異世界宿屋の住み込み従業員
54話 「まだまだ来るようで」
バクスと共に扉をくぐり入ってきた人物、ガイに三人の視線が集まる。
なお、うーちゃんは入ってきた人物を特に気にすることなくビーフシチューを食いまくっている。
視線を受け、さらには皆が食事中だったことに気が付いたガイは気まずそうに口を開く。
「すいやせん。食事中だったんすね……えっと、出直して来ますんで……」
「まあ待て、お前その様子じゃ街についたばかりで宿もとってないだろ。いまからじゃどこも満員で入れんぞ、俺のとこに来たのはその相談のためじゃないのか? とりあえず飯でも食ってけ、どうせ能力使って走ってきたんだろうし腹減ってるだろ」
とりあえず手でも洗ってこいと言われ一度食堂を出て洗面所に向かうガイ。
それを見送った後バクスは皆の方を見て口を開く。
「すまんな、勝手に話進めて……昔からの知り合いでな、弟子みたいなもんなんだ」
「なるほどお弟子さんでしたか……あぁ、彼にお客さんになって貰おうと?」
「ああ、あいつ自身ちょっと軽いところがあるが悪いやつじゃない。それに5人ぐらいでPT組んでてな試しに泊まって貰うには悪くない人数だ。それに皆そう悪いやつでもないしな」
そう言ってコップの中身を一口飲むバクス。少し長く話して喉が渇いていたのだろう満足そうにふぅと軽く息を吐く。
「他の宿とってしまってからだと奴にも手間を掛けさせてしまうからな……つい招いちまった」
「なるほど、そういうことでしたか。……ところで話は変わるんすけど、能力ってなんです?」
「ん? ああ……話しても好いんだが一応あいつに聞いてからでいいか? そろそろ戻ってくるだろうし。っと加賀、すまないが追加で食事用意して貰っても良いだろうか?」
加賀はその言葉にはーいと返事をし厨房へと向かう。
それから少しして再び食堂の扉がガチャリと開かれる。
手を洗う次いでに顔も洗ったのだろう、大分さっぱりした表情でガイが食堂に入ってきた。
「……うまそうな匂いが」
さっぱりして落ち着いたのか食堂にはいるなりくんくんと匂いをかぐガイ。
「おう、戻ったか。いま用意して貰ってるから座って待っとけ」
「あざっす!」
そわそわした様子で厨房の方をちらちらと伺うガイ。
おこにお皿を持った加賀が出てくるとその視線はさらに釘付けとなる。
「はい、お待たせしましたー」
テーブルにの上にことりと置かれた湯気を立てる皿を前にして、世話しなく視線をバクスと皿に行ったり来たりさせるガイを見て苦笑しつつ口を開くバクス。
「俺らのことは気にせず食っていいぞ。お代わりまってるだけだからな」
「っいただきまっす!」
バクスが言うや否やすぐさまシチューをかっこむガイ。
よほどお腹が空いていたのだろう、加賀がお代わりを注ぎやすいようにと厨房から寸胴鍋をストーブの移動したそのわずかの間にシチューの皿はもう空になっていた。
「相変わらず食うのはええな、おい……加賀、俺は後回しでいいから先に注いでやってくれ」
「はーい。食べるのはやいですね、お口に合いましたかー?」
加賀の言葉にぶんぶんと肯くガイ。その視線は注がれるシチューに釘付けである。
「はい! 食べたことない味だけど、むっちゃおいしいです!」
「ん、ありがとね。たくさん作ったからいっぱい食べてねー」
「はい!」
皆のおかわりを注ぎようやく落ち着けた加賀。
出来栄えを確かめるようにシチューを口に含む。
「うん、いけるいける。すじ肉もだいぶ良い感じだね」
「ほう……確かに、すじ肉がここまで柔くなるとはな」
「へーこれすじ肉なんすね…………えっすじ肉!?」
すじ肉と聞いて一瞬固まるガイだが、そんな事よりも食欲が勝ったのか再び何事のなかったかのようにシチューを次々と胃に納めていく。
「もう食えないっす」
「さっすがに食いすぎたな……」
「はい、デザートのプリンだよー」
プリンを見て小躍りするうーちゃんと対照的にプリンを見て固まる男衆。
咲耶はデザートが出ることを予想していたのだろうにこにことプリンを口に運んでいる。
「やっぱりデザート分は開けておかないとねえ」
「……デザートはゆっくり食うとして。ガイ、そろそろ事情聞いてもいいか? 宿探してるってことは分かるんだがな」
「あっはい!」
デザートを食べつつガイの話に耳を傾ける一同。
ガイの話が一通り終わったところでちょうど食べ終わったプリンの器を起き、バクスがふむと頷く。
「なるほどね、隣国のダンジョン攻略した直後にここのダンジョンの噂を聞いたと」
「そうなんすよ、酷いんですよみんな! ダンジョン攻略していざ凱旋! と思ったら冒険者みんな居なくなってるんですもん。出むかえてくれたの宝目当ての商人だけっすよ!」
なるほどねえと言って茶をすするバクス。
ほうっと一息つき、ひどいっすと憤慨するガイをみて思わず苦笑い。
「それで宝のオークションやら何やらあるんで、身軽な連中だけ先行でこっちきたと……まて」
「はい、なんでしょう!」
「全部で何人くるんだ? お前のとこのPTだけじゃないのか」
バクスの言葉に腕を組み考え込むガイ。
「たしか……合計で30人はいたっす。先行で来てるのは各PTから1人なんで……全部で5人す」
「部屋の大半がそいつらだけで埋まるじゃねえか……救いなのは来るのは当分先ってことか」
「まあまあバクスさん、人がこないより良いんじゃないですか? それにある程度の期間一緒に過ごして人達なんでしょ? トラブルとかも少なくなるんじゃないすかね」
八木の言葉にまあ、そうかも知れんが……としばらく考えていたがふと顔を上げたときにはすっきりした表情をしているバクス。
「なるようになるか」
そう言って2個目のプリンに手をつけるバクス。
吹っ切れたのか考える事を放棄したのか。果たしてどちらだろうか。
なお、うーちゃんは入ってきた人物を特に気にすることなくビーフシチューを食いまくっている。
視線を受け、さらには皆が食事中だったことに気が付いたガイは気まずそうに口を開く。
「すいやせん。食事中だったんすね……えっと、出直して来ますんで……」
「まあ待て、お前その様子じゃ街についたばかりで宿もとってないだろ。いまからじゃどこも満員で入れんぞ、俺のとこに来たのはその相談のためじゃないのか? とりあえず飯でも食ってけ、どうせ能力使って走ってきたんだろうし腹減ってるだろ」
とりあえず手でも洗ってこいと言われ一度食堂を出て洗面所に向かうガイ。
それを見送った後バクスは皆の方を見て口を開く。
「すまんな、勝手に話進めて……昔からの知り合いでな、弟子みたいなもんなんだ」
「なるほどお弟子さんでしたか……あぁ、彼にお客さんになって貰おうと?」
「ああ、あいつ自身ちょっと軽いところがあるが悪いやつじゃない。それに5人ぐらいでPT組んでてな試しに泊まって貰うには悪くない人数だ。それに皆そう悪いやつでもないしな」
そう言ってコップの中身を一口飲むバクス。少し長く話して喉が渇いていたのだろう満足そうにふぅと軽く息を吐く。
「他の宿とってしまってからだと奴にも手間を掛けさせてしまうからな……つい招いちまった」
「なるほど、そういうことでしたか。……ところで話は変わるんすけど、能力ってなんです?」
「ん? ああ……話しても好いんだが一応あいつに聞いてからでいいか? そろそろ戻ってくるだろうし。っと加賀、すまないが追加で食事用意して貰っても良いだろうか?」
加賀はその言葉にはーいと返事をし厨房へと向かう。
それから少しして再び食堂の扉がガチャリと開かれる。
手を洗う次いでに顔も洗ったのだろう、大分さっぱりした表情でガイが食堂に入ってきた。
「……うまそうな匂いが」
さっぱりして落ち着いたのか食堂にはいるなりくんくんと匂いをかぐガイ。
「おう、戻ったか。いま用意して貰ってるから座って待っとけ」
「あざっす!」
そわそわした様子で厨房の方をちらちらと伺うガイ。
おこにお皿を持った加賀が出てくるとその視線はさらに釘付けとなる。
「はい、お待たせしましたー」
テーブルにの上にことりと置かれた湯気を立てる皿を前にして、世話しなく視線をバクスと皿に行ったり来たりさせるガイを見て苦笑しつつ口を開くバクス。
「俺らのことは気にせず食っていいぞ。お代わりまってるだけだからな」
「っいただきまっす!」
バクスが言うや否やすぐさまシチューをかっこむガイ。
よほどお腹が空いていたのだろう、加賀がお代わりを注ぎやすいようにと厨房から寸胴鍋をストーブの移動したそのわずかの間にシチューの皿はもう空になっていた。
「相変わらず食うのはええな、おい……加賀、俺は後回しでいいから先に注いでやってくれ」
「はーい。食べるのはやいですね、お口に合いましたかー?」
加賀の言葉にぶんぶんと肯くガイ。その視線は注がれるシチューに釘付けである。
「はい! 食べたことない味だけど、むっちゃおいしいです!」
「ん、ありがとね。たくさん作ったからいっぱい食べてねー」
「はい!」
皆のおかわりを注ぎようやく落ち着けた加賀。
出来栄えを確かめるようにシチューを口に含む。
「うん、いけるいける。すじ肉もだいぶ良い感じだね」
「ほう……確かに、すじ肉がここまで柔くなるとはな」
「へーこれすじ肉なんすね…………えっすじ肉!?」
すじ肉と聞いて一瞬固まるガイだが、そんな事よりも食欲が勝ったのか再び何事のなかったかのようにシチューを次々と胃に納めていく。
「もう食えないっす」
「さっすがに食いすぎたな……」
「はい、デザートのプリンだよー」
プリンを見て小躍りするうーちゃんと対照的にプリンを見て固まる男衆。
咲耶はデザートが出ることを予想していたのだろうにこにことプリンを口に運んでいる。
「やっぱりデザート分は開けておかないとねえ」
「……デザートはゆっくり食うとして。ガイ、そろそろ事情聞いてもいいか? 宿探してるってことは分かるんだがな」
「あっはい!」
デザートを食べつつガイの話に耳を傾ける一同。
ガイの話が一通り終わったところでちょうど食べ終わったプリンの器を起き、バクスがふむと頷く。
「なるほどね、隣国のダンジョン攻略した直後にここのダンジョンの噂を聞いたと」
「そうなんすよ、酷いんですよみんな! ダンジョン攻略していざ凱旋! と思ったら冒険者みんな居なくなってるんですもん。出むかえてくれたの宝目当ての商人だけっすよ!」
なるほどねえと言って茶をすするバクス。
ほうっと一息つき、ひどいっすと憤慨するガイをみて思わず苦笑い。
「それで宝のオークションやら何やらあるんで、身軽な連中だけ先行でこっちきたと……まて」
「はい、なんでしょう!」
「全部で何人くるんだ? お前のとこのPTだけじゃないのか」
バクスの言葉に腕を組み考え込むガイ。
「たしか……合計で30人はいたっす。先行で来てるのは各PTから1人なんで……全部で5人す」
「部屋の大半がそいつらだけで埋まるじゃねえか……救いなのは来るのは当分先ってことか」
「まあまあバクスさん、人がこないより良いんじゃないですか? それにある程度の期間一緒に過ごして人達なんでしょ? トラブルとかも少なくなるんじゃないすかね」
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