歩くだけでレベルアップ!~駄女神と一緒に異世界旅行~

なつきいろ

第185歩目 奴隷は主人とともに!ヘリオドールの3つの願い②


前回までのあらすじ

奴隷道というものがあるそうです!

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今回は少し長めです。

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 side -ヘリオドール-

□□□□ ~お財布事情~ □□□□

 場所を貴族区にある大型ショッピングセンターに移した妾達は、そこで少し早めの昼食を摂ることにした。

 さすが見栄で大きさにこだわる旧都である。
 王都にあるショッピングセンターよりも遥かに大きく、店数なども比較にならないほどだ。
 体感的には王都のショッピングセンターの3倍ぐらいの大きさで、もはや1つの村または町と言ってもいいだろう。

「さて、何を食べたい?」
「ここはお肉一択でしょー( ´∀` )」
「うむ。姉さまの意見に賛成じゃな」
「肉なのだ!肉なのだ!肉なのだ!」

「お、お前ら.....。少しは野菜も食べろよ」

 主が何を言っているのか分からない。
 女神様である姉さまはともかく、成長期である妾やトカゲは肉以外考えられないことだ。

 こう、もうちょっと体に脂肪を付けたいというか、なんというか.....。

 とりあえず、姉さまは肉のみステーキ1kgを10人前、妾は肉のみしょうが焼きを10人前、トカゲは豚の丸焼き10匹を頼むことにした。
 まぁ、メインへの繋ぎとしてはこんなものであろう。
 
 当然、皆で仲良く分け合って食べるので、飽きがくるはずもない。

「主はどうするのじゃ?」
「俺はお前らのように食べられないからな。適当に頼むよ。
 あらかじめ言っておくが、食べ過ぎるなよ?おかわりは1回までだからな?」

 ここで言うおかわりとは、注文のことを指す。

 30億以上の資金を持ちながら、主は意外と倹約家だ。
 1回の食事で、100~150万前後の値段で済ませるのが最近のお約束となっている。

 姉さまやトカゲは「まだ足りない!」と言うものの、主は魔動駆輪を購入する為に節約していると言っていたので、妾も主サイドにいる。
 ぎゃあぎゃあ騒ぐ姉さまとトカゲを制圧するのは妾の役目だ。

 ちなみに、『注文 → おかわり → デザート』の流れで、おおよそ100~150万前後となる。
 今回の場合は、1品辺り平均10~15万前後のものばかりだ。
 つまり、注文時で約300万、おかわりで約300万、最後にデザートで約100万の計700万。
 ここに『竜殺し』の称号割引で8割引きが適用されるので、約150万となる訳である。

 称号割引は、基本的に施設料金にしか適用されないものだ。(※世界編!【称号】 参照)
 なので、魔動駆輪とかのような商品には適用されない。
 しかし、食事に関しては施設付きのサービス扱いとなっているらしく、これには適用される。

 飲食店からすれば、妾達は天敵中の天敵とも言える存在なのである。

 姉さまとトカゲは、妾に感謝して欲しいぐらいだ。
 妾の頑張りが『竜殺し』獲得に繋がったのだから。

 ようやく届いた料理を一口頬張る。
 妾達のテーブルだけ温度が急上昇するのはいつものことだ。

「.....あ、あまり美味しくはないな」
「.....う、うむ。やはり城下町のほうが良かったのではないか?」
「いやー!虫きらーいヽ(`Д´#)ノ」
「そうなのだ!カサカサこわいのだ!これもおいしいのだ!」

 はぁ.....。
 虫など踏み潰せば良いだけではないか。

 本当に困った姉と妹なのじゃ。


□□□□ ~さっさと吐かぬか!~ □□□□

 デザートも食べ終え、腹も膨れたところで、妾の思考は再びフル回転を始めた。
 ちなみに、今は食後のティータイムといったところだ。

「あーん!」
「おっ。ありがとう」
「おいしー(。´・ω・)?」
「.....うん。美味しくはないな」

 姉さまは、主の膝の上で追加注文したお菓子を食べながら、まったりとくつろいでいる。
 いちゃいちゃするでない!イライラするのぅ!!

───くるるるるる

「も、もっと食べたいのだ.....」
「まだ食べ足りないのかよ.....。夕飯は多めにしてやるから我慢しろ」
「ほ、本当なのだ!?我は嘘は嫌いなのだ!約束するのだ!!」
「あぁ、約束だ。.....と言うか、俺がモリオンに嘘を付いたことなんて一度もないだろ?」

 トカゲは、苦笑している主に「約束なのだ!」とばかりに指切りをしている。
 主と指切り.....。う、羨ましいのじゃ.....。

 妾も姉さまやトカゲのように、主と何かしたいという気持ちは多分にあるが、どうしても『甘える』という行為に戸惑いを感じてしまう。
 素直に甘えられる姉さまやトカゲが本当に羨ましい。

 主の役に立つことなら積極的に行えるというのに、主に甘えるとなると.....。

 そんな己の不甲斐なさを頭から振り払うべく、思考の波へと無理矢理に埋もれていく。
 まず考えるべきことは、何故たわしが8個しかなかったのか、ということだ。

 今回、妾達は10回まとめて祈った。
 つまり、たわしは10個ないとおかしいことになる。

 おバカなトカゲは、どうやらその事に気付いてはいないようだが、これは明らかにおかしい。
 かと言って、トカゲが『加護』を得たという訳でもないようだ。

 当然、妾もステータスを確認してみたが、『加護』を得られていなかった。

 今まで様々な話を伝え聞くに、祈った後に神様からの恩恵を得られなかったという話は一度も聞いたことがない。
 そもそも、恩恵を得られなかったという事実があるのなら、必ずそういう噂や伝承はあって然るべきだ

 つまり、祈った回数分の恩恵は、何かしら得られていないとおかしいということになる。

 では、残りの2個はどこにいったのか。
 いや、もしかしたら、たわしではなかったのかも.....?

 念のため、もう一度ステータスをしっかりと確認してみるも、やはり『加護』は得られていなかった。

 これはどういうことだろうか。
 10回まとめて祈った弊害というやつだろうか。

 他の神様も姉さま同様いい加減な神様なら、その可能性も十分に有り得るが.....。

 そんな思考の波に呑まれていたら、主が思いがけない話を振ってきた

「ところでさ。ドールやモリオンは実際どんな力が欲しいんだ?」

 今までこんな話を一度もしたことがなかった。それが突然である。
 いや、今回の10回まとめて祈ったことが原因だと思うが、それでもあまりにも突然過ぎる。

 それに神様からの恩恵は神様が決めること。

 それを主が聞いてくるというのはどうにも腑に落ちない。
 仮に興味本位だと主張するのなら、もっと前に聞いてきてもおかしくはないはずだ。

「.....何故、急にそんなことを聞くのじゃ?」

 これが切っ掛けで、妾の中で主への疑惑が一層増すことになった。
 案の定、主は「興味本位だけど?」とか言ってきたので、すぐさま一蹴したことは言うまでもないだろう。

「.....のぅ、主?妾達に何か隠し事があるのではないか?」
「べ、別に、な、何も隠し事なんてしていないんですけどぉ!?」

 分かりやすい主じゃのぅ.....。

 何故か妙に慌てているし、最後のほうなんて声が上擦っている。
 ほぼ確実に、何かを隠していることは間違いないだろう。

「いいや、主は何かを隠しておる。そうなのであろう?」
「.....」

 しかし、往生際の悪い主は、一向に隠し事を吐こうとはしない。
 正直、なぜ主がそこまで頑なに話そうとしないのかはよく分からない。

 でも、だからこそ、妾は確信を持てた。
 先程の唐突な質問と頑なに言おうとしない態度から察するに.....。

 主は確実に神への祈りに関与している。

『無言や黙秘は逆に明確な証拠となる』ということを、どうやら主は分かっていないらしい。
 こういう場合は適当な嘘を付くのが正解なのだが.....まぁ、主では逆効果となるだろう。

 結論、主はもう真実を話す以外の道はない。

 ここで、妾は一気に畳み掛けることにした。
 黙ることの無意味さを主に思い知らせる為に。

 そして、主の奴隷である妾を頼ってくれないことへの怒りを込めて.....。

「主に1つ聞きたいことがある」
「な、なんだ?」
「何故、たわしは8個だったのであろうな?」
「ぶふっ!?」

 飲んでいたコーヒーを盛大に吹き出す主。

 ここまで尋問しがいのない容疑者というのも、ある意味珍しいのではないだろうか。
 もはや、カツ丼いらずのお得な容疑者である。

「どういうことなのだ?」

 いまだ事態をよく分かっていないトカゲは小首を傾げている。
 おバカなところもまたかわいいのじゃ!

 ちょうどいい。
 ここでトカゲを巻き込めば、トカゲには嘘を付きたがらない主にはもはや逃れる術はないだろう。

「トカゲにも分かるように説明するのじゃ。今回は何回祈ったか覚えておるか?」
「えーと、なのだ.....。10回なのだ!」

 両手をパーの形で胸の前に突き出すトカゲ。
 どうやら、1回1回ちゃんと数えて確認していたようだ。

 主が「ちゃんと数えられたな。えらいぞ!モリオン!!」と言って、トカゲを誉めている光景は何ともほのぼのとしている。

「10回祈ったのなら、10個のたわしがないとおかしいのじゃ。ここまでは分かるであろう?」
「分かるのだ!」
「でも、たわしは8個しかなかった」
「ちょっ、ちょっと待ってほしいのだ!」

 再び、トカゲはパーに広げた両手の指を1つ1つ折って確認していく。
 8個しかないと言った時点でおかしいと気付いてほしいところだが、主に算術を教えてもらったばかりで自分でやってみたいのだろう。

「1個なのだ.....。2個なのだ.....」
「そ、そうだ。ゆっくりでいいからな?ゆっくり数えるんだぞ?」

「アユム。うるさいのだ」

 主が二重(=妾の追及とトカゲの計算)の意味でハラハラしている姿を眺めつつ、トカゲの答えを待つ。
 と言うか、主はトカゲに対して少し過保護過ぎぬか?

 しばらくすると、答えが出たようだ。

「おかしいのだ!2個足りないのだ!」
「ふぅ.....。正解だ。良くできたな!モリオン!!」

 主はトカゲの頭をなでて誉めているが、何かを忘れているのではないだろうか。

 そもそも、トカゲの数え方は何かおかしかった。
 普通、指を折って数えていくのなら、親指から順に折っていくのではないだろうか。

 それが、トカゲの数え方は妙で、右の小指から始まり、次は左の小指、右の薬指、左の薬指と順々に続いていった。
 結局、最終的には両手の親指だけが残るという、とても珍妙な数え方だった。.....主はどんな教え方をしているのじゃ?

 まぁ、今はそれはいいとして.....。

「良くできたな!ではない。妾はどういうことかと聞いておるのじゃ」
「うっ.....」

「なんで足りないのだ?」
「うぅ.....」

 妾の疑惑の眼差しとトカゲのつぶらな眼差しが、往生際の悪い主を徹底的に追い詰めていく。


 ・・・。


 しかし、この時の妾は気付いていなかった。
 別に秘密を吐かせるだけならば、主を追い詰める必要性など全くなかったということを.....。


□□□□ ~姉さまだしのぅ.....~ □□□□

「そだよー!私と歩はねー、いつも神界にいってるんだー( ´∀` )」
「「.....」」

 なかなか吐こうとしない主に痺れを切らした妾は、ダメ元で姉さまに尋ねてみたところ簡単にゲロってくれた。
 これには、主だけではなく妾も唖然としてしまった。

 こ、ここまでの苦労とは一体.....。

 こういう一面があるからこそ、どうにも姉さまには信用を置けないのである。
 とは言え、姉さま曰く、「別にひみつじゃないよー(・ω・´*)」とのことらしい。

「秘密にするようなことでもないのなら、なぜ主は隠しておったのじゃ?」
「き、聞かないでくれ.....」

 どうせ、話していいかどうか分からなかったとか、そういうオチなのであろう。
 予想だにできなかった結末にしょんぼりとしている主に、妾は何とも言えない視線を向けるのみ。
 
 こういう場合、慰めの言葉は不要だろう。
 むしろ、追い詰めてしまう可能性すら有り得る。

「.....どの口が言っているんだ?ブーメラン過ぎないか?」
「知らぬ。それよりも、どういうことか早う言わぬか」
「まぁ、いいか。実はな、───」

 そこからは、今までの経緯を話してもらうことになった。

 ①主は特別な存在で、姉さまとともに神界という場所に赴くことができるということ。
 ②神様にも色々いて、神様によっては主ですらもどうにもできない事情があるということ。
 ③神様からの恩恵は通常神様が決めることだが、主の場合は主が決めていいということ。
 ④その際にはダーツというものが用いられ、神様によって、それぞれのルールが設けられていること。
 ⑤当てた報酬は主が自由に決めていいということ。それは妾達の分も含めて有効であること。

「と言うことは、妾達のたわしは.....」
「すまん.....」

 これで、全てに合点がいった。
 どうして、いつも主が申し訳なさそうに謝ってくるのか、が.....。

 ②の件があることからも、全てが全て、主のせいということではないだろう。
 しかし、真面目な主のこと、ずっと気に病んでいたに違いない。ずっと悩んでいたに違いない。

 本当に、どうしようもない主人なのじゃ。
 でも、だからこそ、主らしい。

「お、怒らないのか?」
「どうにもならないのであろう?
 ならば仕方があるまい。妾にもその気持ちは分かるからの」

 以前は出来ぬことなどないと思っていたが、今では世の中ままならぬことなど多々あるものだとさえ思っている。
 それは、主に無礼を働いたアルテミス様に敵わなかったことや、ニケ.....様のあまりにも得体が知れなさ過ぎて、文字通り尻尾を巻いて白旗を上げてしまったことなどなど。

『この世には絶対というものは存在しない』と、昔の偉い学者が言っていたらしい。

 しかし、実は絶対というものは存在する。
 それが超常なる存在である神様なのだと、己の身を持って嫌というほど思い知らされた。

 故に、妾が主を責める理由は全くない。

 無理なものは無理なのである。
 無理を望むは単なるわがままに他ならない。

 いや、むしろ責めるべき点は他にある。

「ど、どういうことだ?」
「分からぬのか?ヘパイストス様.....だったかの?」
「うぐっ!?」
「時間切れは頂けぬのぅ」

 無理なものは無理、これは仕方がない。
 しかし、ヘパイストス様の件は明らかに主のミスである。

「次回は気を付けるのじゃぞ?」
「.....あれ?意外とあっさりなんだな?」

「意外とはなんじゃ!失礼な!!
 主も反省しておるようだし、過ぎ去ったことをいつまでもぐちぐち言うても仕方があるまい?」

 時間切れは確かに主のミスではあるが、綿密な交流の結果、次回は格別な待遇を得られるのだからプラマイ0ということでいいのではないだろうか。

 過去よりも未来。
 過ぎ去った失敗など、もはやどうでもいいのだ。

「ドールは相変わらずだな。.....でも、ありがとう」

───もふもふ

「くふふ。それは何の礼なのじゃ?」
「ん?いいから黙って受け取っておけ」

 妾の尻尾をもふもふした主は気持ち良さそうに、でも、ちょっと気恥ずかしそうな笑顔で優しく微笑んだ。あ、主.....。
 ちゃんとしてればカッコいい主人なのじゃがな.....。


 やはり、主には妾が必要なのじゃ!!


□□□□ ~主とともに!~ □□□□

 主には妾が必要であると強く再確認したところで本題に戻る。
 それは、どんな力を欲しているか、というものだ。

「差し迫ってはヘスティア様の件だな。次回の十連時には叶えてもらえる約束だ。
 神界に行く前にもう一度確認を取るつもりでいるが、一応希望を聞いておきたい」

 ヘスティア様.....か。

 主の説明からだと、主に『家庭』関連の女神様だという。
 説明中に主が苦笑していたことからも、妾が求める力とはあまり相性が良くないのであろう。

 しかし、それでも、一旦保留にしてくれたらしい。
 更に言うのなら、既に貰う加護を決めている主やトカゲの分も次回に回したのだとか。

「まぁ、貰うなら、みんな一緒のほうが良いよな?どうせ次回貰えるんだしさ。
 モリオンもそれで良いか?.....と言っても、今更どうにもならないが.....」
「我は全然構わないのだ!お姉ちゃんと一緒がいいのだ!!」

「主.....。トカゲ.....」

 主のこういうところは本当にずるいと思う。
 他人からすればなんてことはない気遣いなのだろうが、それでも、主の優しさが妾の心を捕らえて放さない。

 奴隷モノではなく、1人の人間として見てくれているのが本当に嬉しい。
 まぁ、欲を言えば、1人の女として見てくれればもっと良いのだが.....。無理であろうなぁ。はぁ.....。

「このバカ主!」

───ぎゅっ!!

「いって!?何でつねられた!?」
「知らぬ!」
「り、理不尽過ぎんだろ!?」

 女心を一向に解さない主が全て悪い。
 腹をつねられることなど、おしおきとしては軽いほうだ。

 妾がこんなにも求愛している(全くしていない)というのに!

 主にコンコンと(狐だけに!)女心というものを説きたい気持ちは多々あるが、今は良しとしよう。
 それよりも、今はヘスティア様から頂ける加護の件を考えることが重要だ。

 頂ける加護は、主に『家庭』・『生活』・『健康』・『子孫』などに限られるらしい。

「ドールだと.....『生活』の【交渉】なんかが良いんじゃないか?」
「要らぬな」
「なんで!?」
『加護』に頼るほど落ちぶれてはおらぬ。
 そもそも、それに頼るようでは万事上手くいくはずがなかろう?」

 どうにも主は『加護』に頼りすぎている感が否めない。
 こういうところが危なっかしくて見ていられないのだ。

 やはり、妾が側に居たほうが良いだろう。だとしたら.....。

「のぅ、主。妾も主とともに、その神界とやらに行くことはできぬのか?」
「.....え?どうだろ?俺は特別らしいし.....。
 それに、さすがにヘスティア様では無理だと思うぞ?権限がないって言ってたからな」

「いや、別に、ヘスティア様に限った話ではないのじゃが.....」

 主は頭が固い。
 確かに先程までヘスティア様の話をしていたのだから、ヘスティア様と結び付けてしまうのは仕方がないのだが.....。

 それに神様がたくさんいるのなら、ヘスティア様以外にそういうのができそうな神様が1人ぐらい居てもいいはず、と普通は考えるものだと思う。

 これが主を含めて、みな神界とやらに行くことが無理だというのなら、妾だって諦めるし考えもしなかっただろう。

 だが、主は特別に神界に行くことができる。
 ならば、それを許可した神様が居て、許可できるシステムと力があるはずだ。

「あっ!なるほど!」
「あっ!なるほど!ではない。少しは考えぬか。それで?どうなのじゃ?」

「う~ん。それが可能なのは.....ゼウス様ぐらいか?でも、ゼウス様はなぁ.....」

 ゼウス様がどうかは知らぬが、少しは考えよ.....。

 呆れてものが言えない。
 これで、よく今まで1人でやってこれたものだ。

 それに、どうにもよく分からない。
 主は信頼しているようで、信頼していないのだろうか。

 こんなにも身近に聞ける存在がいるというのに.....。

 妾は「う~ん、う~ん」と唸っているだけで役に立たない主を無視して、姉さまに尋ねてみることにした。
 姉さも役に立つかは微妙なところだが、唸っているだけの主よりかは幾分マシだろう。.....そう願いたい。

 すると───。

「できるよー!」
「マジで!?」

 できるのは予想通り。
 そうでなければ、主が特別に行ける理由に説明がつかないのだから。

 問題はそこではない。
 どの神様ならそれが可能なのか、ということだ。

「そだねー、パパとママかなー。
 あとはー、デメテルお姉ちゃんもできるかもー(・ω・´*)」
「なるほど。デメテル様って、実質神界を統治している女神様だっけ?それならば可能か.....」

「ふむ。それで、実際は当たりそうなのかの?」
「う~ん。多分だが、ゼウス様とヘラ様は無理だろうな。狙うならデメテル様一択かと」

 ヘスティア様が数千年ぶりに当たったということからも、主の見立ては決して間違ってはいないのだろう。
 恐らくだが、最高神にあたるゼウス様やヘラ様は当たらないものだと考えたほうがいい。

「アテナ。ちなみにだが、ゼウス様を過去に当てた人はいるのか?」
「いないんじゃないかなー。少なくともー、私はしらないよー(´・ω・`)」

「お、おぅ.....。こっちは数万年単位かよ.....」

 やはり.....。
 いや、むしろ、当たらないようになっているのでは.....?

 とりあえず、今はゼウス様のことなどどうでもいい。
 それよりも、主とともに神界に行けるというのなら、妾はそれを切望したい。

「.....本当にそれでいいのか?力でも何でもないんだぞ?.....まぁ、俺としては助かるけどさ」
「主は頼りない主人じゃからな。(そ、それに.....、い、いつも主とともにいたいのじゃ!)
 じ、実際、妾に何ができるかはわからぬが、それでも居ないよりかはマシであろう?」

 肝心な部分は口籠ってしまったが、その分いつもよりも3割増しの尻尾ふりふりをお見舞いしてみた。
 くふふ。どうじゃ?かわいいであろう?

「ドール.....。いや、本当にお前は相変わらずだな。
 分かった。デメテル様に当たって、お願いできるようならそうしてもらうよ」
「.....た、頼むのじゃ」

 何が相変わらずなのか分からないが、深々と頭を下げる主。
 頭など下げぬで良いから、妾の求愛行動をちゃんと見んか!これだから童貞は!!

 しかし、これで妾の願いの1つ目はどうやら目処が立ちそうだ。
 いつその力が得られるのかは分からないが、それでも、しっかりと果たしてもらおうと思う。


□□□□ ~主と永久に!~ □□□□

「ドールの希望は分かったんだけどさ。ヘスティア様の件はどうするんだ?」

 そうだった。
 ヘパイストス様の件を皮切りに、思いっきり話が脱線してしまっていた。

 いつ巡り会えるか分からないデメテル様未来のことよりも、確実に恩恵を得られるヘスティア様の件現実のことを先に考えるのが建設的だろう。
 所詮、将来設計など、たらればの話、と同じようなものなのだから。

 過去よりも未来ではあるが、未来よりも目先現在のことなのである。
 つまり、現実に足を付けぬ者が未来を語ることなど笑止千万に過ぎないということだ。

 そして、このヘスティア様の件についても先程のやり取りで、ある程度の確信を得ることができた。
 きっと大丈夫だと思うが、一応確認はしてみよう。

「のぅ、主は本当に『勇者様』ではないのじゃな?」
「.....は?なんだいきなり?」

「いいから答えよ。どうなのじゃ?隠しておるということはないのじゃな?」

 先だって確認する必要があるのはこの1点だけだ。
 妾も主のステータスを確認したことがある以上、主は『付き人』で間違いないだろうが、それすらも偽造していたということになると話は異なってくる。

『勇者様』だけの特別では意味がないのだ。
『勇者様』だけの特別では妾の願いは叶わないのだ。

「俺は『勇者』じゃない。
 .....と言いたいところだが、そう言われるとなんか自信ないな。どうなんだ?アテナ」
「『勇者』じゃないよー!こーんな弱い『勇者』なんていないよー!あーははははは( ´∀` )」

「うるせえんだよ!くそ駄女神!弱くて悪かったな!!」

 ふぅ。良かった。

 主が姉さまの頬をつねる光景はもはや日常茶飯事なので、無視しておいてもいいだろう。
 重要なのは、主が『勇者様』ではないことへのお墨付きを得られたことだ。

 この瞬間、妾の中で確信だけではなく確証も得られたことになる。
 それはつまり、ヘスティア様の件は、これ以外の願いは有り得ないということだ。

「妾の希望が決まったのじゃ。妾は主と同じであることを望むのじゃ」
「.....ん?俺と同じってどういうことだ?」

「妾が望むは【不老】なのじゃ。妾の考えが正しければ、可能なはずじゃぞ?
 そして、それは3つ目の願いにも通じるものになる」

 勇者様がこの地にて不老であることは広く伝わっている。
 病気や怪我、戦いで死ぬことはあっても、老いで死ぬということはどの伝承にも記述がない上、いつまでも若々しく、まるで老いた形跡すらないとまである。
 そこから不老なのでは?とまことしなやかに噂が流れ、いつの時代かの勇者様が不老であることを明かして一気に広まったという訳だ。

 故に、各国の王族や皇族などは競うようにして勇者様を取り込もうとする。

 当然だ。
 不死ではないせよ不老であるならば、余程愚かな勇者様でない限り、その王国や帝国の繁栄は約束されたようなものなのだから。

 つまり、この世界では、世の権力者が不老不死を求める姿の縮図版ということになる。まぁ、この場合は次代勇者に託すことになる訳だが.....。
 ただ、それについては、とりあえず姫や王子をあてがっておけば、勇者様も王族や皇族の一族になる訳だし、問題はないのだろう。

 と、そんなことはどうでもいい。
 妾が言いたいのは、神界行きに限らず、【不老】もまた特別なものではないということだ。

【不老】に関しては、今まで勇者様の特権みたいなものだと思っていた。
 しかし、ここに勇者様ではない、ただの『付き人』である主も【不老】ときた。

 それはつまり、【不老】もまた、それを許可した神様が居て、許可できるシステムと力があるということだ。

「ただの付き人で悪かったな!」
「小さいのぅ。小さいのは男の証だけで十分なのじゃ」

「ち、小さくないから!少なくとも、アレス様よりかは大きいから!!」
「ほほぅ♪そこまで言うのならば、時間があるときにじっくりと見せて欲しいものじゃな?
 まさか嫌とは言うまい?小さくないのであろう?自慢できるだけの大きさなのであろう?んん?」

「おうおうおう!黙って聞いてれば好き勝手言いやがって!
 いいだろう!見せてやるよ!見て驚きやがれ!!舞日家の暴れん坊将軍をなめんなよ!?」

 良し!
 言質も取ったし、襲う口実にさせてもらうのじゃ♪

 ちなみに、主の暴れん坊将軍とやらはそこまで小さくはないと思う。
 少なくとも、妾が見てきた中では一番の暴れっぷりであることをここに追記しておく。

 ただ、姿形が暴れん坊将軍なだけで、実際は襲う勇気もないヘタレな小作人クラスではあるが.....。はぁ.....。

 ・・・。

 とりあえず、自称暴れん坊将軍な主を宥め、話を進めていく。
 話が大きく逸れていくのはいつものことなので勘弁してほしい。

「そういう訳で、ヘスティア様には【不老】を頼むのじゃ」
「う~ん。無理なんじゃないか?ドールの説明だとできなくはなさそうだが.....。
 ただ、ヘスティア様は権限があまりないみたいだしさ?」

「は?」
「え?」

 お互い驚いた表情で見つめ合う。

 しかし、その表情の意味合いは、妾と主では全く異なってくる。
 妾は信じられないものを見ている驚きで、主は訳が分からないといった驚きだ。

 そもそも、主が何を言っているのか分からない。
 ヘスティア様が授けてくれる加護『健康』が【不老】を含まないというのなら分かりもするが、権限がないことの何が関係あるのだろうか。

「え?どういうことだ?」

「ヘスティア様とは『家庭』を司っている女神様なのであり、『健康』も含まれるのであろう?」
「そうみたいだな」

「そして、主神とやらでもある。間違いないのじゃな?」
「それは間違いない」

「ならば、仮に『健康』に【不老】が含まれるとするならば、できるのではないか?」
「だから、そこまでの権限はないんじゃないか、って言ってる訳だが?」

 !?!?!?

 主の頭が本当に心配になる。

 妾は主から、ざっくりと神界のことについて聞いただけに過ぎない。
 普通に考えれば、主のほうが妾よりも神界について詳しいはずなのである。

 しかし、これでは.....。

「.....姉さま、できるであろう?」
「うんー。できるねー(・ω・´*)」

「うぇ!?なんで!?権限はどうなった!?」

 はぁ.....。
 そんなに驚くことかの?

 驚いている主を見る姉さまの視線もどこか呆れ気味だ。
 と言うか、姉さまに呆れられるようでは、主も姉さまと同じ穴のむじなということに.....。お荷物は姉さま1人で十分なのじゃ!

 そうそう、主は気付いているかどうか分からないが.....。
 姉さまは、ちゃっかりと加護『健康』には【不老】が含まれているということを明示してしまっている。

 正直、これは予想通りだ。

 加護『健康』の内容を鑑みると、主に体に何かを働きかける力であることは明白だ。
 恐らくは、妾の考えが及ばないような様々な効果を発揮したりもするのだろう。

 まぁ、それはいいとして.....。

 加護『健康』でも特に顕著であるのが、バッドステータスの抑制である。
 トカゲの候補である【壮身】とやらも、それの一種だ。

 そして、ふと『老いもまたバッドステータスの一種なのではないだろうか』と、妾は考えた。

 これといった明確な根拠は何もない。
 当然ながら、ただそう思っただけで、きちんとした理論は何もない。

 ただ、主から伝え聞くめちゃくちゃな神様像だけが、何故か妾に確かな自信を与えてきたのだ。

【不老】も不可能ではないと。
 加護『健康』ならば【不老】も得られると。

 そして、ヘスティア様と同じ女神様である姉さまからのお墨付きを得た。
 これで、加護『健康』から【不老】を得られることはほぼ間違いないだろう。姉さまというのが少し不安ではあるが.....。

「そんなことはどうでもいい!」
「どうでもよくはないのじゃろ!?」

 さすがにそれは聞き捨てならぬ!
 妾の一生を決める大事なことじゃぞ!

「何故、できるんだ!?俺は『付き人のレベルアップ』はできないと言われたんだぞ!?
 権限がないからできないとまで言われたんだぞ!?【不老】とか明らかにヤバいだろ!?」
「まぁ、主のはできぬであろうな」

「なんでだよぉぉぉぉぉおおおおお!
『付き人のレベルアップ』のほうが【不老】よりも大したことないだろぉぉおおお!
『付き人のレベルアップ』のほうが【不老】よりもショボいじゃねえかぁぁあああ!」

 主は悔しそうにテーブルをバンバンと叩き、まるで狂人のように暴れ狂っている。

 余程、ショックなんだろう。
 余程、納得できないのだろう。
 でも、できないものはできないのである。

 それ以前に、自身の力を大したことないとか、ショボいとか言っている事実に気付いてはいないのだろうか。

「なぁ、ドール.....。教えてくれよ.....。どうしてできるんだよ.....」
「いや、教えるも何も、『健康』の中にある加護の一種だからに決まっておるではないか」

「そんなんじゃ納得できねえよ.....。力にだって序列があって然るべきだ.....。
『付き人のレベルアップ』なんて、【不老】からしてみれば陳腐なもんだろ?なぁ?そう思うよな?」

 あ、あまりにも憐れすぎる.....。
 こんな主人に妾は仕えておったのか.....。

 などとは決して思わない。

 こんな主人だからこそ、妾が支えてやらねばいけないのだ。
 こんな主人だからこそ、妾が側に居てやらねばいけないのだ。

 奴隷の役目は主人の役に立つことである。
 そして、奴隷の真髄とは主人が弱っている時にこそ手を差し伸べることである。

 それが今なのだろう。
 だから、妾の考えを主人である主にハッキリと伝えることにした。

「主の言う通り、力にも序列はあるかもしれぬな。いや、間違いなくあるであろう」

 制限なき力はただの暴力に他ならない。
 そういう意味では、もしかしたら【不老】は相当上位に位置している可能性がある。

 バカにするつもりはないが、主の求める力よりかはきっと上位にある力だろう。

「じゃあ、何故できるんだ?
【不老】が認められるのなら、俺の『付き人のレベルアップ』も認められないと辻褄が合わないだろ?」
「それはエリス様とヘスティア様が説明しておるではないか」

「?」

 ヘスティア様はオリンポス12神の1柱であり、主神でもある。
 但し、実際の力は付き神クラスである。

 そして、エリス様の説明ではこうらしい。

 主神クラスなら、それこそ万能であると。
 故に、付き神であるエリス様は、己の領分までしか力を与えることができないと。

「ここまで説明してまだ分からぬか?」
「う、う~ん?」

「仕方がないのぅ。
 ヘスティア様が『主神であること』と『付き神クラスであること』を分けて考えてみよ」
「わ、分ける?」

「何に対して力が必要なのじゃ?
 主神クラスでは何ができるのじゃ?付き神クラスでは何ができないのじゃ?」
「ば.....んのうせい、か?」

 主の表情がみるみる変化していく。
 納得できたというなんとも言えない表情と納得したくないという悔しそうな表情に.....。

「.....つ、つまり、あれか?ドールの【不老】は主神だからできることで、
 俺の『付き人のレベルアップ』は付き神クラスだからできないということか?」
「そういうことになるの」

 エリス様は最初からちゃんと説明していたのだ。

 主神クラスの力を持っている神様ならば、己の保有する加護以外の力でも与えることができると。
 それはつまり、付き神クラスの力しか持たない神様では、保有していない加護の力は与えられないのだと。

 またヘスティア様も(正確にはユミエルちゃん)最初からちゃんと説明はしていた。

 オリンポス12神の1柱であり主神でもあることから、保有する加護の範囲内であれば授けられる力は多岐に渡ると。
 それはつまり、地位が主神であるならば、己の保有する加護の範囲内においては主神として振る舞うことができるのだと。

 要約すると、ヘスティア様は万能性という意味では付き神クラスの力しかない。
 しかし、加護の範囲内だったら、文句なし(=地位が主神だから)に主神クラスの力があるということだ。

 故に、仮に力に序列があったとしても.....。
 主の言う通り、妾が希望する【不老】は可能で、主が希望する『付き人のレベルアップ』は不可能ということになる訳だ。

「.....」

 静寂が辺りを包む。
 所謂、嵐の前の静けさというやつだ。

 主の膝の上に座っていた姉さまも、嵐が来る前に避難を開始したようだ。
 と言うか、まだ座っていたことに軽く驚く。どんだけ図々しいのじゃ!妾も座りたいのじゃ!!

「ふ.....」
「「「ふ?」」」

 そして、遂に嵐が吹き荒れることになった。
 妾達を台風の目とした、主という名の巨大なハリケーンが.....。

「ふっざけんじゃねぇぇぇぇぇえええええ!
 だから、神界はくそったれなんだよぉぉぉぉぉおおおおお!!」

───ガンガン!

「ひぃぃいいい(゜Д゜)」
「.....」
「こ、ここここわいのだ.....。アユムこわいのだ.....」

 姉さまやトカゲは怯えているが、妾はある程度予想していたので何ともない。
 むしろ、主の為にも、ここでスッキリと吐き出せてあげるのが奴隷の努めだろう。

 テーブルが悲惨なことになっているが、店側には後で謝っておけばいい。
 最悪、この飲食店の出禁を喰らう程度で済むのなら安いものだ。ショッピングセンターの出禁は困るが.....。

「まともな神様にも権限を与えろやぁぁあああ!
 何が付き神クラスだぁぁあああ!?んなもん知ったことかよぉぉおおお!!」

───ガンガン!
───バキッ!

「コンちゃぁぁあああん。こわーいよぉぉおおお(´;ω;`)」
「.....」
「.....(ぶるぶる).....お、お姉ちゃん.....わ、我はこわいのだ.....アユムこわいのだ」

 耐えろ!
 耐えるのじゃ!!

 主の鬱憤を晴らす為には仕方がない犠牲である。
 テーブルもイスも、そして食器も、何もかもが粉砕し尽くされているが、仕方がない犠牲なのである。

 最悪、この飲食店が粉砕されてしまっても仕方がないとしか言いようがない。

 堕ちた名声はまた拾い上げればいいのだ。
 いや、むしろ、この逆境こそ妾の腕の見せどころである。わくわくするのぅ!

「うらぁぁぁぁぁあああああ!
 ゼウスでてきやぃあぁぁあああ!!ぶっ☆○▼●◎◆!!」

 主の怒りのボルテージはますますヒートアップしていく。
 もはや何を言っているのかさえ判別できないほどだ。

 そして、ついに───。

「ふ、ふざ、ふ、ふ.....」

───ガタンッ!

「歩!? Σ(・ω・*ノ)ノ」
「主!?」
「アユム!?」

 頭に血が上り過ぎてしまったのか、主はその場で卒倒してしまう始末。
 その表情には悔しさとやるせなさと、一筋の涙が.....。


 こうして、妾は『主とともに神界へと赴くこと』と『主と永久に生きること』の2つの願いを伝えることができた。


「ん?妾の3つ目の願いじゃと?」

 それは.....。

「くふふ。あれしかあるまい?分かるかの?」

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後書き

次回、本編『最強神vs最強種』!

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余談ですが、ヘリオドールの3つ目の願いは主人公の子を孕むことではありません。
ヘリオドールにとっての願いとは、自力で為しえないことを祈る、ことになります。
故に、主人公との間に子を設けることは願いではなく、自力で為しえることだということになります。

では、ヘリオドールの3つ目の願いは.....。

それは既に答えが出ています。
ですので、敢えて触れるつもりはありません。

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