の親父に言われなかったか?まだ生きてるって」
それにアドルフ王は驚いた表情をし、
「お前が勇者か!聞いてるぞ。ドSで我儘な野郎だが、国を守って貰ったから何か言って来たら仕方なく言うことを聞いてくれと親父が言ってたぞ!」
「あの野郎。そんな風に思ってたのかよ!」
何て奴だ。
「なあ。お前ら時間が無いんだぞ?それにジルドがビビってるから大声で喋ってやるな」
ミレイアに言われて俺達は黙った。
「まるであいつが母親のようだな」
アドルフがそう呟く。
「どっちかと言うと孫と婆さんだがな」
俺がその言葉にツッコムと、
「なんか言ったか?」
「冗談です」
ミレイアの眼がマジだった。
だが本当に俺達には時間が無いのでこの魔王をどうするかだ。
もうめんどくさいので俺は魔王を叩き起こした。
「痛いぞ!」
魔王は眠そうに起きたがすぐに俺達の存在に気付き、
「.......おいおい。これはどんなメンツだよ」
「久しぶりで色々と言いたいことがあるかもしれないが俺達には時間が無い。すぐに本題に入る。単刀直入に言うが俺達に協力して戦争に参加してくれ」
それに対して魔王は即答だった。
「断る。何で俺がお前らなんかに協力しないといけないんだよ。ふざけんな」
確かにその通りだ。そしてその答えも俺達は想定していた。
「だがな。もう戦争が始まっていて、マリーも参加しているんだぞ?助けに行かなくていいのか?」
魔王はそんな言葉に笑顔で、
「そんな手には乗らないぞ。何でマリーの事を知っているのかは知らねえが、マリーが戦争に行くって判断したんだ。それにあいつはそんな簡単にやられるような存在じゃねえ。ていうかここは何処だよ」
魔王はそう言って辺りを見渡して今すぐ出て行きそうだが、俺はまだ話がある。
「本当にマリーは無傷で無事に帰ってくるのか?」
「......どういうことだ」
魔王は辺りを見るのを止め俺だけを見た。
「考えてもみろよ。お前が生きてるって知ってるのは俺達だけだ。それを知らないマリーは戦争に参加したらお前を倒した邪神に何かすると思わないか?」
「俺を倒したのは邪神なのか!?......俺の血を引くやつだ。もしかしたら」
そこで少し魔王に迷いが生じた。俺はそれを逃さないように、
「ミレイア」
「分かってるよ」
ミレイアがジルドを前に出した。
ジルドは魔王を見ても別にビクビクはしなかった。魔王もジルドの存在に気付いたようで、何やらじっくり見て、
「.......なあ。まさかとは思うんだが、こいつって」
魔王は本当に恐る恐る俺に確認してきた。だが俺の答えは決まってる。
「マリーの子供だ。お前の孫だ」
「......俺に孫が。こんなにも可愛い孫が」
魔王は信じられない様子でジルドに近づくが、ジルドは別に怖がっていなかった。
「おかしいな。こいつはいつもビクビクしてる筈なんだが」
俺はちょっと魔王に負けた感があってショックなんだが。
「ああ。それなら理由は明白だ。多分こいつは魔人特有のやつだろうな。魔人にもよるが大抵人族に緊張気味というか酷い奴は嫌悪感を覚える奴がいるんだ。マリーはそれを受け継がなかったけど、こいつはそれを受け継いだんだろうな」
魔王はジルドを抱っこしながら幸せそうな顔をしていた。ジルドも嫌がってない。
だからこそ今言うべきだ。
「今邪神がムー大陸に攻め込んできてるんだ。それをレイやマリー達が守ってる。別に俺達に協力しないでもいい。マリーや孫であるジルドを助けると思って協力してくれないか?」
その言葉に魔王は溜息をついて、
「......ほんとお前ら人族は知恵が回るな。その話に乗ってやる。だが俺は自分の娘と孫の為に戦う。お前らは助けないからな」
「ああ。それだけで十分だ」
ここに犬猿の仲と言われていた勇者と魔王の同盟が結ばれた。
レイロード達が戦争を始める一時間前。
俺とミレイアはレイ達には黙ってこっそり魔王の死体をエリック博士の所に持っていった。
これには訳がある。
実は魔王は死んでいない。それは戦った俺が良く知っている。俺は一度魔王を倒した。だが約一ヵ月後に魔王がまだいるという事が判明した。
そして俺達のパーティーは魔王の長寿の真相について一つの仮説を立てたのだ。
魔王は心臓を複数持っている。もし俺達の仮説が当たっているのなら魔王は約一カ月後に復活するはずだ。
エリック博士には魔王が目を覚ますまでそこに置いてもらう条件に魔王について実験をしてもいいという事で置かせてもらっている。
これをレイ達に話さなかったのは余計な気を遣わせない為だ。
そして戦争が始まる日が約一ヵ月後の丁度今日に俺達は魔王の元にミレイアとジルドと行くことに決定した。
そして魔王に協力を要請する為に。
「行くぞ、ミレイア。ジルドをしっかり持っとけよ」
「分かってるよ。私はそこまで間抜けじゃない」
ジルドはミレイアには懐いているが、俺には全くと言っていいほど懐いてくれなかった。
別に悲しいわけではない。決して違う。今もミレイアに張り付いて俺を緊張気味に見ているからと言って悲しくはない。
.......悲しい。
俺は気を改め、エリック博士の所に向かう。
そして俺はエリック博士の所に行ったのはいいんだが。
「.......なあ。俺の目の前の人物は偽物か?」
「どう見ても本物だろうね」
俺達の目の前にはアドルフ王がいるんだが普通にエリック博士と話している。
「何でこんな所にいるんだ?」
その言葉にアドルフ王は俺達の存在にようやく気付いたようで、
「おお。これはあの時俺の城に攻め込んだエルフじゃないか。お前もこいつに召喚魔法を使ってもらうのか?」
俺ではなくミレイアに話しかけた。
「お前もって事はあんたも何処かにしてもらうのかい?」
「ああ。俺も戦争に参加しようと思ってな」
俺はそんなに驚かなかった。なんせ二代目のアドルフ王もこんな奴だったからだ。俺達はそれ以上に用事を済まさなきゃならない。
「俺達はちょっと用事があるんでな。エリック博士。あいつは目を覚ましたか?」
「いや。まだ目を覚ましては無いよ。もしかしたら生き返ってるかもしれないけど」
俺達は魔王がいるであろう場所に向かうのだが、
「何で付いて来るんだ?」
アドルフ王がひょっこり付いて来ている。
「何だか面白そうだからだ」
戦争はどうした。
そう思いながらもツッコンでいたらキリがなさそうなので止めて魔王の元に向かう。
魔王は暴れだしたら困るので鎖で手足を縛り、牢屋に入れられていた。
魔王は未だ眠ったままだった。だが心臓の音を確認すると、やはり生きていた。
今はただ眠ってるのか。
「おい。これは魔王じゃないのか?」
アドルフ王が当然の疑問を言った。
「ああ。見ての通り魔王だ。それと今から静かにしてくれよ。お前が話すとややこしくなりそうだし、ジルドがお前が話すたんびにビクビクしてんだから」
「それは先程からエルフの後ろに隠れている小僧だな。おい。俺は安全だ。ビクビクするな」
アドルフは上から目線でジルドに向かって言ったがそれが逆効果だったらしく、ジルドはミレイアの後ろに隠れた。
「はははは」
俺はそんな光景が面白くてつい笑ってしまった。だがアドルフは怒った表情で、
「お前。先程から俺に命令したり、笑ったりと何者なんだ?俺が気分が良くなかったら牢獄ものだぞ?」
俺は正体を明かすつもりはなかったがこれ以上は面倒だ。
「俺はオーウェル。勇者だ。お前の親父に言われなかったか?まだ生きてるって」
それにアドルフ王は驚いた表情をし、
「お前が勇者か!聞いてるぞ。ドSで我儘な野郎だが、国を守って貰ったから何か言って来たら仕方なく言うことを聞いてくれと親父が言ってたぞ!」
「あの野郎。そんな風に思ってたのかよ!」
何て奴だ。
「なあ。お前ら時間が無いんだぞ?それにジルドがビビってるから大声で喋ってやるな」
ミレイアに言われて俺達は黙った。
「まるであいつが母親のようだな」
アドルフがそう呟く。
「どっちかと言うと孫と婆さんだがな」
俺がその言葉にツッコムと、
「なんか言ったか?」
「冗談です」
ミレイアの眼がマジだった。
だが本当に俺達には時間が無いのでこの魔王をどうするかだ。
もうめんどくさいので俺は魔王を叩き起こした。
「痛いぞ!」
魔王は眠そうに起きたがすぐに俺達の存在に気付き、
「.......おいおい。これはどんなメンツだよ」
「久しぶりで色々と言いたいことがあるかもしれないが俺達には時間が無い。すぐに本題に入る。単刀直入に言うが俺達に協力して戦争に参加してくれ」
それに対して魔王は即答だった。
「断る。何で俺がお前らなんかに協力しないといけないんだよ。ふざけんな」
確かにその通りだ。そしてその答えも俺達は想定していた。
「だがな。もう戦争が始まっていて、マリーも参加しているんだぞ?助けに行かなくていいのか?」
魔王はそんな言葉に笑顔で、
「そんな手には乗らないぞ。何でマリーの事を知っているのかは知らねえが、マリーが戦争に行くって判断したんだ。それにあいつはそんな簡単にやられるような存在じゃねえ。ていうかここは何処だよ」
魔王はそう言って辺りを見渡して今すぐ出て行きそうだが、俺はまだ話がある。
「本当にマリーは無傷で無事に帰ってくるのか?」
「......どういうことだ」
魔王は辺りを見るのを止め俺だけを見た。
「考えてもみろよ。お前が生きてるって知ってるのは俺達だけだ。それを知らないマリーは戦争に参加したらお前を倒した邪神に何かすると思わないか?」
「俺を倒したのは邪神なのか!?......俺の血を引くやつだ。もしかしたら」
そこで少し魔王に迷いが生じた。俺はそれを逃さないように、
「ミレイア」
「分かってるよ」
ミレイアがジルドを前に出した。
ジルドは魔王を見ても別にビクビクはしなかった。魔王もジルドの存在に気付いたようで、何やらじっくり見て、
「.......なあ。まさかとは思うんだが、こいつって」
魔王は本当に恐る恐る俺に確認してきた。だが俺の答えは決まってる。
「マリーの子供だ。お前の孫だ」
「......俺に孫が。こんなにも可愛い孫が」
魔王は信じられない様子でジルドに近づくが、ジルドは別に怖がっていなかった。
「おかしいな。こいつはいつもビクビクしてる筈なんだが」
俺はちょっと魔王に負けた感があってショックなんだが。
「ああ。それなら理由は明白だ。多分こいつは魔人特有のやつだろうな。魔人にもよるが大抵人族に緊張気味というか酷い奴は嫌悪感を覚える奴がいるんだ。マリーはそれを受け継がなかったけど、こいつはそれを受け継いだんだろうな」
魔王はジルドを抱っこしながら幸せそうな顔をしていた。ジルドも嫌がってない。
だからこそ今言うべきだ。
「今邪神がムー大陸に攻め込んできてるんだ。それをレイやマリー達が守ってる。別に俺達に協力しないでもいい。マリーや孫であるジルドを助けると思って協力してくれないか?」
その言葉に魔王は溜息をついて、
「......ほんとお前ら人族は知恵が回るな。その話に乗ってやる。だが俺は自分の娘と孫の為に戦う。お前らは助けないからな」
「ああ。それだけで十分だ」
ここに犬猿の仲と言われていた勇者と魔王の同盟が結ばれた。
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