東京 STAY TUNED
【Ep1】道玄坂ドリーム 其の壱
とある夏の真っ昼間。
渋谷の街は相変わらず湧き上がっていた。
行き場を無くしたコンクリートの熱が、狭苦しいビルの間に立ち込め、まるで砂漠の民族大移動の如く、身体を引き摺りながら熱地帯を移動する人たちで溢れかえっていた。
照りつける太陽は容赦なく全ての人に照準を合わせ、恵みの光を浴びせ続ける。
オアシスを求めてコンクリートの箱に逃げ込み、ひと時の安らぎを得て、また大移動の列の中に身を委ねる。
俺は夏が好きだ。
健康な男子なら誰もが感じる、異性の無防備な姿に沸き立つ本能がそう思わせてくれる。
薄いキャミソール一枚で、全ての男子の根底の部分を刺激出来ると思っている女達を、等しく表彰させてもらいたい。
そんな事を考えながら、俺は宇田川にあるレコ屋『Groovy』へ向かっていた。
途中センター街のタリーズでアイスコーヒーを2つ注文し、1つは手に持ち、もう1つはポーションミルクとガムシロップと一緒に紙袋に入れ、照りつける太陽を避けながら早歩きで宇田川交番前を通り過ぎた。
ハンズ前の横断歩道を渡り、坂を登った先の路地にGroovyの黄色い看板を見つけ、人1人しか通れなさそうな階段を登り階段上右側のドアをノックする。
中から返事はなく、代わりにKRS-ONEの「Step into a World」が爆音で鳴り響いていた。
俺が高校生の時にHIPHOPに出会いのめり込んだ要因の一つである、名曲中の名曲だ。
ドアを開け、まるで真冬の冷蔵庫の中の様な季節外れの冷気の中で、ターンテーブルに顔を埋めながら汗をかく熊の様な男を一瞥する。
俺が来た事に気付かないくらい、クロスフェーダーを切り替えながら、レコードを擦り続けていた。
渋谷の街は相変わらず湧き上がっていた。
行き場を無くしたコンクリートの熱が、狭苦しいビルの間に立ち込め、まるで砂漠の民族大移動の如く、身体を引き摺りながら熱地帯を移動する人たちで溢れかえっていた。
照りつける太陽は容赦なく全ての人に照準を合わせ、恵みの光を浴びせ続ける。
オアシスを求めてコンクリートの箱に逃げ込み、ひと時の安らぎを得て、また大移動の列の中に身を委ねる。
俺は夏が好きだ。
健康な男子なら誰もが感じる、異性の無防備な姿に沸き立つ本能がそう思わせてくれる。
薄いキャミソール一枚で、全ての男子の根底の部分を刺激出来ると思っている女達を、等しく表彰させてもらいたい。
そんな事を考えながら、俺は宇田川にあるレコ屋『Groovy』へ向かっていた。
途中センター街のタリーズでアイスコーヒーを2つ注文し、1つは手に持ち、もう1つはポーションミルクとガムシロップと一緒に紙袋に入れ、照りつける太陽を避けながら早歩きで宇田川交番前を通り過ぎた。
ハンズ前の横断歩道を渡り、坂を登った先の路地にGroovyの黄色い看板を見つけ、人1人しか通れなさそうな階段を登り階段上右側のドアをノックする。
中から返事はなく、代わりにKRS-ONEの「Step into a World」が爆音で鳴り響いていた。
俺が高校生の時にHIPHOPに出会いのめり込んだ要因の一つである、名曲中の名曲だ。
ドアを開け、まるで真冬の冷蔵庫の中の様な季節外れの冷気の中で、ターンテーブルに顔を埋めながら汗をかく熊の様な男を一瞥する。
俺が来た事に気付かないくらい、クロスフェーダーを切り替えながら、レコードを擦り続けていた。
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