チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第五十六話 リリア・セシリア旅道中

 ~リリア視点~

 私達が先生と別れて一カ月が経った。

 「まだつかないの?」

 私は流石に疲れてきた。

 なんせずっと馬車の中だ。

 「だから言っているだろう。着くのには相当時間がかかると」

 私達は、今ムー大陸の奥にある森を目指している。

 ムー大陸の奥の森に教えてくれる人に心当たりがあるって言うけど、流石に遠すぎる。

 「後どのくらいで着くの?」

 セシリアはため息をつき、

 「お前、その質問何回目だ。半年だと言っただろう」

 やはりそのぐらいかかるのか。

 自分で言っておきながら、飽きてきた。

 「本当にその人は魔法を教えてくれるの?」

 「多分なんとかなると思う。それは出発する前に言ったじゃないか」

 これだけ、時間がかかって教えて貰えなくて帰るじゃ最悪じゃない。

 「何としても教えて貰わないとね」

 セシリアは私に目を向けて、

 「リリアはそんなに魔法が勉強したいなら、学校にでもレイと行けば良かったんじゃないか?そしたらレイとも別れずに済んだのに」

 セシリアはちょっと拗ねたような口ぶりで言う。

 セシリアは先生と別れたくなかったのかもしれない。

 だけど、そう言う訳にもいかない。

 「先生と一緒に学校に入って同じ授業を受けても絶対追いつけない。セシリアには悪いと思ってるけどお願い」

 「別に私も自分の実力を鍛えないといけないと思っていたから気にするな」

 セシリアはそうフォローしてくれた。

 私が、セシリアを連れて来た理由は二つある。

 一つは、エルフの森に行くにはセシリアの力が必要なのもある。

 二つ目は、セシリアを置いていったら、先生とセシリアが私のいない所で何をしでかすか分かったもんじゃないからだ。

 まあ、そんな事を思っていても先生は更に新しい彼女を作ってそうだけど。

 そんな事を思いながら、馬車に揺られるが暇でしょうがない。

 なので、私はセシリアに聞いた。

 「セシリアは先生の何処が好きになったの?」

 その瞬間、馬車が思いっきり揺れた。

 「キャ!」

 急に馬車が揺れ悲鳴をあげてしまう。

 セシリアを見ると、顔を真っ赤にしていた。

 「いきなりそんな事を言うんじゃない!」

 どうやら、いきなり先生の事を聞いて、テンパったらしい。

 私は気を取り直し、もう一度聞いた。

 「暇だから、恋バナしようと思ったのよ。それで、セシリアは先生の何処が好きなの?」

 「リリアが先に言ったら教えてもいい」

 そう言うので、私は言った。

 「先生はカッコよくて、私の憧れでもあるの!」

 それから、私が先生の何処を好きになったのかを三時間ぐらい語ってあげた。

 「長い」

 セシリアは、そんな事を言ってきた。

 これでも大分短くしたのに。

 「私は言ったわよ。セシリアも教えてよ」

 セシリアは顔を赤くしながらも答えた。

 「優しい所だ」

 「.....え?」

 私は、その一言だけの答えに思わず間抜けな声を出してしまう。

 「それだけ?」

 「もちろん他にも全部好きだが、一番は優しい所だ。いつも私達の事を第一に考えてくれるレイの事をいつの間にか好きになったんだ」

 私もそう言われたら、一番好きなのは優しい所かもしれない。

 だけど、それを先生の事を好きな他の人に気付かされるのは、何だか負けた気分だ。

 「セシリアには負けないわ」

 「好きな所からどうやったら勝負事になるんだ」

 そんなツッコミをうけながら、目的地へと向かうのだった。

 ~半年後~

 私達は、森の中のある村にようやく到着することが出来た。

 そしてエルフがいるというから、村があるのかと思ったが、そこには一軒家しかなかった。

 セシリアは、その一軒家のドアをノックした。

 「どちら様で?」

 そう言って、出てきたのは、三十代ぐらいの女性、だった。

 「私だ。セシリアだ」

 「どうしたんだい?あんた人族に復讐するとか言って出て行ったじゃないか」

 「それはもうやめた。それよりも今日はお願いがあって来た」

 「いやだ」

 そう言ってドアを閉めようとする。

 セシリアはそれを閉めさせまいと抵抗している。

 「何で要件を聞かずに閉めようとするんだ!」

 「あんたのお願いなんて今までロクなものが無かったからだよ!復讐の手伝いなどばかりだったじゃないか」

 「今回は違うんだ!頼むから聞いてくれ!」

 そんな二人のやり取りを私は呆然と見る事しか出来なかったが、私からもお願いしないといけないと我に返った。

 「あの!魔法を教えてください!」

 私の言葉に二人は手を止めてこちらを見た。

 「セシリア、あの子は?」

 「私の仲間だ」

 その言葉に三十代の女性は笑い出した。

 「ハハハハハハ。まさか、復讐、復讐言っていたこの子が人族を連れて仲間だなんて」

 そう言って、また笑い出した。

 「私と、この子に魔法を教えてくれ」

 そう言うと、またドアを閉めようとした。

 「いやだね。どうせまたロクでも無い事を考えてるんに違いない」

 私は、どうしても教えて貰わないといけない。

 そうじゃないと、先生に追いつく事なんて絶対に出来ない。

 だから、私は頭を下げてお願いした。

 「どうしても追いつきたい人がいるんです!お願いします!」

 その言葉に、また二人は、争いをやめてこちらを見た。

 「セシリアは何で魔法を教えて貰おうと思ったんだい?」

 「私も力になりたい人がいるからだ」

 その言葉に、女性の人は、ため息をついた。

 「分かったよ。私で教えれる範囲だけどね。取り敢えず家に入りな」

 そう言って、家に入れてもらえた。

 私は部屋に入れてもらえたことで、改めて聞いた。

 「それでセシリア、この人誰なの?」

 「私の母のミレイアだ」

 「どうも。セシリアの母のミレイアよ」

 セシリアの母と言っても全然老けているように見えない。

 「セシリアのお母さんって事は、元勇者パーティーの?」

 私がそう聞くと、セシリアはそれに頷いた。

 そんな凄い人に教えて貰えるなんて。

 私はこれからの修行に期待できる。

 それが、相手にも通じたのだろう。

 「先に言っておくけど、私が教えてあげれるのは、昔師匠に教えて貰えた事ぐらいだからね」

 「母に師匠がいたのか!?」

 「当然さ。私の師匠は、今は魔法学校の校長をやっているルドノフだよ」

 そう言うのだった。

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