チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第五十九話 約束

 俺は校長に勝ってから、早速すぐにムー大陸に行ける方法を知っている人に紹介すると言われたが、明日にして貰った。

 俺には、今日やるべき事が二つある。

 一つ目は、マリーとシアの事だ。

 俺はそれを済ませる為に、家に戻る。

 「ただいま」

 俺がそう言って家に入ると、レイシアが俺に突撃してきた。

 だが、子供なのでそんなに痛いわけではない。

 「おかえりなさい」

 無邪気な笑顔でそう言う。

 後ろでは、ジルドがひょっこり顔を出して俺を見ている。

 「おかえりなさい」

 そう言って、また家の中に戻った。

 「きょうはごちそうだって」

 レイシアは、笑顔ではしゃぎながら言う。

 こいつら二人は真逆だよな。

 俺はそう思わずにはいられなかった。

 レイシアが俺を引っ張りながら、リビングに連れて行く。

 そこにはご馳走が並んでいた。

 しかも俺の好きなものだらけだ。

 そこには一足先に帰った、シアが料理を作っている。

 「おかえりなさい」

 シアはこの六年間で随分と変わった。

 子供が出来てから、大人の女性になったのは勘違いではないと思う。

 シアは卒業してから、俺の家に住むようになった。

 それからシアだけずるいとなり、マリーも住むようになった。

 一緒に住むようになって我慢できなくなり、子供が生まれてしまった。

 「ただいま」

 俺はそう言ってリビングの椅子に座る。

 「シア。マリーが帰ってきてから大事な話があるから」

 俺は、一応伝えておいた。

 「?分かった」

 少し不思議そうな顔をしたが、何とか納得したようだ。

 マリーが帰ってくるまで、俺は暇だったのでレイシアと庭で遊んだ。

 ジルドはタマとマリーにしか心を何故か許していない。

 俺とシアの事を嫌っているのではないが、緊張しているような感じだ。

 今は自分の部屋で本を読んでいる。

 まるで、前世の俺の血を受け継いでいるようだ。

 ただ俺とレイシアが遊んでいると、偶にひょこっと顔を出す。

 今回もひょこっと顔を出して、俺達の様子を見ている。

 「一緒に遊ぶか?」

 俺がそう言うと、ジルドは首を横にふる。

 それからも俺達が遊ぶのを見ているのだ。

 だけど、今回は違う。

 俺と校長が戦う姿をキラキラとみていたから、多分魔法に憧れているのかもしれない。

 「ジルド。今日俺が使ったような魔法を教えてあげようか?」

 俺はそう言いながら火魔法の初級を見せてあげる。

 「ずるい!わたしにもおしえて!」

 レイシアがそう言いながら、俺の服を引っ張てくる。

 マリーとシアには、家で使われたら困るから教えるなと言われたが、ジルドと仲良くなる為だ。大丈夫だろう。

 俺はそう思い、ジルドに見せびらかすように、火魔法を唱え続ける。

 すると、ジルドが出てきた。

 ......何か、魚を釣っている気分だ。

 俺はそう思いながらも続けると、

 「おしえて」

 ジルドがちょっと目をキラキラさせながら言った。

 「よし!じゃあ二人に教えてあげるぞ!」

 それからジルドが俺を尊敬して懐いてもらう為に教えた。

 ジルドは案外上手くできないようで、ちょっと初級を使うのに時間がかかった。

 だがレイシアは何故か、無詠唱で中級を使ってしまった。

 「何でそんなにも出来るんだ?」

 俺はちょっと不思議に思って聞いてみた。

 「なんか勝手にでてくるの!」

 ちょっと何が言いたいのかが分からないが、レイシアは才能があるのかもしれない。

 俺は二人を撫でながら、もっと魔法を教えてあげようと思ったのだが、

 「何やってるの?」

 俺は、その声が怒っている声なのがすぐに分かった。

 その声に二人も怒られると分かったのだろう。

 こっそり逃げようとしている。

 「あんた達、何処に行こうとしてるの?」

 マリーは、俺の後ろにいる子供たちにも気付いているようだった。

 ......逃げようとするからだ。

 「「おとうさんがおしえてくれるっていったから」」

 二人は口を揃えて俺を裏切った。

 お前ら!自分だけ助かろうとしやがって!

 俺は心の中で悪態をつきながらも二人を攻めきれない親父だった。

 レイシアは完全に自分から教えて欲しいと言った筈なんだけどな。

 俺はそう思いながら後ろを振り向くと、マリーだけじゃなくシアもいた。

 「何をしているの?」

 口が笑っているのに、目が笑っていない。

 マリーに関しては、怒っている表情を隠そうともしていない。

 やばい。二人が怒ると半端じゃないぐらい怖い。

 俺は、この六年で改めて知った。

 以前、俺が可愛い子がいたので、二人とのデート中でもありながら、見てしまっていると、半端じゃないぐらい怖かった。

 それから一週間は口を聞いてくれなくて、ココとロロしか話してくれなかった。

 あの時の表情にとても似ている。

 「.....いやー。これには深い事情が.....」

 俺は何とかもう口をきいてもらえないのは勘弁して欲しいので、弁明しようと心みるがいい案が浮かばない。

 すると、

 「おとうさんはわるくないの。ぼくがおしえてっていったの」

 ジルドが俺を庇ってくれた。

 その言葉にマリーとシアは若干怒りを収めた。

 ......ジルド。お前ってやつは。

 俺は逞しい息子にちょっと感動していると。

 「そうなの!おとうさんはわるくないの!」

 レイシアも俺の前に立って庇ってくれる。

 ......レイシア。お前の場合は本当にお前から教えて欲しいって言ったんだけどな。

 俺は心の中で突っ込みを入れながらも、愛しい娘が庇ってくれているので、言わない。

 「お前ら。俺の為に」

 俺がそう言うと、二人は俺の方を向いて笑顔を向けてきた。

 こんないい息子達が俺の子だなんて。

 俺はマリーとシアが怒っている事をとっくに忘れていた。

 「よし!お前ら今から俺が魔法をもっと教えてあげるぞ!」

 「「いいわけあるか!」」

 俺が、二人に叩かれたことで今回の件は水に流してくれた。

 俺達はそれから家族皆で俺の祝勝会をやった。

 ココとロロも寮に通わずこの家から通っている。

 何で寮に行かないのかと以前聞いたら、お兄ちゃんといたいからと百点満点の答えをくれた為、好きな物をたくさん買ってあげて、アネットに甘やかしすぎだと注意された事もあった。

 祝勝会も終わり、ジルドとレイシアは眠ってしまった。

 今回の事で、ジルドに懐かれたら嬉しいんだけどな。

 俺が二人を連れてベットに行きたいが、今回は駄目だ。

 「アネット。悪いんだけどマリーとシアと俺だけにしてくれないかな?」

 俺がそう言うと、アネットは頷いてジルドとレイシアをベットに連れて行ってくれた。

 ココとロロも互いに頷いて、部屋に行ってくれた。

 「改まって話って何なの?」

 これはまずは三人だけで話さなければ、いけない。

 「そうです。どうしたんですか?」

 シアも分からなそうに言った。

 「俺がムー大陸から帰ってきたら結婚しよう」

 俺はそう言うと、マリーもシアも驚いた。

 俺は、まだこの二人と結婚していない。

 「それはもう二人の彼女が帰ってきてから決めるんじゃなかったの?」

 初めはそう思っていた。

 だけど、それは失礼だ。

 リリアとセシリアは二人が帰ってくるまで待っていてくれると言ったが、もうこれ以上待たせるのはマリー達を不安にさせる事になる。

 「お前達は以前待ってくれるって言ってくれたけど、俺がそれじゃあ駄目だと思う。これ以上お前達を不安にさせたくない」

 すると、シアが泣き出してしまった。

 「.....おい。どうしたんだよ」

 俺は狼狽えてしまう。

 「.....私、ずっと不安でしょうがなかったの。だから嬉しくって.....」

 そう言うと、またシアは泣き出してしまった。

 「何で言ってくれなかったんだよ」

 俺は言ってくれたら、すぐにでも結婚する気だった。

 「言えるわけないでしょ。他にも彼女がいるのに私と結婚してくださいなんて」

 マリーが、シアの代わりに言った。

 ......俺はバカだった。

 そうだ。不安にならない訳がない。

 子供もいるのに、結婚もしないでフラフラするなんて最悪だった。

 「ごめん。だからこの旅が終わったら結婚しよう」

 俺は改めて言うのだった。

 その言葉に二人が頷いた。

 「あの、今日はさ二人共寝ている訳だしさ......」

 マリーが何故か目を泳がせながらそんな事を言う。

 「そうですね。確かに今日は皆寝てますしね。久しぶりに.....」

 シアも泣き止んでそんな事を言う。

 俺はすぐに意味が分かった。

 「そうだな。今日は三人でするか」

 二人は顔を赤らめながらも頷いた。

 最近では子供もいる為、することがあまり出来なかったのだ。

 それに三人なんて何年ぶりだろうか。

 俺はその日の夜はとても元気だった。

 そして、改めて決めた。

 この旅が終わるまでに、リリアとセシリアが帰ってこないようなら俺はもうこの二人と先に結婚すると。

 ~ココとロロ視点~

 ......寝れないんですけど。

 二人は、お兄ちゃんの部屋から聞こえる声で寝れない夜を過ごすのであった。

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