チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第四十三話 レイロードVSルドノフ

 校長はもしかしたら初めから自分が戦いたかったのかもしれない。

 「いいですよ」

 それに乗られてやる。

 この学校の校長の実力をみてみたい。

 「そう言ってくれると信じてましてよ」

 校長は笑顔でそんな事を言ってくる。

 ふざけた人だ。

 あそこで俺が断ったらそれこそ今回の戦いの意味がないじゃないか。

 これで校長に勝つ事が出来たらアスタナシアさんは校長でも負けるんならアスタナシアさんが負けても仕方ないよなとなる。そうすれば誰も傷つかずに済むという話だ。

 だがこれには問題がある。それは校長が負ける気があるようには見えない事だ。

 「そういうことなのでナタリア先生。実況お願いしますね」

 「え!あっ、はい。分かりました。えーと急ですが、ここで校長とレイロード君の勝負を開始します。一応校長の実績は、元Sクラス冒険者で超級を全て極め無詠唱魔法が使える強者です」

 この人Sクラス冒険者だったのかよ。

 そんな俺の目で通じたのか、

 「元ですけどね。弟子が卒業すると同時に引退しましたよ」

 そう言って校長は服を脱ぎ捨てた。

 「ちょっと!校長!もしかしてそれって!」

 ナタリア先生の焦った声が聞こえる。

 「ええ。ナタリア先生が思っている通りですよ。これは私が冒険者のときのフル装備ですよ」

 この人やる気出しすぎだろう。

 「校長。流石にその装備はやりすぎでしょう」

 「皆さんにも一応言っておきます。私は本気でやります。もちろんレイロード君も本気で来るでしょう。この試合を最後までしっかり見ていってください」

 校長はナタリア先生の話を無視し軽装備にマントを羽織った格好でそう言うのだった。

 校長と対峙する。はっきり言おう。勝てる気がそんなにしない。戦う前から冷や汗が流れる。

 「ああ。言い忘れてました。審判の方、今すぐここから逃げた方がいいですよ。流石に危ないと思うので」

 校長がそう言って審判の人は会場から出た。

 ~校長視点~

 「こんな形で戦うことになってすいませんね」

 一応謝ります。

 「そんな事気にしてませんよ」

 レイロード君は笑顔でそう言います。

 だがそんな笑顔の後レイロード君の雰囲気が変わります。

 「こんな回りくどい事をしなくても俺は戦ったんですけどね」

 木刀を構えながらこれからの戦いを楽しみにしている戦闘狂の雰囲気に変わる。

 この学校を変える為に戦うつもりだった私もこれからの戦いが楽しみでしょうがない。

 私は杖を持たない。

 杖は逆に邪魔になってしまうので。

 さあ。始めましょう!

 最高の戦いを!

 ~レイロード視点~

 校長の雰囲気が変わった。

 あちらも戦闘態勢に入った。

 先程のアスタナシアさんとの戦いとは違い会場は静まりかえっている。

 「それでは始め!」

 ナタリアさんの合図で試合が始まる。

 すぐに火の上級魔法で校長の周りを囲む。

 しかし校長はすぐにそれを水魔法で消し去る。

 これは想定済みだ。

 水魔法で消し去ることで水蒸気が発生する。

 その瞬間俺は土魔法で岩石を作っておりそれを校長の上から落とす。

 だが校長に岩石が当たることはなかった。

 岩石が真っ二つにされていることから風魔法で切り裂いたのだろう。

 初めて魔法が主戦の戦いだがでだしは順調だ。

 魔法使い同士の戦い。それはどちらが相手より上手く立ちまわる事が出来るのか。相手より手数を持っているかが重要になってくる。

 今回剣はあまり使えない。

 勝つ為には校長の魔法を避けながら魔法主体で戦い、最後に接近戦に持ち込む時にしか使えない。

 「いい動きですねレイロード君」

 「いやいや、そちらこそ」

 喋りながらも、攻撃の手は緩めない。

 「フフフフフフ」

 「ハハハハハハ」

 何故か面白くて俺と校長は笑いながら勝負をする。

 俺達二人は互いに楽しくやっているが会場の周りにいる連中はドン引きだった。

 あれこれ数十分は戦っただろうか。

 互いに、戦略の限りを尽くしたといえるだろう。

 「楽しい時間はあっという間ですね。そろそろ終わらせないと私もやばいでしょう。最後に私のオリジナル魔法を見せてあげます」

 校長はそう言い風魔法を使い上空に上がる。

 オリジナル魔法。それは誰もが使えるものではなく、その個人が発明した魔法。俺の雷魔法が丁度オリジナル魔法になるな。

 会場は校長が空に上がったことでざわざわしだす。

 「あれは風魔法を足元に発動させることで出来る技です」

 ナタリア先生が騒いでいる生徒の為にも実況をする。

 だがそれどころではない。

 今から校長がしようとする技は絶対にやらせてはいけない気がする。

 すぐに火の超級魔法で校長を落させようとする。

 しかし校長は片手で水の超級でかき消す。

 そして校長は呟く。

 「皆は、超級が出来るようになればそれが一番だと思うでしょう。確かに超級などの技は強い。だからと言って中級が弱いわけではない。中級には応用が色々と効くのです」

 校長の手にあるのは小さなファイアーボールだ。

 あんなにも弱そうなファイアーボールなのに嫌な汗が止まらない。

 俺は水の上級でそれを消そうとしたが、

 「もう遅い」

 校長はそのファイアーボールを俺に目掛け投げた。

 だがスピードが遅い。

 これでは簡単に避けれる。

 そう思った時だ。

 ファイアーボールが格段に大きくなっている。

 「ちょ!何してるんですか校長!そんなことしたら、レイロード君が死んじゃいますよ!」

 ナタリア先生が叫ぶ。

 「それならレイロード君が降参すればいいんです」

 校長は最もな事を言う。

 「レイロード君。流石にあれはまずいです。あれは校長の最後の技と言われドラゴン三体を骨も残さず消した技なんです!今すぐ降参してください!」

 ナタリア先生のそんな叫び声が会場に響く。

 「まだやられてません」

 まだやられたわけじゃない。

 だがこれをどうやって消すかだ。

 現在進行形でファイアーボールは大きくなりこの会場に逃げ場はないといえるだろう。

 だがここで諦めるのはまだ違う。

 俺は必死に考える。

 その様子を見てナタリア先生は俺が諦めないと悟ったのか目をつぶってこれからの結末を見ないようにしている。

 どうするか。

 「降参した方がいいと思いますよ。これは私が魔力を大量に圧縮させて作った魔法で、もはやファイアーボールの技と言えるかは分かりませんから」

 校長もそう進言する。

 だが俺は首を横に振り否定し考える。

 あれほどの威力だと水魔法で打ち消すことは難しいだろう。

 万事休すか。はっきり言って今俺が持っている魔法でそれは打ち消す方法が思い付かない。

 俺がそう思った時だ。

 「諦めないなら最後まで頑張れ!」

 そんな声が聞こえた。

 俺はその声が聞こえた方を見るとその声の主はマリーだった。

 あいつ.......。

 「あんたが負けたらあんたを目標にしている私が馬鹿みたいじゃない!だから頑張れ!」

 戦いの最中だっていうのについ笑ってしまう。

 普通に応援は出来ないんだろうか。

 マリーが応援した事によって周りの人も応援する。

 「頑張れ!レイ!」

 「頑張ってお兄ちゃん!」

 「おい!馬鹿!」

 .......ん?お兄ちゃん?

 もしかして......。

 すると、タマが顔をひょっこり出して手を合わせて謝るポーズをしてくる。

 やっぱりあれは親父とココだよな?

 何やってんだよあの二人は。

 タマが変身魔法を使って生徒にしたのだろう。

 だが今回は怒る気はない。

 逆に感謝してる。

 親父達が応援した所から他の知らない人達からも応援が聞こえる。

 「ここまでやったんだ!頑張れ!」

 「新入生!校長に勝っちまえ!」

 そんな声が聞こえる。

 「頑張ってください!」

 その声はアスタナシアさんだ。

 それからも色んな人から応援の声が聞こえる。

 「ありがとう」

 俺はそう呟き先程アスタナシアさんの応援で思いついた事を実行する。

 そうだ。今俺が持っている魔法が効かないなら違う魔法、そして剣で対処すればいいんだ。

 風魔法を体に纏う。

 その瞬間皆これから何かが起きると分かったのか静かになった。

 だがこれだけじゃあ意味が無い。

 俺は剣に風魔法の超級を纏う。

 アスタナシアさんが風魔法の超級を使ってくれたおかげで今まで出来そうだった風魔法の超級がよりイメージがしやすかった。

 そして俺は足から風魔法を放ちファイアーボールに突っ込む。

 そして上空で風魔法を足以外の纏っている全てを剣につぎ込む。

 「うおおおおおおおおお!」

 「「いけええええええええ」」

 俺の雄たけび観客の声で俺はおもいっきり剣を振りぬく。

 そこから巨大な風の刃が発生する。

 名前を付けるのならば、

 「エアスラッシュ!」

 その刃によりファイアーボールは真っ二つにされた。

 「「おおおお!」」

 周りから歓声が聞こえる。

 だがこれで終わりじゃない。

 すぐに足に風魔法をつぎ込む。

 「はあああああああ!」

 校長に向かい叫びながら突撃した。

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