ふたつの世界で展界異世界生活

水島コウヤ

新たな仲間、そして始まる。

ミアと旅を始めて3週間が経った頃だった。
俺達は鍛冶屋が有名なある大きな街に来ていた。
この街は世界でも人気な街でメインストリートとなる場所には多くの人がにぎわっていた。

「ほぉここが世界でも有名な街『エルトシア』か、でも流石にメインストリートには人が沢山いるな」

俺は元々田舎生まれの田舎育ちだったため、このような人混みが苦手であった。

「あれぇ~隼人もしかして人混みが苦手なの~?」

ミアが俺の顔を見て分かったかのように図星をついてきた。

「そ、そんなこと無いよ、でも楽しいかな…俺元々田舎暮らしだったから、ミアと出会って本当に良かったよ」
「へぇ~そんな事思ってくれてるんだ」
「まぁな」
「それよりお腹すいたから早く宿探してご飯食べに行こうよ」
「そうだな、うーんじゃああそこに行ってみるか」
「うん」

メインストリートの筋道を少し行ったところに少しだけ見えるウェストと書いてある看板の宿に入った。
そこは人けがあまり無く、あまり繁盛しているようには見えない古びた店だった。
でもそう思ったのはつかの間、中にはいってみるとそこは店の外見を疑わせるような和を感じさせる空間が広がっていた。

「おー凄いな外見とは違って中はこんなにいい所何てこの宿にして良かった」
「そうだね確かにどこか懐かしい感じがするよ」
「あれミアはこんな感じの場所の出身だっけ」
「ううん違うよ、例えよ例え」
「おい」

すると浴衣のようなものを着た人がこちらに歩いてきた

「いらっしゃいませ、2名様ですね部屋割りはどうなさいます?」
「えっとじゃあ2部屋お願いします」
「かしこまりました。お部屋はこの廊下を行ってすぐ突き当たりの2部屋でございます」
「はいありがとうございます」
「ああちょっと待ってくださいお客様、お食事は今お食べになさいますか?」
「ここは食事まで出るのか、どうするミア」
「うん、ここで食べる」
「かしこまりました、ではごゆっくり」

それぞれ部屋に入るとすぐに食事が用意されそれを食べたあと俺達は少し街の散歩をすることにした。
と言うより料理もやっぱり日本の和風定食系で馴染みがあって美味しかった。
こういうのは外人のミアからするとやっぱり美味しく感じるのだろうか。
まぁそんな事はどうでもいい、これからも旅をしていくのだから。

「やっぱり広いなここは油断したら迷子になりそうだ」
「そうだよ隼人、迷子にならないでよね」
「1番なりそうなのはお前だろ」
「そんな事ないもん」
「本当か~」
「本当だよ~~~」

このくだらない会話を済ませたあとそれぞれ好きな場所を見て回ることにした。
てかもう恋人同士の会話みたいで実際のところめちゃくちゃ恥ずかしいんだからあまりこんな、『本当か〜、本当だよ〜』て何か恥ずかし、恥ずか死するわ。

「じゃあ5時に宿に集合な、遅れんなよ」
「そっちもね」

そう言って俺たちは別々に行動をする事にし、お互い見たいものがあるからと偶然別々の方向に向かっていった。

【数時間後】
そしてあっという間に時間は過ぎきずけばもう5時を回っていた。
日は落ち始めて辺りはすっかり紅だ。

「遅いな~ミアどこで何してんだよ、ってかやっぱり迷子になったんじゃ」

俺がミアの帰りが遅いことに独り言を言っていると遠くの方からミアが手を振りながら走ってくる姿が見えた。
するとミアは同じ年ぐらいの女の子の手を引っ張っていた。
近くまで来て見てみると、黒のロングヘアの髪に赤いリボンをつけ顔はミアより少し大人びているが身長はミアとあまり変わらず、美少女だ。
でもなんでこんな可愛い子を連れてるんだ、もしかして誘拐!?そう思った俺が馬鹿だった。

「はぁはぁごめんね遅くなった」
「いいけど、その子は?」
「あぁこの子は私が迷子になっている所を助けてくれたソフィア・ラファエトスさんよ、助けてもらったお礼に仲間になってもらえないかと思って連れてきちゃった」
「連れてきちゃった、じゃ無いだろ助けてもらった上に仲間になってもらうなんてちょっと鬼畜すぎんだろミア!」

俺達が少し言い合いになっている所にそのソフィアという女の子が割り込んで言っていきた。
てかやっぱりこいつ迷子になってやがった、今度からは本当に一緒についてやらんと。

「ああその事なら私が頼んだんです、私、回復魔法だけは自信があるので力になれたらなって、あと仲間と旅とかちょっと憧れるなって思って」
「えっでも」
「だめ......です...か」

少し泣きそうになっている少女が上目遣いでこちらの顔を覗き込んでいた。
かわっ可愛いな。
俺は惚れやすい駄目な男なのかもしれない、いや周りがこんなに可愛いのが悪いんだ。
てかこんな事を言っている場合じゃない。
そう思いながら言う。

「いやっダメじゃないけど、本当に良いのか」
「はい!邪魔にならなければ」
「邪魔になる訳無いでしょ、ただでさえ私達はどっちとも回復魔法が使えないんだから逆に助かるわよ、だから良いよね隼人も」
「あ、あぁいいけど、じゃあ宜しくな、これから」
「はい、宜しくお願いします」
「何か私達もどんどんいいメンバーが揃ってきたわね、攻撃魔法が得意の隼人に回復魔法のソフィア、そしてなんと言ってもこのミアがいれば魔王何て楽勝よ」
「そんな事は無いだろってか何でお前だけ何も無いんだよ」
「それはそれこれはこれ、でしょ」
「何かどっかで聞き覚えのあるセリフだな」
「ん?」
「じゃあソフィア俺達はこの宿に泊まるけどソフィアはどうする?」

ミア何かはもう無視してしまうくらいだ。
ソフィアは俺のいったこの言葉を聞くと少し胸を張り自慢げに俺たちに衝撃の一言をいった。

「それなら、任せてください、お父様に頼んで私たちだけの家を建てましょう」

俺とミアは聞き間違えたのかと思い目を丸くしたままそのまま言葉が出せなくなってしまう。

「えっ何で誰も反応がないんですか」
「だって俺達の家ってまさかソフィアお前どっかのお嬢様だったりする?」
「はい、ラファエトス家の......」
「「えー」」

思わず俺とミアは同時に驚きの言葉が出てしまった。
そんな俺たちに構わず先に走り出してしまうソフィアを追いかけながら…、

「ほらほら早く行きますよ、早くお父様に頼まないと」
「ああぁ待ってくださいお嬢様~」
「その呼び方はやめてくださいよ、恥ずかしいんですから~」

こうして俺達は新たな仲間を増やすことが出来たと同時に新たな家まで貰えることになった。
まぁ簡単にその家が手に入ればの話なのだが。


((その頃宿では))
あれお客様は?

その後俺とミアは荷物を取り無駄に金を消費してその宿を去っていった。


【展界】
ミア「ここが魔法小研究所か…ふふっ楽しみ今日からこの世 界でも立派な社会人か。お邪魔します。」
隼人「あぁ宜しくってミア!?」
ミア「えっ隼人!?」


((別の国では))
ソフィア「ええっ来週から他の国で働いてもらう!?」
社長「あぁ済まないなソフィア君私も君は手放したくなかったのだが、もう決まってしまったことだ受け入れてくれ」
ソフィア「は、はぁでもどこに?」
社長「場所は、日本にある小さな魔法研究所だ。場所は小さ いけど技術が高いと有名なところだ、どうだ行ってくれるな」
ソフィア「分かりました、社長今までお疲れ様でした」
社長「あぁよろしく頼む」
ソフィア「では私はこれで失礼します」
社長「ふふっ」



この世界でも何かが動き始めている。


二重世界こんな常識ではありえない世界に立たされている。
一つは魔法やステータスなどがあるゲームみたいな世界、異世界。
もう一つはすべての国が平和で共存して発展し続けている、展開世界、略して展界。
いつも死と隣り合わせの異世界に比べて展界は安全でいいが、展界みたいに暇な世界は飽き飽きする。
だから神様はこのような異世界というものをつくったのだろう。
俺はそう考えている、いやそう考えるようにしている。

展界では徐々に異世界に近づきつつあることをまだ誰も知らない。

そう誰も……………………。










次回→『ミアとの出会いと魔獣との戦い』


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