異世界宿屋の住み込み従業員
182話 「暇つぶし2」
翌朝、探索者達が宿の朝食を取り終え食堂を出て行って少し経った頃、八木がふらふらとした足取りで食堂へと入っていき手近な椅子にのそりと腰掛け大きく欠伸をする。
その様子を少し呆れた様子で見ていた加賀、すっと飲み物の入ったコップをテーブルに置く。
「まさか徹夜でもしたのー?」
「おー……あんがと。……徹夜じゃないけど結構遅くまで起きてて、気が付いたら寝ててさー……正直ちっと寝不足だあな」
「ありゃ、それじゃー二度寝でもしてきたらー? お休みなんでしょ」
目の下に隈が出来るほどではないがそれでも眠たそうにしている八木に対し寝ることを進める加賀。
だが八木は軽く首を横に振るとやめておくよと答える。
「初日から躓くとそのまま食っちゃ寝生活になりそうな気がしてならない……」
「あー、まあ無理しない程度にねー? まあ、とりあえず朝食食べるといいよ。いま用意するね」
頼むわと言って加賀に手を振る八木。出された朝食をもくもくと食べ一度部屋へと戻る。
もそもそと室内をあさり取り出したのは加賀から借りていたPC。電源を入れ昨日見ていた画面を再び確認する。
「スキーとか無理よなやっぱ。やりたいけど……とりあえず大人しくトランプでも買ってくるか……」
電源を落とし着替え始める八木。紙が一般的に普及しているこの世界である、おそらくトランプもあるだろうと思い買い物に行くつもりなのだ。
「ちょっと買い物行ってくるなー」
「ん、一人で平気? 誰かと一緒のほうが良いんでないー?」
八木の体を見てちょっかい掛けるのは早々居ないだろうが、もし掛けられた場合八木はただの素人なので不安がある。そこに二人の会話を聞いていたアイネが声をかける。
「デーモンつけておくよ」
「アイネさんありがてえ」
とりあえずデーモンが付くのならば安心だと言うことで八木は外套を羽織ると玄関へと向かう。
外は少しだけ雪が舞っており中々に気温は低い、が八木自体別に寒がりという訳でもないので特に気にした様子もなく外へと出ていく。
「着いた着いた。近所だと助かるなー」
歩いてほんの数分で八木は目的の雑貨屋前に到着していた。
ぽんぽんと外套についた雪を払い扉をくぐる。
「あら八木さんいらっしゃい。久しぶりねえ」
「ども、ご無沙汰してまっす」
店に入ると雑貨屋の店主であるエリーが八木を出迎える。店の外見は当初とは変わってしまっているが八木達がこの世界にきてすぐの頃からのなじみの店の一つである。
「トランプほしいんだけど有るかなー?」
「もちろんよぉ。1個で良いのかしら~?」
宿でトランプを一緒にやってくれそうな人はどれだけ居ただろうか、そう考えトランプやりそうな人を思い浮かべようとする八木であるが、そう言った遊びをしている場面を見たことがないのでぱっとは浮かばない。
「とりあえず3個もらえますか?」
「はぁい、ちょっと待ってね~」
宿に残る探索者の数は日によってばらばらである。多い日はそれこそ30人近く、逆に少ない日は一人も残っていない。
とりあえず間の15人が使うと考えとりあえず3つもあれば良いかとエリーに伝える八木。
「そんじゃありがと、また来るねー」
「はぁい、また来てね~」
エリーに手を振り雑貨屋を後にする八木。
トランプをするなんて恐らく数年ぶりだろう、久しぶりにやるトランプに思いをはせうきうき顔で宿へと戻って行く。
「ゲットしたぞー」
宿に戻って食堂に入ると同時にゲットしたトランプを見せびらかす八木。
ちょうど休憩をしていたのか食堂にいた何時ものメンバーが八木の声に反応する。
「おん? あ、トランプねー良かったじゃん。3個も買ったんだ?」
「おう、もしかすっと皆やるかも知れんし有ったほういいと思ってさ」
4人が囲んでいたテーブルの上にぽんとトランプを置く八木。
となりのテーブルから椅子をずりずりと運び自分もテーブルを囲む。どうやらトランプやりたくてしょうがないらしい。
「トランプか……しばらくやっとらんな」
「5人で出来る遊びあったかな?」
どうやらバクスとアイネはトランプで遊んだ経験があるらしく、割と乗り気である。
うー(なんぞこれ)
だがうーちゃんはやった事は無いらしい。てしてしと前足でトランプのケースを叩いている。
「そのケースに入ってる紙で遊ぶんだよー」
うーちゃんが叩いていたトランプのケースを開け、中身を取り出しテーブルに置く加賀。一枚手に取りうーちゃんへ渡すとしげしげと興味深そうに眺めている。
うー(なげるの?)
「やめてください」
八木のほうに向かい投げる仕草をするうーちゃんを真顔で止めに入る八木。
うーちゃんが投げるとさくっと刺さりそうでとても怖い。
「とりあえずー……ババ抜きでもやる?」
「いんでない?」
「うーちゃんに……ん、皆にルール説明するね。もしかするとお互い知ってるルールが違うかも知れないしね」
一通りルールを説明する加賀であるが幸いなことにアイネとバクスの知っているルールと変わらないようである。うーちゃんも簡単なルールなのであっさりと理解した模様。
その様子を少し呆れた様子で見ていた加賀、すっと飲み物の入ったコップをテーブルに置く。
「まさか徹夜でもしたのー?」
「おー……あんがと。……徹夜じゃないけど結構遅くまで起きてて、気が付いたら寝ててさー……正直ちっと寝不足だあな」
「ありゃ、それじゃー二度寝でもしてきたらー? お休みなんでしょ」
目の下に隈が出来るほどではないがそれでも眠たそうにしている八木に対し寝ることを進める加賀。
だが八木は軽く首を横に振るとやめておくよと答える。
「初日から躓くとそのまま食っちゃ寝生活になりそうな気がしてならない……」
「あー、まあ無理しない程度にねー? まあ、とりあえず朝食食べるといいよ。いま用意するね」
頼むわと言って加賀に手を振る八木。出された朝食をもくもくと食べ一度部屋へと戻る。
もそもそと室内をあさり取り出したのは加賀から借りていたPC。電源を入れ昨日見ていた画面を再び確認する。
「スキーとか無理よなやっぱ。やりたいけど……とりあえず大人しくトランプでも買ってくるか……」
電源を落とし着替え始める八木。紙が一般的に普及しているこの世界である、おそらくトランプもあるだろうと思い買い物に行くつもりなのだ。
「ちょっと買い物行ってくるなー」
「ん、一人で平気? 誰かと一緒のほうが良いんでないー?」
八木の体を見てちょっかい掛けるのは早々居ないだろうが、もし掛けられた場合八木はただの素人なので不安がある。そこに二人の会話を聞いていたアイネが声をかける。
「デーモンつけておくよ」
「アイネさんありがてえ」
とりあえずデーモンが付くのならば安心だと言うことで八木は外套を羽織ると玄関へと向かう。
外は少しだけ雪が舞っており中々に気温は低い、が八木自体別に寒がりという訳でもないので特に気にした様子もなく外へと出ていく。
「着いた着いた。近所だと助かるなー」
歩いてほんの数分で八木は目的の雑貨屋前に到着していた。
ぽんぽんと外套についた雪を払い扉をくぐる。
「あら八木さんいらっしゃい。久しぶりねえ」
「ども、ご無沙汰してまっす」
店に入ると雑貨屋の店主であるエリーが八木を出迎える。店の外見は当初とは変わってしまっているが八木達がこの世界にきてすぐの頃からのなじみの店の一つである。
「トランプほしいんだけど有るかなー?」
「もちろんよぉ。1個で良いのかしら~?」
宿でトランプを一緒にやってくれそうな人はどれだけ居ただろうか、そう考えトランプやりそうな人を思い浮かべようとする八木であるが、そう言った遊びをしている場面を見たことがないのでぱっとは浮かばない。
「とりあえず3個もらえますか?」
「はぁい、ちょっと待ってね~」
宿に残る探索者の数は日によってばらばらである。多い日はそれこそ30人近く、逆に少ない日は一人も残っていない。
とりあえず間の15人が使うと考えとりあえず3つもあれば良いかとエリーに伝える八木。
「そんじゃありがと、また来るねー」
「はぁい、また来てね~」
エリーに手を振り雑貨屋を後にする八木。
トランプをするなんて恐らく数年ぶりだろう、久しぶりにやるトランプに思いをはせうきうき顔で宿へと戻って行く。
「ゲットしたぞー」
宿に戻って食堂に入ると同時にゲットしたトランプを見せびらかす八木。
ちょうど休憩をしていたのか食堂にいた何時ものメンバーが八木の声に反応する。
「おん? あ、トランプねー良かったじゃん。3個も買ったんだ?」
「おう、もしかすっと皆やるかも知れんし有ったほういいと思ってさ」
4人が囲んでいたテーブルの上にぽんとトランプを置く八木。
となりのテーブルから椅子をずりずりと運び自分もテーブルを囲む。どうやらトランプやりたくてしょうがないらしい。
「トランプか……しばらくやっとらんな」
「5人で出来る遊びあったかな?」
どうやらバクスとアイネはトランプで遊んだ経験があるらしく、割と乗り気である。
うー(なんぞこれ)
だがうーちゃんはやった事は無いらしい。てしてしと前足でトランプのケースを叩いている。
「そのケースに入ってる紙で遊ぶんだよー」
うーちゃんが叩いていたトランプのケースを開け、中身を取り出しテーブルに置く加賀。一枚手に取りうーちゃんへ渡すとしげしげと興味深そうに眺めている。
うー(なげるの?)
「やめてください」
八木のほうに向かい投げる仕草をするうーちゃんを真顔で止めに入る八木。
うーちゃんが投げるとさくっと刺さりそうでとても怖い。
「とりあえずー……ババ抜きでもやる?」
「いんでない?」
「うーちゃんに……ん、皆にルール説明するね。もしかするとお互い知ってるルールが違うかも知れないしね」
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