ネガティブな俺が異世界転生したら!?

黒井 烏

5話 ギルド

俺はブランダンに別れを告げ、ギルドを目指した。

フリークス自由都市国家の首都ザイアスは、円形の形をしており、商業区・工業区・住宅区が外縁にあり、内縁に貴族区、中心に城といった作りになっている


俺は商業区にある、ギルドに向かって歩みを進めていた。

ギルドは、外縁門に近い位置にあった。

ギルドの威容は周囲の店と比べると、五倍近い大きさがあり、威圧感のある建物だった。


扉を開け入ってみると、数人がこちらに顔を向けたが、すぐに視線をもどした。

どうやら興味を失ったみたいだ。

想像していた、絡まれるような事態がなくてよかったと思ったが、落ち着いてみたら首都でそんなことをするやつの方が少ないかと、納得した。


ギルドに入り受け付けに歩いていくと、ひとつだけ列の並んでいないところがあったので俺はそこに行った。

そこにいたのは目付きの悪いドワーフだった。


「すいません、身分証をつくりたいのですができますか。」

「仮身分証を出しな」

素直に仮身分証を渡すと一枚の紙を渡された。

「そこに性別と名前だけ書きな」

俺は言われた通り書類に書いた。

「ちょっと待ってな」

そう言って3分ほどして、ドワーフがEと書かれたネックレスのような鎖がついているプレートを渡された。

「ほれ、これでお前は冒険者だおめでとう」


「初めはEのクエストで頑張りな」

ドワーフはぶっきらぼうにそんなことを言った。

「ありがとうございます」

俺はそう言ってクエストの張ってあるポードに向かった。

“E級クエスト”

・首都ザイアス周辺にある薬草10本採取
報酬 大銅貨5枚

・住宅区の清掃
報酬 大銅貨2

・商業区の鍛治師ルシオの手伝い
報酬 大銅貨1枚

・住宅区の孤児院の手伝い
報酬 銅貨8枚


うーん、露天で見てきたからだいたいの硬貨の価値は解る


*硬貨の価値*
銅貨1枚100円
大銅貨1枚1000円
銀貨1枚10000円
と10進法で増えていく。
銀貨の次が大銀貨、金貨、のようになっている

さてどうするか、値段で言えば薬草の採取なんだが、薬草の群生地もわからないし、周辺の地理も理解してないのでこれはやめておこう。



住宅区の清掃もせっかくブランダンにもらった服を汚したくないのでパス

残りは、鍛治師の手伝いと孤児院の手伝いか

せっかく鍛治スキル持ってるし鍛治師の手伝いを受けよう

そう決めると俺は、クエストの紙を受け付けに持っていった。


商業区に行ってみると鍛治屋と書かれたよく言えば素朴、悪く言うとぼろぼろな店を見つけた。

「ルシオさんクエストにきた者ですがいませんか?」

そう言うと人間の男がドアを開けた。

「いらっしゃい」

「はじめまして、クエストを受けて来た月鬼です、よろしくお願いします。」

「ああ、そうかあのクエストまだ貼ってたっけ」

そう言って苦笑いをしていると、こっちだついてきてと言われついていくと炉の前まで案内された。

「さて、君に手伝ってもらうのは、鉱石を運んでもらうことだ」

「一箱30キロ位あるからそれをここまで運んでもらいたい。」

「全部で20箱あるから頑張ってくれ」

俺は入り口に置いてある箱を30分ほどではこびおれた。

「ありがとう、お疲れ様」
そう言って報酬を渡してくれたルシオさんに声をかけるた。

「あの質問いいですか?」

「なんだね」

「鍛治の作業を見させてもらえないですか。」

俺がそう言うと、ルシオさんは少し考えてから

「うん、いいよ。つまらないかもしれないけどね。」

そう言って快くひきうけてくれた。

炉の前は暑いと思ったがこの体は丈夫なようで、なんともなかった。

ルシオが炉にいれていた鉄と思われる鉱石をとりだすとハンマーで叩き始めた。

10回位叩くと鉄が光を放ちながら剣の形になっていった。

俺は依然としてその光景を見ていた。

ルシオはこちらに振り返るとにっこりと笑った。

俺は、ハッとして立ち直るとルシオに質問をした。

「今のは鍛治スキルの効果ですか?」

「そうだよ、イメージしながらやるのがコツなんだ。」

そう、ルシオに言われたが俺の中のイメージでは鉄を折り返して硬さの違う鉄を重ね鍛える日本刀のイメージだったので驚いた。

「俺もやってみていいですか。」

自然と思ったことを言葉にだしていた。

「もちろん」

そういいながらルシオさんは俺にハンマーを渡してくれた。

俺は炉に鉄を入れると鉄が白くなるまで待ち、白くなったら取りだし、鉄を曲げて重ねる
それを15回やってまた別の鉄を取りだし今度は10回それをやり最初の鉄にそれを折り曲げて重ね日本刀になるようにイメージをしてスキルをつかった。

そしてハンマーを叩きつけた瞬間辺りが白く染まったかと思えば一瞬でもとの明るさに戻り、目の前には日本刀が出来ていた。

ポカーンとしているルシオを置いて、俺が喜びに浸っていると、ガシッそんな音がして俺の肩がルシオさんによってつかまれていた。

「き、君!どうやってそれを作ったんだい!?」

興奮しているルシオを落ち着かせ俺は日本刀について教えた。










「なるほど切るということを重点にした剣、いや刀がこれか。」

「ありがとう、参考になったこの刀は君にあげるよ。」

「えっ、でもいいんですか?」

「うん、僕も色々と勉強になったからね。」

「そうですか、では遠慮なくもらいますありがとうございました。」

そう言って俺は刀を受け取りギルドに向かった。

その後、ルシオが刀鍛治として国に名を轟かせたが、それはまた別の機会に。



ギルドにクエストの報告をしに行き、刀を見てしばらくニヤニヤしていた。

俺は刀をもっと調べて見たいと思いスキル鑑定を発動させた。


〈武器〉
種類:打刀
名前:無し
属性:無

攻撃力80
耐久力60

〈付与スキル〉
ノーマルスキル
【斬撃強化】

と出た。

攻撃力などを見てもあまり強くないなと思ったが、スキルが付いているのに驚いた。

名前が無しになっているので初めて作った刀だし記念につけるか、うーん

数十分悩んだ末に俺は、刀の名前を決めた。

「よし、お前の名前は‘氷刀 椿ひょうとう つばきだ。」

そう言った直後刀が蒼白い光を放った。

「目がー・・目がああああああー」

俺は某大佐と同じような声をあげて地面に転がっていた。

これが俺の相棒になっていくとは、この時はまだ知るよしもなかつた。





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