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事故死したので異世界行ってきます

暇人001

第31話 魔王軍②


 「な、なんだこれ……」

 ゲートをくぐった先に広がっていた光景は悲惨なものだった。
 リビングの机は壊され床には無数の穴、家の形をとどめているだけで家としては機能しない状態だった。

「其方の気持ちはわかるが今は先を急ごう」

「そうだな……」

 エリフィスとガンドラを取るべく自分の部屋に移動する。
 俺の部屋はリビングよりも悲惨なものになっていた。
 窓ガラスは破られ、ベッドは骨組みが剥き出しになるほど壊されている。
 案の定、【忘魔の書】は見つからなかった。
 千面嬢が盗って行ったのだろう。
 ただ、そんなにも部屋が酷い状態にも関わらず、ガンドラとエリフィスだけは少しも動いておらず、当然のことながら傷も入っていない。
 この事だけでも、2つのこと装備は異質である事は十分に理解できるだろう。


「やはり【忘魔の書】は奪われたか……」

 ラギナは若干落ち込んだようにそう言った。

「すまない……」

 俺はただ謝るしか術を持たなかった。
 ガンドラとエリフィスを装備した俺はラギナとともに国王室へゲートを使って向かう。





 支度を終えた俺とラギナは戦士達が待つ大広場へと向かった。
 其処には夥しい数の兵士と騎士が入り混じっていた。
 兵士は軽装備に片手剣と盾をを持ち騎士はフルプレートに一本の太刀を構えている。
 そんな屈強な男達の前にラギナと俺は肩を並べて大広場を見下ろせる高台の様な場所に登った。


「カルダドの血を継ぐ全ての戦士達よ、汝らの剣に誓へ、勝利と栄光を!!!」

『ウォォォォォッッッ!!!!!!』

 ラギナは高台からそう叫ぶと、戦士達は雷鳴にも似た雄叫びをあげた








「闘神様、この度は戦闘にご協力していただき誠にありがとうございます」

 俺の隣を歩くのはウィルだった。

「闘神様だなんて、ユウスケで良いよ」

「そ、そうですか……」

「それにしても凄い人数だね」

「えぇ、約7万人の軍勢で御座いますので」

「これじゃあ、俺の出番は無いかもね」

「そうであれば良いのですが……」

 ウィルは少し不安そうにそう言った。

「まぁ、なんかあったら俺がなんとかするから安心してよ」

「頼りにして居ます!」

 ウィルのその返事はとても力強いものだった。



 歩く事10分程度で正面から魔王軍が現れた。

「正面敵襲ッ!! 迎えう……」

 途中で指示が途切れる、何事だと思い【飛翔フライ】を使って見下ろした。
 するとそこには絶望を意味するかのような無数の魔王軍が居た、先程まで大軍に見えたカルダド軍隊が今ではまるでちっぽけな小部隊に見えるほどに敵の数は壮大なものだった。

「カルダドの戦士達よ!怯むな!我々には偉大なる黒き闘神様が居られる!」

 ウィルが精一杯の声でカルダド軍を鼓舞する。

「業火の所業、その身を焼き滅ぼし我が前に屍をさらせ古代魔法【獄炎羅葬アンフェルティノ・フレベルク】」

 鼓舞するその声に応えるように俺は魔法を放った。
 その魔法は大地一杯に広がっていた魔王軍の上空に巨大な魔法陣が現れ、魔法陣からは次々と大きな火の塊が降り注がれる。
 それはまるで隕石が落ちているかの様な光景にも見えた、地面をえぐり魔物の命を踏み潰す生々しい音を立てながら次々に降り注がれる。
 魔王軍の大半は【獄炎羅葬】により亡骸となったが、それでもまだカルダド軍と同等かそれ以上の数を誇っている。


「進めぇぇッッ ︎」

 ウィルが大声を上げた、それと同時に大量の戦士達が一斉に動き始めた。
 此方が動いたのを確認して魔王軍も動き始める。

「グァァッ!」
「ブハァッ」

 次々と戦士達が敗れていく、魔王軍とカルダド軍では数以上の戦力差がある様だ。
 敵を1体倒すのに5人は必要としている模様、これでは単純計算で5倍もの戦力差が生まれている。
 無駄な屍を積み上げるのは愚策だ。

「ウィル、ちょっといいか?」

「なんでしょう??」

「一度撤退命令を出してくれないか?」

「撤退……?わかりました……」

「ありがとう」

 渋々ではあるが撤退命令を出すことに協力してくれる様だ。


「全軍に告ぐッ!! 一時退避せよっ!!」

 重い足取りで後ずさりする者、軽い足取りで飛んでいるかの様に引き返してくる者、圧倒的に後者の方が多いという悲しい現実。
 この国の戦士はまともな教育を受けていないのか? 日本の侍だったら死ぬまで戦うという狂気染みた覚悟の持ち主ばかりだったが、ココではそう言う戦士は少ないみたいだな…… でもまぁ、退避命令が出るまでは戦ったのだから及第点ではあるか……


「ユウスケ様、撤退は完了いたしましたこのまま王国まで引き返しますか?」

「いや、こっからは俺が戦う、他の者達は全員ラギナの護衛につけてくれ」

「なっ… あはは、貴方には敵いませんね本当に、少し前に放たれた魔法でもうMPは底をついているのでは無いですか?」

「いいや、まだまだいけるぞ?」

「……」

 俺の発言に唖然としている様子だった、口は開いているものの言葉は発していない。

「それじゃ、行ってくる」

「御武運を……」





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