ふたつの世界で展界異世界生活

水島コウヤ

二重生活と旅の始まり

【二重生活と旅の始まり】



人は寝ている間に夢を見る。
空を飛んだり非現実的な事をしたり、現実ではできない事が多い。
しかも、夢ではどんな怪我をしても痛みを感じない。
でも俺たちの世界ではそんな『夢がない』。
といっても眠らないわけではない。
夜になると眠りにつく習慣がちゃんとある。
では夢がないとはどういうことか、それは簡単に言えば、"世界が二つ''あり片方で寝ている間はもう一方に意識がとびそこでもまた1日を過ごしていくという事だ。

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【展開世界】
俺の名前は、水島隼人19歳、一人暮し。
今は展開世界、通称展界にいる。
高卒で入ったこの世界での俺の仕事は主にもう一つの世界、異世界の魔法の研究をしている。
研究所は家から徒歩15分の所にある小さな場所、人は俺を合わせても20名程度しかいない、でも実験用具や場所などは他の大企業に負けず劣らず揃っているためこの世界でしかできない事だ。
毎日何らかの発見はあるものの異世界との繋がりについてはまださっぱり。
噂によるとどこかの大企業が『魔法について』少しだけ判明したんだとか、噂が流れている、でも本当か否かは分からない。
まぁ俺には関係ない話だ、なんたってまだこの仕事に就いて1年近く…知識が少ないのだ。
今は夜10時に仕事が終わり今日は残り2時間というところで家にいる。
そして毎日の仕事で疲れが溜まっていたのでもう寝ることにした…おやすみ。
                      
                      
【異世界】                  
目に刺さるような太陽の日差しの中、重々しく目を開けた。
起きてすぐ鏡を覗くと、身長はどちらかと言えば高く、それ以外は至って普通の男がたっている、これが俺の姿。
この世界は異世界、ゲームでいう、自分自身のスターテスとやらがある世界だ。
その為一部の間ではRPGワールドとも呼ばれているらしい。
この世界では魔法が使える。
それゆえ、毎日倒した敵に応じて金が貰える仕組みになっている、リアルなゲームみたいなものだ。
だから今日も敵を狩りに村を出る。
村を出て少しいったところに敵が発生する場所がある、『少し広い綺麗な湖がある広場』そこがこの村での狩り場となっている。
いつもその場所に着くと同じようにキャラシーというレベル8の雑魚モンスターしか出てこない。
それでも文句の言えない妥当な事だ。
  
「やっぱりこいつらしかいないのか、でもしょうがないな、この村も始まりの村位のレベルの奴しかいないし、しかも強敵が出たという情報は聞いたことがない。
よし今日もやるか」
「ファルト」

俺は魔法を唱え、手にだした炎をキャラシーに向かって攻撃する。
するとキャラシーは小さな声で「キャッと」いい燃えながら消えてゆく、そしてキャラシーが消えた場所にはこの世界での通過の100コインが落ちている、『一コイン=一円の価値』俺はそいつを何体も倒しているうちにある事に気がついた、太陽が真上に来ている。昼だ。
そういえば腹が減った、そう気づいた途端『ぐぅ』とお腹がなった。

少し疲れた感じで村に戻り、今日ゲットした2000コインを手に持ち村のスイファス食堂に向かった。
そこにつき中に入るといつもと同様、マスターが「いらっしゃいませ、いつもご利用ありがとうございます」と言ってくる。
そこは小さくはあるがカフェ的などことなく落ち着く雰囲気のいい店なのだ。
この時間体は人が少なく、来るのはせいぜい4、5人程度。
何故知っているのかと言うと、この店には何かと世話になっている為、毎日モンスター狩りの後に来るのが日課になっているからだ。
あと、この村にはここを合わせて3件しかないのも理由の一つ。
俺はいつも通りその店で食事をしていた。
すると何か後ろで聞き覚えのない声がした。
そのためそこを見ると、見かけない髪は肩の少ししたに来るぐらいの長さの黒髪で腰までしかない小さい羽織にミニスカの少女が村一番の悪党人のガルという男に腕を捕まれ立ち往生していた。
少女の困っている顔から少し気になりそこに耳を傾け話の内容を聞いてみる。

「いいじゃねーか別にそんなに高くは見えないけどな、しかもここ汚れてるし」
「でも3000コインで売ると言った時確かに分かったと言ったじゃないですか」
「でもこんなに色が汚いとは思わなかったから仕方ねぇだろ」

ガルの手に持っているものを見る限り色は薄汚れた黒色の…マントだ。

「そんな...」

俺の中での極力関わりたくない奴ナンバー1にひってきする場面だっかが、これ以上面倒なことになって欲しくない気持ちが勝手に動いたのか、気がつくと足が動いていた。

「あの〜何やってるの?」
そういうと少女が俺の方に今にも泣きそうな目でこちらを見つめてくる。
俺は『可愛い』と思ったが今はそんな事思っている場合ではないとさとり話に戻った。

「はぁ?何って商売に決まってんだろ、てめぇに分かる事じゃねぇんだよ引っ込んでろ」
「でもその子困ってるみたいだけど」
「テメェには関係ねぇって言ってんだろーがひつこいぞ殺されてえのか」
  「関係なくても困ってる人を助けるのがふつうだとおも....」
  「こいつ本気で殺されたいみたいだな、ならやってやろうじゃねぇか、お前みたいな弱そうな奴俺様の軽いパンチでぶっ飛ばしてやる」

かっこよく決め台詞を言っている途中だというのにもかかわらず、いきなりガルが殴りかかって来た。
だが俺のレベルは64、この村では一番強く多分他の街や村でも強い方、この街にいるのが勿体無いくらいのレベル。
だから負けるはずがなく、ガルのパンチを軽く見切り、かわしミゾを素早く殴る。
すると「うわぁ」といい気絶してしまった。

すると少女が笑顔で俺に近づいてきてこう言ってきた。
「ありがとうございます、何と言ったらいいか」

それに対して俺は顔を横に振る。
「いいよそんなの、困ってたし、それにこういうのは見逃せないたちなんでね」
「そうなんですか、でも本当にありがとうございました」
 
軽くスルーされた、まぁいい。
「お礼に一つだけ私の範囲で出来ることなら何でも言う事を聞きますよ」
「何でもか、えっと、じゃあ一つ頼みがあるんだけどさ」
10秒程ではあったが考える素振りを見せた。
そして続けて少しためらいながらも願いを言う。

【数十分後】
話が終わり、席に座っていた少女が不思議そうな顔で聞いてくる。

「確かに私は旅をしていて偶然この村に泊まっただけですけど、あなたは何故私と旅をしたいんですか?」
  「さっきも言ったように俺はこのレベルを無駄にしたくないんだ、あともちろん魔王を倒したい........だから....仲間が欲しいんだ」
  「事情は分かりました、でもわざわざ私じゃなくても他にもまだいたはずでは...」
 「あー俺は人付き合いが苦手でね、言い方はちょっとあれだけど、チャンスだと思ったんだ、無理にとは言わない......もちろん嫌なら嫌って言ってもいい」

その少女は少しの間考えさせてと言ったあと、数分経ったところで小さくうなずき話し出した。

「まぁそう言われたら仕方ないですね、助けてもらったし、しかも悪い人そうには見えないですし、私もずっとひとりで仲間が欲しいと思っていたところだし!分かりました、じゃあ自己紹介から…私の名前は『ミア・トール・エスカ』それじゃあこれから宜しくお願いしますね、えっと.......」
 「本当か?ありがとう、ありがとな、ミ、ミア......
あ、あと俺の名前は水島コウヤ、コウヤでいいよ、こちらこそよろしく」

  名前を教えていなかったからなんて言えばいいのか分からなくなってるところに慌ててこちらも自己紹介をする。
ちょっと泣き目で。

「よろしくお願いしますね、コウヤさん」

  その反応がちょっと面白かったのか「クスッ」と小さく笑う。

「ああ、、ってかさこれから一緒に旅するんだし、ため口でいいよ」
  
気まずいしあまり他人行儀だと『仲間』という感じがしなかったからもあるし、こちらだけため口だと少し悪いと思ったのだ、俺にとっては気を使ったと思う。

「そう?じゃあ今度からそうさせてもらうね」
「あっあぁよろしく頼む。」
  「顔赤いよ、大丈夫?」
  「だっ大丈夫だ、しっ心配しないで」 
 「それじゃ行こうか」

  つい取り乱して自分でもなんでと思うことを言ってしまった。

「行こうかってどこに?私今日はここの宿に泊まっていこうと思ってるんだけど、しかも今はまだ昼だし」

  「そうか...それじゃあ俺の家に泊まっていってよ」

 思わずまた何も考えずに言ってしまう。

 「えっでも......」

ミアが戸惑うのは当たり前だ今日出会ったばかりの男にいきなり家に来いと言われたのだから。

  「いいよ、俺の家空いてる部屋あるし、あと何もしないから安心して」

 この時点で俺は仲間とはいえ女の子にほぼ悪質な誘拐みたいなことをしてしまったと思った。
何が部屋は余ってるだ、と。

 「すっすみません、じゃあお願いします」

  無理して笑顔を作っているのかも分からないくらいに多分無理にて笑顔で言ってくれた。

「あぁ、」

その答えに俺自身も驚いたが、罪悪感があったのは内緒の話…。
そしてそのまま食堂で食事をし、長話をしているといつの間にか時間は夜7時だった。

「じゃあミア、そろそろ行こっか」
「うん」

そう言って店を出ようと歩き出したその時、さっきの男が起き上がった。
そう強く殴りすぎたか5時間は気絶していたのだこの男は。
そしてまたも殴りかかってきた。

  「てめぇさっきはよくもー」
 「お前しつこいよ」
  「ぐはぁっ」

俺はその後ろから来る男に対して振り向かずに顔を殴ると、また気絶してしまった。
今度は何時間気絶するのかと思いながら。

  「さぁ今度こそ行こうか」
  「は、はぁ」

ミアはそれを見て男を少し同情の目で見ながら店から出ていった。
それに続いて俺も店をでた。
するとミアが外を見ながら立ち尽くしている。
どうしたんだと俺も外を見る。
すると信じられないほどの雨が降っていた。
俺はそれを見た瞬間ミアの手を引き店に戻った。

これからの俺達の旅もこの天気のように悪い方に変わらなければいいが.............本気で思った。












次回→「新たな仲間、そして始まる』


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