チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第七話 勝負

 もう足は震えていなかった。冷静になった。

 まず、反省をしないといけない。

 俺はゴブリンを正直舐めていたのが一番の原因だろう。今さっき特徴を思い出したがゴブリンは力だけを見ると弱いが、魔物なのに高い知能を持っている。

 初めに威嚇のような叫びは仲間を呼んでいたのだろう。それを威嚇だと決めつけたのが駄目だった。

 もう一つは殺すということに躊躇ったのもある。

 ゴブリンの目を見れば普通の目をしていない。何としてでも、殺してやるという気迫が目だけで分かってしまうぐらいの目をしている。

 その殺気に俺は無意識の内に恐怖していたのだろう。

 だから俺はあの時剣を弾き返されたんだ。

 弾き返されたのには俺に殺す覚悟がなかったのもあるだろう。

 だが、先程覚悟は決まった。

 もう躊躇わない。

 目の前のゴブリンは目の前にいる女の子に悪いことをしているんだ。

 次はどうやってこの状況から勝てるかだな。

 三匹のゴブリンをA、B、Cと名づけよう。

 ゴブリンはそれぞれ違う武器を持っている。

 Aは普通の剣士が使いそうな剣。

 Bは木の太い棒を持っている。正直あの木で殴られたら確実に死ぬ。

 Cは俺の記憶が正しかったらサーベルと言って曲がってる剣だ。

 本当ならすぐに俺が負けて死ぬ筈なんだけど。だが、先程の魔法のおかげだろう。ゴブリンは警戒して動かない。俺が動くのを待っているんだろう。

 だからと言って、のんびりしている暇はない。

 まず、今までの修行の日々を思い出せ。使えるのが、何個もあるはずだ。

 そして今俺が使える武器は、剣、魔法、あと.......。

 そういえば、あれがあった。これを使えばいけるかもしれない。

 だが、もう油断はしない。

 倒す算段はついた。殆ど賭けみたいなものだが。

 それじゃ、反撃返しだ。

 まず、ファイアーボールを左に作るようなイメージをする。

 火の中級は炎のボールを相手に投げる技だ。当たれば痛いじゃ済まない。

 右手に風魔法の中級ウインドを作る。この魔法は少し強風な風をだす。だが、今回は少し強さを弱める。

 左手のファイアーボールをゴブリンBに標準する。

 正直に言って左腕は上にあげるだけでも十分痛い。けどしょうがない。

 Bの木の棒は本気で危ない。太いから俺の短剣も確実に折られる。

 ゴブリン三体も、何か来ると思ったのだろう。剣を構えなおし、殺気の目を更に鋭くした。

 あの目で見られると少し怯んでしまう。だから、

 「ゴブリン、よく聞け!お前らは俺が最強になるための最初の一歩だ!覚悟しやがれ!」

 俺は宣言して、少しでも怯んでいる自分に喝を入れる。

 自分の魔力を大量につぎ込んだファイアーボールをゴブリンB目掛け発射させた。

 このままだと躱されるだろう。だからすぐさま右手のウインドを発射させた。

 すると、ファイアーボールは大量の魔力をつぎ込んだおかげで消されることはなく、スピードがより加速した。

 いきなり加速したファイアーボールにゴブリンBは動揺して避けきれず直撃し、ピクリとも動かなくなった。

 残り二体。

 ここまでは順調だ。

 ゴブリンは俺を休ませないよう二体同時で俺に向かってきた。

 ここまでは全部予想通りだ。

 俺は向かってくるゴブリンBに剣を投げた。

 ように見せかけ上に投げた。

 ゴブリンBは自分に来るはずの剣が来ないことに戸惑い動きを止めた。

 その隙を見逃さず、俺はゴブリンCに目掛けポッケからナイフを取り出し、投擲した。

 ゴブリンCが持ってるサーベルも実際に戦ったことが無いから後々の対処が出来なかった時が怖い。

 それにゴブリンCは反応できず、頭に刺さり倒れた。

 残り一体。

 ラストのゴブリンは仲間の二体がやられたことにより、逃げるか、戦うか迷っていた。

 俺はゴブリンが動揺している間に上に投げておいた剣を持ち、ゴブリン目掛け走った。

 ここからは小細工なしの真剣勝負だ!

 俺は左腕の痛みを我慢しながら、剣を上から振り下ろした。

 ゴブリンはそれを受け止めた。が、次は弾き返されなかった。

 力は互角!

 俺はゴブリンに勝つには技だ。

 だが、この接近戦で戦う技はない。なら、速さだ。

 俺はその後も上から、横から、あるいは下からと何度も剣を振った。

 もっと速く!もっと速く!

 こいつが受け止めることもできないように。

 「うおおおおおおお!」

 俺はどんどん振るスピードを速くする。

 そして、等々ゴブリンは受け止めきれず、傷を負った。

 その瞬間ゴブリンは少し動揺した。

 ここだ!

 俺はその瞬間に今まで何回もしてきた素振りを超える速さで剣を振り下ろし最後の一体を倒した。

 勝てたのは嬉しかったがそれ所じゃない。

 俺は勝つ余韻もなく吐き気に襲われた。

 「........おえ」

 今までは勝負の最中だったから大丈夫だったが、勝負が終わると、生き物を殺した感触が手に何かあるのだ。

 勝ったのに気分は最悪だ。

 それがなくなるまで俺は吐き続け、何とか体調を治癒魔法で直した。

 俺は気絶している少女を背中に背負い、森を出た。

 お姫様抱っこはしないよ?今まで彼女いないのにそんなことが出来るわけもない。

 村に行くともう夕方だった。

 背中の子はお爺さんが来て引き取ってお礼を言われた。

 だが俺はそれ所じゃないんだ。

 俺は昼までに帰ってくると手紙に書いた事を今更思い出した。

 これは、親に怒られかな?いや、ゴブリンを倒したんだ。きっと、大喜びするだろう。

 そう思いながら村を歩くと母と親父がいた。 

 母と親父は俺に気が付き駆け寄ってきた。

 俺はゴブリンを倒したことを報告しようとすると、それよりも前に

 パン!

 俺は母に頬を思いっきり叩かれた。

 母はその後俺を抱きしめた。

 「どこいってたのよ!心配したんだから!」

 母は俺を抱きしめながら泣いた。

 今叩かれたのは、今まで経験した痛みで、何故か一番痛かった。

 「......ごめん、なさい。......怖かった。.....死んじゃうかと」

 俺は先程まで我慢してきた恐怖をすべて吐きながら泣き続けた。やっぱり死ぬギリギリの戦いは怖い。

 親父を見ると親父は温かい目で俺達を見つめていた。

 俺は初めここの親は仮の親だと思っていた。けど、こんなにも心配してくれる親を見て思った。

 俺はこの人たちの誇れる息子になろうと今新たな夢が出来た。

コメント

  • ノベルバユーザー343351

    うーん。2歳の子をパンと平手打ちか。この子が俺ならご褒美だな。(*´д`*)ハァハァ

    0
  • くあ

    切られた腕は?

    0
  • 清水 裕斗

    めちゃくちゃうるっと来たんだけど!?
    危ねえ、、歳かな?

    2
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