チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第八話 ジルダの思い

 ~ジルドの過去~

 ジルダは元冒険者だった。冒険者の時はパーティーメンバーの奴らと狩りに行ったり、飲んだり、ナンパしていることもあった。

 そんなある日、たまには、ギルドの依頼を受けるか。とパーティーで決まり受付に依頼を貰おうと思ったとき、アリアンナと出会ったのだ。

 一目惚れだった。

 俺はその日からナンパを止め、彼女だけを追いかける日々を送った。

 毎日ギルドの依頼を受け、たまに食事にも誘ったりした。その成果、彼女と恋人になった。

 それからも、交際は続き、ジルダはアリアンナと結婚することになった。

 だが、これからも、冒険を続けていくか迷った。

 アンナは好きなように生きて欲しいと言ってくれた。

 だが、ジルダは冒険者として、盗賊狩りなどもしていた。盗賊が俺らに復讐をしないとも限らない。

 俺のせいで、アリアンナに被害が及ぶのは、絶対にダメだ。

 俺は冒険者を止めることにした。そのため、パーティーメンバーにパーティーを抜けたいということを伝えると、激怒するかと思ったが、メンバーの皆はそんなことになると思っていた。とあっさり許してくれた。

 メンバーの皆は今もバラバラに旅をしているらしい。

 ジルダは冒険者を止め、引っ越しをする為、旅に出た。

 その旅の途中、アネットに出会った。

 アネットは獣人で、奴隷になりそうになったらしい。そこを、最後の力を振り絞り逃げていたそうだ。

 そんなアネットを助けると、アネットに恩を返したいと言われた。

 アンナの思いつきで、メイドとして、一緒に住むことになった。

 村を見つけては、アンナとアネットで幸せな日々を過ごした。

 そして、アンナとの間にレイロードが生まれた。

    〜ジルダ視点〜

 初め俺はレイが不気味な存在としか見えなかった。

 生まれたときは泣かないし、全く手がかからない。

 周りの人からは、とても羨ましがられたが、俺からしたら不気味でしょうがなかった。

 しかし、一歳の頃から少しずつ印象が変わってきた。

 初め、レイに剣を教えてほしいと言われた時は子供の言うことだ。

 魔法も習うと言っていたし、長くは続かないだろうと思い、初めはきつい練習をさせ、ほとんど剣を振るわせなかった。

 しかし、レイは文句の一つも言わず一生懸命に鍛錬をするのだ。

 まるで、俺の言うことは正しいと疑わないかのように。

 そこからは、どんどん印象が変わっていった。

 不気味な存在が何事にも一生懸命で、可愛い息子になった。

 剣だけではなく、魔法の方も、頑張っているとアンナから聞いていた。

 なので、俺もしっかり教えようと思い、最近は模擬戦をしたり、俺が冒険者だった頃の技などを教えてた。

 レイは疑問に思っている事などはしっかり聞いてきてくれるから、教える側としても、何か嬉しいものを感じる。

 最近は剣の技の事について色々話すようになり、何か息子というより友達といった感じで非常に楽しい。

 そんな楽しい日々が続いたから、俺はレイに大切なことを教えなかった。

 そのせいである事件が起きた。

 その日は、レイに休息をするように俺は言った。俺がその時きちんとレイを見張っておけばよかったのだ。

 俺とアンナは二人で元パーティーの皆から貰った手紙を見ていた。

 アネットは掃除をしていた。その隙を狙ったのだろう。

 レイは村に行っていた。

 初めは俺もアンナもそんなに気にしていなかった。たかが子供が少しいなくなっただけで手紙にも昼のは書いてあると書いてあったから。

 だが、昼になってもレイは帰ってこなかった。

 アンナは何かあったんじゃないかとどんどん心配していた。

 俺はなんとかアンナを落ち着かせたがレイはいくらたっても帰ってこない。

 流石に何かあったのかもしれないと俺も思えてきた。

 そんな事を思った瞬間、アネットが慌てて、

 「ジルダ様。アンナ様。レイ様の部屋にこんな本が」

 それは『魔物図鑑』だった。

 俺は嫌な予感に襲われた。

 俺とアンナとアネットは急いで村に行った。

 村に行って近所の皆にレイを見たか、ということを聞くと、やはり森方面に行っているようだった。

 それから、村長にも聞いてみると、

 「それが、私の孫も今いないんじゃ」

 そう言われた。もしかしたら、レイはその子と遊んでいるのかもしれない。という気持ちに一瞬なる。

 だが、その村長の孫は置いておいて、レイだけでも行く可能性がある。

 俺の息子だ。もし、俺でも試しに魔物狩りに行ってみようとなると思う。それにこの付近で確か魔物がいると噂されていた筈だ。

 だから、俺は森に行ってくるとアンナに言い、アネットとアンナには村を探すように言った。

 俺が森に入るとレイはいた。

 左腕は怪我をしていて、目の前にはゴブリンがいた。

 俺はすぐに助けようと向かうとレイが、

 「ゴブリンよく聞け!お前らは俺が最強になるための踏台だ。覚悟しやがれ!」

 そんな声が聞こえて俺は止まった。

 レイはそこからゴブリンと戦っていた。勝てるはずが無かったのに、俺が教えた事、全てを使ってレイは戦っていた。

 そんな姿を見て俺は何故か泣いていた。自分でも何故泣いているか分からない。

 けど、レイが挑んでいる姿を見て、感動してしまった。

 レイは勝ってしまった。今までのあらゆる修行を果たした成果とも言える戦いだった。

 俺はレイが森を出ていく所を見送って、村にレイとは違う道から帰った。

 村に戻ると顔色が悪いアンナがいた。アンナは俺の所にすぐに来てレイはいたかと言われた。

 「いなかった」

 俺はそう言ってしまった。まぁ。すぐ来るだろうと思い、敢えて言わなかった。

 そこにレイが帰ってきた。レイはアンナに叩かれ、アンナの腕の中で泣いていた。

 俺は、レイを叱ることはしない。

 自分は、この子の事が、誇らしかった。

 そんな息子の姿を温かい目で俺は見ていた。

 俺はそんな光景を見て決意を一つした。

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コメント

  • ノベルバユーザー317813

    ジルダなのかジルドなのか、わたしにはわからん

    0
  • 清水 裕斗

    めちゃくちゃ感動しますやん、、、
    あれ?目から鱗が??おかしいなえ?
    鱗?鱗ぉお!!??!!

    2
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