歩くだけでレベルアップ!~駄女神と一緒に異世界旅行~

なつきいろ

第165歩目 女神のアドバイス!


前回までのあらすじ

ダンジョンを攻略する為にお金は使いたくない!

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□□□□ ~アドバイスの結果~ □□□□

 今後の旅にも必要となる魔動駆輪を購入する為、節約生活に突入した俺達に降りかかる新たな問題点。
 それを解決すべく、智慧の女神(笑)アテナの智慧に頼ることになった。

「(笑)ってなにー!?ヽ(`Д´#)ノ」
「はいはい。智慧の女神。智慧の女神」

 そして、それは地球ではなんてことはない普通のものではあるのだが、この世界においては根幹を揺るがす程の画期的なアイディアだった。
 さすがに今回ばかりは感謝せざるを得ないだろう。

「じゃー、ぽんぽんしてー?」

───ぽふっ。ぽんぽん

「マジで助かった。ありがとう」
「にへへー(*´∀`*)」

 頭をぽんぽんされたアテナは、いつものように八重歯を覗かせながらにぱー☆と微笑んだ。かわいい。

(ちゃんとしてれば可愛い子なんだけどな~。胸大きいし)


 この日、海産物の村コルリカに『食べてびっくり!あの竜殺し様もたまげたドラゴンも殺せるコルリカえびせん!!』と、後に世界中に知られることになる名産品が誕生した瞬間だった。


 時は数時間前まで遡る。


□□□□ ~アテナのアドバイス~ □□□□

「名を売る.....?どういうことだ?」

 今後のダンジョン攻略にできるだけ金を使いたくない俺は、秘策ありと自信満々なアテナに意見を求めた。
 そして、返ってきた答えがこれだ。

「キャベツも言ってたでしょー?歩は結構有名だってー!それを利用しない手はないよー( ´∀` )」
「.....?.....済まん。よく分からん。分かるように説明してくれ」

 いや、俺が結構な有名人だってのは理解している。
 分からないのは、それをどう利用するのか、についてだ。

「簡単だよー!歩がこの地の名産品になっちゃえばいいんだよー!」
「ふぁ!?」

 俺が名産品になるってどういうこと!?

 アテナの斜め上なアドバイスに驚きすぎて目が飛び出そうになった。
 第一、それでは『名を売る』ではなくて『体を売る』のような気も.....。

「バカなことを言うておらぬで、姉さまの考えを最後まで聞かんか」
「す、すみません.....」

 ドールの一喝で正気に戻った俺は、 居住まいを正してアテナの言葉に耳を傾ける。

「この世界の人々ってー、あまり旅行しないでしょー。
 だからー、歩が各地の名産品になれば旅行する人も増えるかなーってー( ´∀` )」
「あ~。名を売るってそういうことか.....」

 アテナの言う通り、この世界には旅行という概念があまりない。
 旅行なんて娯楽をしているのは一部の貴族ぐらいであり、庶民にとっての旅行とは移住そのものなのである。

 つまり、アテナは『庶民にまで旅行というものを浸透させればいい』と言っているのだ。
 そして、それをする為にも、俺の『竜殺し』としての知名度を利用するべきなのだと。

 確かにそれが成れば、コルリカもダンジョンの資源だけに頼る必要性はなくなってくる。
 仮にダンジョンが2つ閉鎖したとしても、観光資源で村自体はやっていくことができるだろうから。

 ただ、問題は.....。

「俺に、そこまでの需要というか、求心力があるのか?」
「歩じゃなくてー、『竜殺し』のほうだねー( ´∀` )
 『竜殺し』ってゆー、生きる伝説に憧れてる人やー、その資産目当ての人達だねー」

「そ、そうか.....」

 いや?分かってたよ?
 俺個人が対象になってはいないことぐらいさ?.....HAHAHA

 それに、アテナの言うファンらしき人々が、俺達の旅に付いてきているのも薄々だが気付いていた。
 どうやら、フランジュあたりからぽつぽつと付いてきていると思われる。

 特にアテナのファンらしき人々は一目見ただけでもすぐ分かる。
 異様というか、不気味というか、まるでアテナを神の如く奉っている信者のようで気味が悪い。まぁ、アテナは女神なんだけど。

 だから、俺がダンジョンに行っている間、アテナ達はおとなしくお留守番をさせている。
 いくらしっかり者のドールが居るとはいえ、アテナ達だけでは俺が心配だし、何よりファンもとい信者によってアテナ達に何かあったらと思うだけで不安になるからだ。

「そーいう気持ち悪い人達じゃなくてー、一般の人達のこと言ってるんだけどねー(・ω・´*)」
「お、おぅ.....」

 気持ち悪いって言っちゃったよ、この子はっ!!

「あのねー、王都に人がたくさん集まってきてるのは知ってるでしょー?」
「そうみたいだな」

「まだまだ各地から集まってくる可能性もあるんだよー?
 その時にー、ほとんど素通り状態だった場所にー、
 歩イチオシの名産品があったら随分と変わってくるんじゃないのー?」

 た、確かに.....。

 人の心とは不思議なもので、有名人が持っている、使っているというだけで、仮に大したことないものであってもバカ売れするのは地球でもよくあることだ。
 それは異世界でも同じであって、それを如実に物語っているのがフランジュに集まってきている人々となる。

 要は、俺がオススメしている、絶賛しているという事実さえ残していけば、それがこの地の名産品となり、ゆくゆくは村の資源にも繋がっていくことになる訳だ。

「そうなると問題は.....。どうやってこの情報を広めるか、だな」
「簡単じゃーん!ギルドを使えばいいんだよー(`・ω・´) シャキーン!!」
「いやいや。(`・ω・´) シャキーン!!じゃなくて.....。さすがに私的利用はマズいだろ」
「私的じゃないよー?」
「どういうことだ?」

 アテナの説明はこうだ。
 ギルドに宣伝してもらう代わりに、これをクエストとしてしまうこと。
 そして、『名を売る』の通り、知名度をギルドに販売すること。

「クエスト.....?」
「わかんないのー?歩はバカだねー!あーははははは( ´∀` )」

「.....」

 アテナの頬にそっと手を掛ける。
 まるでお餅のようなもちもちした肌だけによく伸びそうだ。

「ひぃぃ(゜Д゜)」

 バカで悪かったな!
 つまらない煽りをしてないで、さっさと説明しろっ!!

「名産品が有名になれば欲しがる人も増えるでしょー?
 そうなったらー、取り寄せたくなるじゃなーい(・ω・´*)」
「なるほど!運搬のクエストか!!」

「ものによっては取り寄せできないものもあるよねー?
 そうなったらー、その地に行きたくなるじゃなーい(・ω・´*)」
「おぉ!確かに!それだと護衛のクエストにもなるな!!」

 こいつ.....。
 意外と考えてるな。

 売れる名産品、注目を浴びている名産品を、商人が黙って見ているはずがない。
 金の成る木だと判断したら必ず飛び付いてくるだろう。

 それに、運搬や旅行者が増えれば、自ずと道中の護衛の需要も高まってくる。
 報酬次第だろうが、それらが魅力的なクエストだと思われれば、それを生業とする冒険者も出てくるはずだ。ダンジョンに潜って冒険するよりもずっと命の危険性は低いのだから。

「それだけじゃないよー?」
「.....と言うと?」
「人が増えるんだからー、活気が出るでしょー?町興し効果も期待できるねー(o゜ω゜o)」

 それ、すごく分かる!

 例えるなら、お店とかがそれにあたる。
 お店に客が1人もいない状態でガランとしていたら、入るのに二の足を踏んでしまう。
 混雑しているのも嫌なものだが、客が全くいないというのも嫌なものだ。それなりに活気があるところが一番いい。

 金があるところに金は集まるというが、それは何も金だけに限ったことではない。
 人も同じで、人がいるところに人が集まるということだ。少なくとも、人がいないところには集まったりしないものだし。

 つまり、クエストであろうとも、一時的にはその村や町に人がいる(=活気がある)と思わせる効果も出てくるという訳だ。

「お、驚いたのじゃ。姉さまが、ここまで有用な案を出せるとは.....」
「だなぁ.....。単なる戦略バカなだけかと思ってたよ」
「にへへー(*´∀`*)それほどでもー!」

 いや、バカにされてるのに気付けよ。
 まぁ、少しは誉めているけどさ?

 とりあえず、アテナのアドバイスは概ね良いと思う。
 村の繁栄のお手伝いとかはいかにも勇者らしいし、知名度UPにも効果は抜群だろう。

 そうなると、片付けないといけない問題が出てくる。
 それは、クエストの報酬をどうすべきか、についてだ。

 本来、報酬とはクエストを発行した者が用意すべきものだ。
 しかし、俺達は今後も旅に旅を重ねる予定だから、報酬を用意することは当然のことながら不可能だ。正解にはできなくはないのだが、そもそも報酬を出していたら節約の主旨から外れてしまうので今回は除外とする。

「だから『名を売る』んでしょー!」
「どうやって?」

「簡単だよー!ギルドにこの話をもちかけるのー!
 そしてー、ギルドに名産品とクエストの斡旋をしてもらえばいいんだよー( ´∀` )」
「.....?」

 冒険者ギルドにこの話を持ち掛けるのはとてもいい案だと思う。
 国家の枠にとらわれない超法機関であり、世界中に展開されている冒険者ギルドならば宣伝力に文句はないし、地元に根付いている影響もあって名産品の斡旋もしやすいだろう。

 しかし、アテナのこの言い方だと.....。

「よく分からないんだが.....。
 俺達が発行したクエストの報酬をギルドに出させるっていうのか?」

 俺が解決しないといけないのは、報酬の問題であって宣伝方法ではない。
 それをアテナに尋ねた訳なのだが、返ってきた答えが冒険者ギルドとなると自ずとこういう答えが導き出される。

「そだねー(o゜ω゜o)」
「いや、それは無理だろ。
 俺達が発行したクエストなのに、報酬はそっちでお願いします!とか、どんだけ図々しいんだよ」

 いくら『竜殺し』の知名度を貸したところで、それとこれとは別問題だろう。実際に報酬を支払うのは冒険者ギルドになる訳だし。
 仮に冒険者ギルドが承諾したとしても、一個人にそこまで肩入れするのは機関としても問題が出てくるのではないだろうか。

「私達が発行っていっても最初だけでしょー?
 軌道に乗ればー、私達が発行しなくてもクエスト自体は常設されるだろうしー(・ω・´*)」
「初期費用だけでもバカにならないだろ.....」

「こっちは名を売ってあげてるんだよー?そこまで面倒みる必要あるのー?」
「勇者としてのイメージはどうすんだよ.....」

 厚かましい勇者、図々しい勇者なんてイメージが付いたら、それこそ目も当てられない。
 
 それとも、俺の気にしすぎか?
 しかし、勇者とは清廉潔白であるべきだと思うのだが.....。

「勇者じゃないのにー(。´・ω・)?」
「やかまわしいわっ!」

 確かにアテナの言う通り、これが上手くいった場合は、名を売っている時点で多大な恩恵をもたらしているのは間違いないだろう。
 いや、アテナが自信を持っているあたり、成功は九分九厘間違いないはずだ。

 世界に愛されているアテナが考えた作戦だ。
 その作戦が世界に愛されないはずがない。きっと大成功になるだろう。

 この時点で、冒険者ギルドが報酬を出すということにしても何ら不都合はない。
 それを上回るメリットが生まれるのだから。

 しかし、その成果が出るには、やはり時間がかかる。
 それまでの負担を、一切合切全て冒険者ギルドに丸投げというのはどうなのだろうか。

「じゃー、実も売っちゃうー(。´・ω・)?」
「『実も売る』とは?」
「名を売って出た利益もあげちゃえばいいんじゃないのー?」

 り.....えき、だと!?

 思いっきり失念していた。
 この作戦が上手くいけば、当然のことながら利益が出るのは当たり前のことだ。

 そして、これも当たり前だが、その利益を得る権利は当然のことながら俺達にもある。
 あまりにも勇者としての知名度を気にしすぎていたせいで、その事を完全に忘れていた。.....勇者じゃない者の弊害というやつか!?

「ナイスだ!アテナ!」
「とうぜーんっ!私は智慧の女神だからねー!あーははははは( ´∀` )」

 アテナはそう言うと、かわいらしい笑顔でドンッと胸を叩いた。

───ぷるんっ

 あっ。揺れた。

 今回ばかりはアテナを誉めざるを得ない。
 顔や体だけではなく、遂に女神にふさわしいアドバイスをしてくれたのだから。

「結局、どうなったのじゃ?」
「俺達が得られる利益を全てギルドに譲り渡すことにする」
「す、全てじゃと!?」
「あぁ。その代わりにクエストの報酬の件は全て丸投げするし、
 そればかりか、ダンジョン攻略の権利も代価として貰うことにする」

 俺は節約できてハッピー。
 ギルドと村も、村興しばかりか経済も潤ってハッピー。

 まさに両者win-winの素晴らしいアドバイスだ。

「わ、分かっておるのか!?
 この案が上手くいけば、それこそ莫大な富が手に入るのじゃぞ!?」
「だからこそ、譲り渡すんだろ?
 相手方がメリットを感じられないような取引をするのは信用に関わる」

『損して得取れ』という言葉がある。
 稼ぐ手段ならたくさんあるのだから、ここは勇者としての度量の大きさを示すべきだろう。

 それに今後もこういうケースが出てきた場合、ダンジョン攻略の権利を交渉次第では無償で手に入れられる可能性があるというだけでも、こちらとしては非常にありがたいものだ。
 俺達は『名実を売る』だけで、実際は何もデメリットは発生していないのだから。

 しかも、それが勇者としての知名度UPだけではなく、人助けにも繋がるのだから笑いが止まらない.....じゃなくて、俺も勇者として鼻が高い。.....勇者じゃないけど。

 アテナの、こういう一石を投じるだけで、二鳥にも三鳥にもなる考え方は嫌いじゃない。
 むしろ、1人のビジネスマンとして尊敬に値するものがある。ニケさんがアテナなんかを尊敬している気持ちがほんの少しだけ分かった気がした。

「私なんかってなにー!?ヽ(`Д´#)ノ」
「はいはい。智慧の女神。智慧の女神」

 俺の膝上でぷんすかと怒るアテナに、いつもよりも優しくぽんぽんをしてあげる。
 普段はどうしようもない駄女神だけど、なんだかんだ言って、頼りになるのは間違いない。

「にへへー(*´∀`*)どーしたのー?いつもよりもやさしーよー?」
「はぁ.....。お前は本当にどうしようもないな?」

 俺の心、アテナ知らずとはまさにこのこと。
 とは言え、これが最もアテナらしいのかもしれない。

「ぐ、ぐぬぬ!」
「どうした?」
「いちゃいちゃしておるでない!.....す、するなら妾と.....(ごにょごにょごにょ)」
「?」

 ドールが俯いて、もじもじと何かを呟いている。
 アテナがらしくて、ドールがらしくないという珍しい現象。.....明日は雪かな?

「大丈夫か?この後はドールに任せたいことがあるんだが.....」
「だ、大丈夫じゃ。.....それで、妾に任せたいこととは?」

「アテナがアドバイスしてくれた案件なんだが、
 それを高く売り付ける評価してもらうのは俺やアテナじゃ力不足だ」

 どんなに素晴らしい企画だったとしても、プレゼンが下手だったら、一定の評価を得ることは出来ても高く評価されることはない。

 これは俺が一番良く分かっていることだ。
 立案・プレゼン・成果、この3つがバランス良く取れてこその高評価なのである。

(HAHAHA。そういう点は俺以外の4人はすごく優秀だったよなぁ.....)

 営業時代にいつも契約数を競っていた東西南北さんを思い出して、ついつい遠い目になってしまった。
 あの4人は立案・プレゼン・成果のどれもがバランス良かったと思う。だからこその高評価だったのだろう。.....俺?俺は立案と成果だけ地道に頑張ったけどね!

 当然、今回の案件もギルドに持ち掛ける以上は、なるだけ高く売り付ける評価してもらうほうが良いに決まっている。それが勇者としての知名度に繋がる訳なのだから。

 しかし、俺はそういったことが苦手だし、こういう重要な案件を万事適当なアテナに任せることはもっとできない。
 そこで任せられるのが、俺をSSランクにまで押し上げてくれた.....。

「妾の出番ということじゃな?」
「そういうこと。お願いしてもいいか?」
「当然なのじゃ!妾に任せよ!」

 ドールの2本の尻尾が左右に優雅に振られる。

「恩着せがましくする必要はないぞ。
 ただ、勇者としての威厳というか、そんな感じのものが伝わるよう最大限にアピールしてくれ」

「回りくどいのぅ。じゃが、大船に乗った気でいるが良い!
 主に頼まれた以上、この仕事見事にこなしてみせるのじゃ!」

 俺も回りくどいと思うぞ?
 でも、それがいいんだろ?

 俺の予想通り、ドールの2本の尻尾は先程よりもぶんぶんと激しく振られている。
 忠誠バカなドールさんは、困難なお仕事ほどやる気に燃えるようだ。

「くふふ。腕が鳴るのぅ♪」
「まぁ、ほどほどに、でも最大限にな?」

 大役を任されたドールは、尻尾を嬉しそうにたなびかせながら両手を口にあてる仕草でかわいく微笑んだ。かわいい。

 俺が苦手なことは得意な人に任せればいい。
 立案のアテナ、プレゼンのドール、成果の俺。まさに適材適所というやつだ。仲間っていいね!

 そんな嬉しそうな姉を見て、自分も何かをしたいと思ったのだろう。
 今まで黙ってお菓子を食べていたモリオンが口を挟んできた。

「我は何をすればいいのだ?」
「モリオンはいつもにこにこ元気で、いい子にしていてくれるだけでいいぞ」
「おー!それなら我にもできるのだー!」

 お姉ちゃんと一緒で大役?を任されたモリオンは、のだー!とかわいく万歳して嬉しそうに微笑んだ。かわいい。

 訂正。

 立案のアテナ、プレゼンのドール、成果の俺。
 そして、マスコットのモリオン。まさに適材適所というやつだ。仲間っていいね!


 こうして綿密な話し合いの結果、ドールの活躍もあって、冒頭の『食べてびっくり!あの竜殺し様もたまげたドラゴンも殺せるコルリカえびせん!!』が生まれたのだった。


(う~ん。誇大広告な気もするなぁ.....。
 でも、地球でも大袈裟過ぎる程のキャッチフレーズは腐る程あるし別にいいか)

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後書き

次回、本編『村からの依頼』!

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今日のひとこま

~えびせんまでの道のり~

「そう言えば、コルリカの名産品は何にするんだ?やっぱりエビか?」
「もぐもぐもぐー!」
「.....食べながら話すな!って、いつも言ってるよな?」
「ひぃぃ(゜Д゜)」

───ぎゅむ!

「ふぇぇえええん。いたーいよー(´;ω;`)」
「自業自得だろ。.....それで?」
「つーん(´-ε -`)いじわるする歩には教えてあげなーい!」
「いい度胸だな?このくそ駄女神がっ!」

「あっ!あっ!ご、ごめんなさーい!」
「.....いいから早くしろ。ソシーネさんが困ってるだろ」
「.....(こほん。こほん).....い、いえ。.....(こほん。こほん).....村の為にご協力感謝します」
「もう、姉さまとトカゲが食べておるやつで良いのではないか?」

「えびせんか?.....いや、ここの名物はエビなのに、敢えてえびせんをチョイスするのもな.....」
「もぐもぐもぐ。.....(ごくんっ)えびせん、おいしーじゃーん(*´μ`*)」
「はむはむはむだ!」
「モリオン。食べながら話すな。悪い子だぞ?」

「(ビクッ!).....ご、ごめんなさい、なのだ.....」
「分かればいい。.....ちゃんと直そうな?」
「分かったのだ!頑張るのだ!」
「ちょっとー!?私の時とぜんぜん違うんだけどー Σ(・ω・*ノ)ノ 」

いやいやいやいやいや。
なぜモリオンと同じ扱いを受けられると思ったのか。

「だって、アテナだしなぁ.....」
「だって、姉さまだしのぅ.....」
「ん?ん?お姉ちゃんだからなのだ?」
「どーいう意味よぉぉおおおヽ(`Д´#)ノ」

「.....(こほん。こほん).....あ、あの、そろそろ.....」
「お前はそもそも直す気が全然ないだろ」
「妾が何度教えても直そうともせぬしの」
「お姉ちゃんは悪い子なのだ?」

「そうだぞ、モリオン。アテナは悪い子だ。見習うならドールにしとけ」
「はぁ.....。姉が妹の手本とならねばならぬというのに、姉さまときたら.....」
「お姉ちゃん!悪い子はダメなのだ!我と一緒に頑張るのだ!!」
「ぶー!直す気あるもーん(´-ε -`)」

「.....(こほん。こほん).....す、すいません、あの.....」
「じゃあ、何を直すつもりなのか言ってみろよ」
「主.....。さすがにそれは姉さまをバカにしすぎではないか?」
「みーんなでいっしょに食べればいーんだよねー(`・ω・´) シャキーン!!」

誰も食い意地について指摘しとらんわっ!
斜め上過ぎるだろ!?

「.....ドール。何か言ったか?」
「.....済まぬ。姉さまは規格外過ぎたのじゃ」
「それなら我にもできるのだ!アユムとお姉ちゃんに我の分をあげるのだ!」
「.....(こほん。こほん).....う、うぅ。.....(こほん。こほん).....あ、あの!名産品をですね.....」

「えびせんでも何でもいいんで、ちょっと静かにしててもらえますか?いま、このくそ駄女神に説教中なので」
「なーんでよー!じゃー、ぜーんぶ私が食べちゃうからねーヽ(`Д´#)ノ」
「ぁぁあああ!それは我のなのだ!」
「あっ!こら!くそ駄女神!!モリオンの分を取るんじゃねぇよ!後でめんどくさいことになるだろ!?」
「.....(こほん。こほん).....。.....(こほん。こほん).....承りました」


コルリカの名産品はこうして決まったのかもしれない!?



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