チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第十七話 悲劇

 「......はぁ。はぁ。はぁ。」

 夜の森をリリアとタマと走っている。

 リリアの表情は何が起きたのか分かってなくて戸惑っている表情だった。

 タマはよく分からない。

 俺達はこの日を境に村をでた。

 ~その日の朝~

 俺がここに来てもう少しで、一年になる。

 もう少しで家に帰省する予定だ。ただまだリリアの家庭教師は終わってない。

 双子の妹の成長も楽しみだ。

 それに、今回帰省する際にリリアとタマも一緒に帰ることになっている。

 リリアは単純に暇だから行くらしい。

 タマは、今回俺のペットが出来た報告する為と、普通に俺の家の家族に会ってみたいらしい。

 俺の家庭教師生活ももう少しで終わると思う。

 あれから、リリアは一気に成績が伸びた。やはり、一日に魔法の勉強を入れたのが良かったのだろう。

 俺もリリアも上級魔法を扱えるようになった。

 俺に関しては、自分オリジナルで雷の魔法を多少扱えるようになった。

 まだ、少し相手に静電気ぐらいの電気を放つことが出来ないが。

 ただ、今回の家庭教師を受けたのは大正解だったと思う。

 おかげで、上級魔法や雷魔法も扱えるようにもなったし、剣術の方もフラウスさんと戦ったおかげで少しずつ成長していけていると思う。

 フラウスは剣を感覚で振っているため、模擬戦で技を盗むしかないため自分でも成長出来たのかは若干不安だがフラウスによると成長出来ていると思うらしい。

 まあこればっかりはどう言ってもしょうがない。

 教えてもらえているだけありがたいしな。

 今日は休息日だった為授業はない。リリアは村長とタマで村を散歩をいている。

 村長に一緒に行くかと言われたが午後は自主練の時間なので断った。自主練だけは欠かせない。一回でもサボったらもう後が負の連鎖なのは俺が一番知っている。

 俺が自主練を終える頃にはもう夕方だった。

 俺は村長の家に入ろうとしたとき何やら音が聞こえた。

 村の警報の鐘がなったと俺は少しして分かった。

 この鐘は、村に何か起こる時にだけなるらしい。一度親父とランニングをしている時に親父に一度だけ小さな音でその鐘の音色を聞いた事がある。

 その時の音は今まで忘れていたが今聞いて思い出した。

 だがそれ所じゃない。その鐘がなったということは、村で何か起きたのかもしれない。

 今のところ見えるような被害が出てる様子はない気はするが。

 俺は村の様子を見ようとした所に村長達が帰ってきた。

 「急いで家に避難しよう。まだ何が起きているか分からない所もあるからの」

 俺達は村長の意見に従い、家に入った。

 家に入ると、アンリがいた。

 「何が起こったのですか?」

 「それがわしにもまだ分からんのんじゃよ」

 アンリさんと村長は真剣な表情で話し合っている。俺はと言えば若干何が起きてるのか分かっていなくて困惑しているリリアを安心させる為に話し相手をしている。

 それから村に様子を見に行ったのか、フラウスが帰ってきた。

 フラウスの説明によると、この村に、魔物の大群が押し寄せているらしい。

 どうしてこんなことになったのかは、まだ分からないらしい。

 今、村の人達が総出で倒しているらしい。なら多分親父も行ってるんだろうな。

 俺も行くべきか迷ったが、ここに残ることにした。

 ここは、俺みたいなガキじゃなくて村の人達に任せた方がいいと思う。

 その瞬間いきなりドアが壊された。

 フラウスが、

 「伏せて!」

 と叫び、いきなり襲い掛かってきた一人の男の剣を塞いだ。

 「奇襲出来て、一人ぐらいやれると思ったんだがな」

 男は意外そうに言ったが口元に笑みを浮かべていた。

 俺はその男の笑顔もそうだが、発言自体が恐ろしかった。

 こいつは平然と人殺しをしようとしていたのだ。まるで殺しを常にしているように聞こえる。

 その後アンリがすぐに魔法で援護し、何とか男は少し退いた。

 村長は俺の方を振り向き、

 「レイ君。君にお願いがある」

 「何ですか?」

 「リリアを連れて逃げてくれ」

 村長は真剣な顔で言った。

 「おじいちゃんは逃げないの?」

 リリアが不安そうな顔で言った。

 「わしはこの村の村長じゃ。この村の皆を避難させてからわしも逃げる」

 笑顔でそんな事を言った。

 リリアはまだ何か言いたそうな顔をしていたが、

 「リリア。逃げるぞ」

 俺は村長の意見を尊重して言った。

 あれは、ちゃんと覚悟を決めて言っていることだと俺は思った。

 だから、俺も覚悟を決めてこの子を逃がして助ける。

 俺とリリア、タマは村長の家から逃げ出した。

 俺は魔物が押し寄せてきていると言われた方向と真逆の森に入った。

 冒頭に戻る。

 やはり、逃げるなら森の方がいいと思う。今なら反対に魔物が大勢いるから、こっちにはそんなにいないはずだ。

 それに森には木が大量にある。魔物に囲まれる事が殆どない筈だ。だけどその代りにゴブリン戦のように奇襲を仕掛けてくる魔物がいるかもしれない。だからこそ警戒は怠らず森に入って行く。

 俺の予想は当たり、やはりここにはもうあまり魔物がいなかった。

 魔物は今の俺の力でまだ何とか倒せる。

 それから、大分森を走っていた事で、もう今何処の辺りにいるのかも分からなくなった。

 「一度休憩しよう」

 俺がそう言うと皆が頷いた。俺は木の枝を何本か拾い火魔法で焚火をしようか迷った所で、ふと思った。

 「なあ。焚火の火で魔物が近づいたりしてこないか?」

 「今ならこの辺は魔物の気配はないニャー」

 タマはそう言った。だがちょっと待て。

 「お前その力があるならさっきの男が来ること分かったんじゃないのか?」

 俺は少し責めるような、口調で言った。

 「私は気配を遠くまで把握することは出来るの。けどあの男は気配を消して現れたから分からなかったの。大勢の魔物も多すぎて把握出来なかったのよ」

 タマは平然と言った。

 それならしょうがないか。俺も相当イラついている。一度落ち着つこう。

 俺は木に火をつけて焚火をする。多分俺達も相当深く森に入ったしもう、森の中は夜だ。誰かが来るとは思えない。

 安心な筈だが、全員無言だった。いつもよく喋るタマでさえ静かにしていた。

 二人とも今何が起きているのか必死に考えているのだろう。俺もそうだ。

 「......どうしてこんな事に」

 リリアは独り言のように呟いた。

 俺はあれから落ち着いて状況を整理したことで、ある程度今回の事情を把握出来た。だがこれは俺の予想の話だ。

 だが、これをリリアに言うか迷った。

 今のリリアは精神的に相当きついのかもしれない。そんなリリアに言ってもいいのだろうか。

 だけど、落ち着いた時に俺の話を聞いて、また落ち込んだらそれこそきついと思う。

 だから、

 「リリア、俺の予想でいいなら聞かせてやるが、聞く気はあるか?」

 リリアは驚いていたがすぐに真剣な顔になり、頷いた。

 俺はこの村が襲撃された出来事について、自分の予想で説明することに決めた。

 

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