余命10秒の俺に、何か質問。ありますか?

ノベルバユーザー175298

余命10秒の俺に、何か質問。ありますか?

 誰かが言った、「世界は残酷で、理不尽な事ばかりだ」と。
 ......当たり前だ。そんな事は誰でも知ってる常識で、誰もが体験している日常だ。

 そして、誰かがった。
 この世界では、3秒に一人の人間が死んでいると言われる程、人間が死んでいる。もちろんそれは、正確な数字では無いし、ただのコンピューターから出された計算の結果に過ぎない。

 だが、確実に人は死を迎える。その例外はなく、十代で、コロッと死ぬ事もあるかもしれない。
 今、この時も死ぬ可能性は十分にあるのだ。

 例えば、タンスの角に小指をぶつけたとしよう。ぶつけた俺は「はぅぁ~」とか言った奇声を上げて、小指を大事そうに抱えながら地面を転げ回るだろう。そして、転がった先にゴキブリさんが待ち構えていて、俺の顔面めがけて飛んでくる。俺、ショック死する。

 ......ほら、日常のどこにも死の危険があるじゃないか。

 でももし、世界が平和で全ての生物の願いが叶う。そんな夢みたいな世界があったとしたら、あなたは行ってみたいと思うだろうか?
 俺の答えは、「叶えたい願いはある。だけど絶対に行かない」だ。

 全ての生物の願いが叶うなら、殺人鬼の「全人類をこの手で殺したいです~」とかいうサイコパスな願いも叶ってしまうし、警察官の「悪人を全てこの世から消してくれ」という願いも叶う事になる。
 もうこの時点で色々と矛盾している。

 全ての生物が自分の為だけに願えば、その結果、全ての生物が居なくなるのでは無いだろうか。だが、必ずそうなるとも限らない。誰かが「全人類が幸せになりますように」と願っていれば簡単に結果は変わる。

 まぁ、実際にやってみないと、分からないと言うことが分かった。

 つまり、俺が言いたいことはただ一つ。

 「俺の余命、あと10秒です」

 カチッ。と時計の秒針が進む音がやけに大きく鳴り響く。

 ......え? さっきの話しと全く関係ないじゃないか、だって? そう、そんなに関係してない。

 カチッ。活動できるタイムリミットが迫る。だけど俺に恐怖心や、孤独感などは無い。ただその時を待つだけ......

 カチッ。また・・、俺の目の前で誰かが逝った。名前も、性格も知らない誰かがこの世から去った。

 カチッ。えー。突然ですが、質問です。「俺に何か質問。ありますか?」

 カチッ。余命10秒しかないやつなんて、他に居ない。ほら、最後のチャンスだ。

 カチッ。何かあるだろ? 「ねぇねぇ今どんな気持ち?」とか、カチッ。「なんで余命10秒だって分かるんだよ」とか、カチッ。「お前は誰だ!!」とか......

 カチッ。あっ、あと1秒しか無い。ヤバイ、早く最後の決め台詞を言わなければ。

 「我が人生に、いっカチッ.........





















 あっ、どうも。俺です。
 死んでないのかよ!! と思った人。いつからを人間だと思っていたんですか?

 先程の質問を考えてくれたお礼にから質問。

 「どこにでもある。そして、誰でも平等に持っている。だけど、誰も絶対に逆らえないものってなんだと思いますか?」



 は、いつもあなたの隣に居て、いつもあなたを見ている。
 でも、あなたもよくを見るじゃないか。よく目が合うじゃないか。
 ほら、周りを見てよ。よく見てよ。居るだろ? 目の前に......



 もし、願いが叶うとしたら......「3秒後にあなたが生きてることを願おう。あなたが見つめてる。この画面の中のどこかから........」

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