歩くだけでレベルアップ!~駄女神と一緒に異世界旅行~

なつきいろ

第30歩目 はじめてのおもらし!雇用契約2日目

ダンジョン16階層

「今日は20階層を目指しましょう」
「おー!」
「はい、頑張りましょう」

アテナの元気だけはいい返事とともに、ダンジョン攻略が始まった

「16階層からはウルフの代わりに牛が出るみたいですね」
「へ~。牛ですか......あれ?なんで知ってるんです?」

確かラズリさんは、このダンジョンは昨日が初めてだったはず。

「ギルドに20階層までの情報が出ていましたよ」

なるほど。
毎朝ギルドに寄っているのは情報を確認するためか。

「さすが元冒険者ですね。ラズリさんがいて助かります」

───ぽふっ。ぽんぽん

「えへへっ。ありがとうございます」

頭をぽんぽんれたラズリさんの嬉しそうな笑顔はきれいだ。

「あー!私もー!私もぽんぽんしてー!」
「はいはい」

───ぽふっ。ぽんぽん

「にへへー!ありがとー(*´∀`*)(にぱー☆)」

同じくぽんぽんされたアテナのにぱー☆は相変わらずかわいい。

「となると、20階層までは攻略済みってことですか。
 残念だったな、アテナ」

「なんでー?」
「......え?冗談だろ?」

アテナは安定のバカっぷりだった。

「いいか?20階層までの情報がギルドに出ていたってことは、誰かが20階層まで攻略して、その情報をギルドに提供したってことなんだよ。つまり......」

「つまりー?」
「新階層突破記念のダブルは、今回はなしってことだな」
「ふみゃあああああああああああああああああああ!」

アテナは叫びながら、両手で頭を抱え崩れ落ちた。

「そんなに悲しむことなのかよ!」
「でもなんかかわいいですね」

ラズリさんの言う通り、確かにちょっとかわいい。

新階層を突破したらダブルを買ってあげる約束をしていた。
アテナのやる気を出させるには、ご褒美で釣るのが一番だ。

「き、今日はダブルないのー?」
「今日は20階層までだ」
「ふえぇ(´;ω;`)」
「......い、いい子にしてたら買ってやるから」
「ほんとー!?わーい!ありがとー!歩~!」

o(≧∇≦)o←こんな顔で喜びはしゃぐアテナを見るとほっこりする

「ふふっ。アユムさんってアテナさんには甘いですよね」
「やっぱりそう見えます?」
「ええ。でもいいお兄ちゃんだと思います」
「お兄ちゃん......ありがとうございます」

「ただですね......シスコンもいいのですが、その愛を少しでも奥さんである私に向けてくれたら嬉しいです///」

ラズリさんは顔を赤くし、両手を頬にあて、いやんいやんと腰をくねらせている。

非常に気持ち悪い。

「向けませんし、ラズリさんは奥さんじゃありません」
「な~んでですか~!気持ちは既に奥さんなんです~」

ただの自称妻じゃねえか!

□□□□

───ザシュ

「モオオオオオオオオ!」

このフロアの魔物も敵とはならず、牛が光となって消えていく。
その場に残ったのは、瓶と白い液体だ。

「歩~!またミルクだったよー!飲んでいいー?」
「あぁ、いいぞ」

ごきゅごきゅごきゅごきゅ。
アテナが腰に手をあてて、ミルクを飲み干していく。

「ぷはぁぁぁ!おいしぃーーーーーーーーーーー!」

まるで銭湯でコーヒー牛乳を飲み干すおじさんだ。

「アテナさんはミルクがお好きなんですね」
「うんー!おいしいよー!ラピスもいるー?」
「いえ、私はあまり好きではないので......」
「なるほど。だからですかね」

俺は二人のおっぱいを見比べて納得した。

「なにがだからなんです?」
「なんでもないです。それにしても落ちないですね」
「はぁ?......まぁ牛肉はレア素材ですからね」
「お肉食べたいー!歩~!お願ーい!」

俺達は今、階層主部屋を前にして牛狩りをしている。
目的はレア素材の牛肉目当てだ。

───ザシュ

「モオオオオオオオオ!」

「それにしても食材が素材の魔物なんて珍しいですね」
「え?そんなことないですよ?あっ。レベル上がりました」
「またミルクー!いただきまーす!」

───ザシュ
───ザシュ

「モオオオオオオオオ!」
「モオオオオオオオオ!」

「そうなんですか?」
「今まで出てきた魔物も・・・」

今までって......蜘蛛に、狼に、なめくじとかだぞ?

「あっ。やっぱり言わなくていいです。知っちゃうと今まで食べていたものが、食べられなくなりそうなんで」

「またまたミルクー!いただきまーす!」

───ザシュ
───ザシュ
───ザシュ

「モオオオオオオオオ!」
「モオオオオオオオオ!」
「モオオオオオオオオ!」

「ふふっ。異世界の方には厳しいですかね?
 ......え?またレベルがあがりました」

「おいしいんでしょうが、ビジュアル的にちょっと......」
「まーたまたまたミルクー!いただきまーす!」

ごきゅごきゅごきゅごきゅごきゅごきゅごきゅごきゅ

「お前さっきから飲みすぎだろ!」
「ふえぇ!?」
「飲みすぎると腹壊すぞ?大丈夫か?」
「だいじょぶー!だいじょぶー( ´∀` )」

そう?そうなのかな?
やはり、あのデカパイの秘訣はミルクなのだろうか。


俺は再び牛狩りを再開した。

───ザシュ
───ザシュ
───ザシュ

「そう言えば、ダンジョンって何階層まであるんですか?」
「ダンジョンによりますね」

まぁランクがある訳だし、そうだろうな。

「ぶー(´-ε -`)またミルクー!いただきまーす!」


───ザシュ
───ザシュ
───ザシュ

「ダンジョンのランクと深さは、ダンジョンマスターの強さに影響されます......ええ!?また!?」

「ダンジョンマスターって、あのダンジョンマスターですか?」

小説とかによくある、魔物とか罠を仕掛ける人。
確か、ダンジョンマスターは討伐対象になったりするよな

「あっ!お肉ー!歩~やったねー(*´∀`*)」


───ザシュ
───ザシュ
───ザシュ

「し、失礼しました。ダンジョンを統括する人ですね。
 ダンジョンギルドに所属されている方々になります」

「ダンジョンギルド?
 ダンジョンマスターって討伐対象になってたりとかは?」

「ないです。ないです。そんなことをしたら殺人罪になりますよ」

俺が知ってるダンジョンマスターとは随分違うな。

「あれー?きこえてるー?お肉もうでてるよー?」


───ザシュ
───ザシュ
───ザシュ

「ダンジョンと都市は密接な関係にありますからね。
 ダンジョンマスターは需要があるんですよ。
 ......ええええ!?なんでこんなに!?」

「へ~。でも犠牲者が出たりしますよね?」
「そ、それは冒険者なら覚悟することですから」

それはそうか。
普段魔物の命を奪っているんだから、こちらの命も奪われる覚悟は必要か。

「あー!またお肉ー!ひとり一個までやるのー?」


───ザシュ
───ザシュ
───ザシュ

「冒険者はお宝などのメリットがありますが、ダンジョンマスターはなにかメリットはあるんですか?」

「知名度があがると、様々な場所から冒険者がやってくるようになります。そうなると、都市経済が潤ったり、都市の発展につながります」

密接な関係ってそういうことか。

「ざーんねーん!ミルクでしたー( ´∀` )」


───ザシュ
───ザシュ
───ザシュ

「それに有名な冒険者が集まると、それを一目見ようと人々が集まりますからね。あぅ......またです。怖いぐらい上がっていきます」

客寄せパンダみたいなものか。

「以前、勇者様が訪れた町は1年分の経済効果が出たとか」
「1年分!?」

「はい。経済効果だけではなく、町に住み着く人もいたと聞きますよ。ですから、ダンジョンマスターは時に国や領主から表彰されたりします」

表彰されるぐらいだから、恩賞もきっとすごいんだろうな。

「あっ!お肉でたー!これでひとり一個だねー(*´μ`*)」


───ザシュ
───ザシュ
───ザシュ

「ダンジョンから魔物が出たりとかしないですか?」
「そうならないように管理するのが、お仕事ですから」
「普段の生計はどうするんです?」
「う~ん。基本的には魔核や遺留品の売買ですね」
「魔核?」

また知らない単語が出てきた。

「ね、ねーねー。あ、歩~。き、きいてーきいてー」

───ザシュ
───ザシュ
───ザシュ

「魔物を倒すと素材が出るように、人も天寿以外で亡くなると魔核と呼ばれるコアを出します。魔核は生体研究などに使われるため、高値で売買されるんですよ。基本的に魔核の売却権は、ダンジョンマスターのみとなります」

「基本的にってことは、例外もあるんですよね?」
「はい。山賊や海賊討伐の証明にもなりますね」
「なるほど。盗賊の討伐証明ですか......」

「いえ。山賊や海賊です。
 盗賊は職業としてちゃんとありますので」

「あるの!?」

でも職業が盗賊ってなんかやだな......

「ああああ歩~(´;ω;`)きききききいてよー」


───ザシュ
───ザシュ
───ザシュ

「ダンジョンマスターか」
「興味ありますか?」
「なんかおもしろそうですよね。なれますかね?」
「ギルドに所属すればなれますよ。ただ......」

ラズリさんは少し困った顔をしている。

「この町には既に2つのダンジョンがありますから、ダンジョンマスターにはなれないでしょうね。そうなると、どこかの町に行かなくてはなりません......さびしいです」

「さびしい?なにがですか?」

「......アユムさんと離れ離れになるのが、です。
 それぐらい言わなくても察してください。バカ」

顔を真っ赤にし、さびしそうな、恥ずかしそうな表情を見せるラズリさんは一段と美しい。

なんだか照れ恥ずかしいから、牛狩りを続けよう。

「ああああああああああああああゆむ~(´;ω;`)」
「うるせえんだよ!くそ駄女神!黙ってろ!」
「ふえぇ(´;ω;`)」


───ザシュ
───ザシュ
───ザシュ

「で、でも驚きました。ラズリさんのことだから、てっきり俺についていくとか言うと思ってました」

「つ、ついていっていいんですか!?」

ラズリさんの表情が一瞬でパァッと明るくなった。

あ~。いちお遠慮してたのかな?

「やめてください」
「な~んでですか~!」
「だって、スカイさんが気になるんですよね?」
「......お見通しですか」

本当に母親想いのいい子だな。

「でもスカイさんの場合、スカイさんも俺についていく!っていいそうですよね」

「あ~!それは確かに言いそうですね!」

あれ?冗談のつもりだったんだけど......

「じょ、冗談ですよね?」
「どうでしょうね?ふふっ」
「HAHAHA」
「ふふっ」

なんかラズリさんが妖しい表情をしている。
これはシャレにならないやつでは?


そんな危機的状況を破ってくれたのはやはりこいつだった。

「ふえええええええん!歩のバカあああああああ!」

突然、アテナが大音量で泣き出した。

「ど、どうした?」

「ばかばかばかっー!歩のばかあぁっー!
 ばかばかばかあっー!なんで私を無視するのっー!」

アテナはまるで感情が爆発したかのように、俺の胸板をぽかぽか叩いてきた。

「だからなんなんだよ」
「......もらしちゃった。ぐすっ」
「......なんだって?」
「だから......おしっこもらしちゃった」
「......マジ?」
「みてー」

アテナはそう言うと、ワンピースをまくり上げて見せてきた。

「ぶっ!!」

鼻血出た。
この駄女神......

マジでもらしてやがる!!

無毛地帯から滴れ落ちるお小水はきらきらと輝いていた。

「・・・」
「・・・」
「なにか言うことは?」
「すっきりしたー!(にぱー☆)」

本当にすっきりしたのだろう。
アテナのにぱー☆はとてもかわいらしかった。

だがしかし......

「にぱー☆じゃねえんだよ!くそ駄女神!
 あれほど飲みすぎるなって言っただろ!」

「ふえーーーーーーーーーーーーーーーん!
 ごめんなさーーーーーーーーい(´;ω;`)」

俺にほっぺをつねられた駄女神は、喘ぎながらもまだおもらしは継続中だった。

どんだけ我慢してたんだよ!


アテナのおもらしを見ながら、俺は思う。

女神のおしっこ......これが聖水ってやつか!


本日の成果
①牛肉5個
②20階層突破
③ラズリさん10レベルアップ
④アテナのおもらし

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『アテナ』 レベル:3 危険度:極小

種族:女神
年齢:ーーー
性別:♀

職業:女神
称号:智慧の女神

体力:50
魔力:50
筋力:50
耐久:50
敏捷:50

女神ポイント:2000【↑500】

【一言】下着つけてなくてよかったでしょー!ぬれなくてすんだねー!
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アユムの所持金:2350000ルクア【↑30万ルクア】
冒険者のランク:A(クリア回数:1回)

このお話の歩数:約13770歩
ここまでの歩数:約994200歩
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『アユム・マイニチ』 レベル:1409【↑10】

種族:人間
年齢:26
性別:♂

職業:凡人
称号:女神の付き人

体力:1419(+1409)【↑10】
魔力:1409(+1409)【↑10】
筋力:1414(+1409)【↑10】
耐久:1414(+1409)【↑10】
敏捷:1469(+1409)【↑10】

技能:言語理解/ステータス/詠唱省略

Lv.1:初級火魔法/初級水魔法/初級風魔法
   初級土魔法/初級光魔法/初級闇魔法

Lv.2:隠密/偽造/捜索/吸収/浄化魔法
   治癒魔法/共有

Lv.3:鑑定/剣術/体術/索敵/感知
   物理耐性/魔法耐性/状態異常耐性

共有:アイテムボックスLv.3
   パーティー編成Lv.1

固有:ウォーキングLv.1409 850/1410
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