歩くだけでレベルアップ!~駄女神と一緒に異世界旅行~

なつきいろ

第28歩目 はじめてのパーティー!雇用契約1日目

ダンジョン11階層

「俺が戦っている間、アテナを守ってやってほしいんです」

俺達は今、本来の目的であるダンジョン攻略の作戦を立てている。

「どういうことですか?」
「口で説明するより見てもらったほうが早いでしょう」
「え!?あ、歩~?どういうことー?」

アテナはもはやおにいちゃん呼びは飽きたようだ。
うちの駄女神は、熱しやすく冷めやすいバカな子だった。

「アテナ。すまん!1度だけ魔物に襲われてくれ!」
「え?え?え?う、うそだよねー?歩~!?」
「俺は間違ったことは言うが、うそは言わない」

アテナの顔がみるみる青ざめていく。

とその時、

「ガウウウウウウウウウ!」
「ガウウウウウウウウウ!」
「ガウウウウウウウウウ!」

ウルフが3体あらわれた。
ちょうどおあつらえ向きの敵だ。

「ひぃ!お、隠密ー!」

アテナは恐らく意味がないだろう隠密を使用して岩陰に隠れた。
当然でかいケツは見えているのだが......

「ラズリさんは俺の側に!手を出さないでください!」
「は、はい!」

───ぴとっ

ラズリさんは俺の側に近寄るといきなり腕を絡めてきた。

「だ、だれも腕を組めとは言ってませんが!?」
「はぁぁぁぁ......アユムさんと腕組んじゃいました。しあわせです~」

そう言うラズリさんの顔はうっとりとしていて惚けている。

う、うぜぇ......
それにすごい邪魔!

───ザシュ!
───ザシュ!

とりあえず俺に向かってきた2匹を瞬殺する。

「ラズリさん。惚けてないでちゃんと見てくださいね?」
「うふふふ......もう放しませんからね。私の旦那さんです」

うん。これダメな系なやつだ。仕方がない......

「ちゃんと見ろって言ってんだろ!この婚活バカ!」
「ふぐ~~~~~~~~~~!ご、ごめんなさい!」

俺は婚活バカの頬をつねると、ラズリさんは喘いだ。

ちゃんとしてくれよ。アテナが二人いるようで疲れる......

一方アテナは、

「いやああああああああ!歩たすけてええええええええ!」

残りのウルフに襲われていた。

「こんな感じで敵も集団戦闘するらしいんですよ。
 どうやら弱いやつを狙ってくるようで」

「なるほど」
「ですので、魔物からアテナを守ってやってください」
「それは構わないのですが、私の力だと倒せるかどうか......」

このダンジョンとラズリさんのステータスはほぼ同格
簡単にやられることはないだろうが、倒すのも容易ではないだろう

「その点は問題ないです」
「どういうことですか?」
「ちょ、ちょっとおおおおお!話してないでたすけてよおおおおお(´;ω;`)」

おっと、アテナのことを忘れていた。

───ザシュ!

「キャイン!?」

「とまぁ、こんな感じで全く相手になりませんので」
「い、Eランクの魔物を一撃ですか!?」

いまさら!?さっきも一撃だったんですが......

「でもさすが私の旦那様です。ステキです///」
「誰が旦那だ。だれが」
「あぅ......」

「俺が魔物を蹴散らすまで、アテナを守ってあげるだけでいいです
 ラズリさんは無理して倒そうとしなくていいですよ」

「なるほど。そういうことでしたらお任せください。
 でもなにか手伝えることがあったら遠慮なく言ってくださいね」

そう言うと、ラズリさんはにこっとやさしくほほ笑んだ。

ちゃんとしてればきれいな人なんだけどな~。ぺったんこだけど。


「......ぐす。ごわがっだよーーーーー(´;ω;`)」

おっと。またアテナのことを忘れていた。

「アテナ。大丈夫か?」

「大丈夫か?じゃなーい!ばかばかばかっー!歩のばかっー!
 怖かったんだからねー!こんなの説明できたでしょー!」

アテナの側に寄ると、アテナは俺の胸板をぽかぽか叩いてきた。

「見てもらったほうが真実味が増すだろ」
「真実味とかいらないでしょー!ラピスはまじめなんだしー!」
「そうなんです?」
「今のなら言ってもらうだけでなんとかなりましたね」
「ほらー!歩の作戦は全く意味ないー!」
「そうか。アテナお疲れ!.......よし、先に進むか!」

「お疲れじゃなーーーーーーーーーーーーい!
 もう怒ったからねー!歩なんてしらないー!」

そう言うと、アテナはヽ(`Д´#)ノこんな顔で、ぷんすかぷんすか言いながら前を歩き出した。

「どうやらアテナに嫌われちゃったみたいです」
「ふふっ。本当に仲のいい兄妹ですね」

ラズリさんは、そんな俺達のやり取りを見て楽しそうにほほ笑んだ
ダメな面も多いが、ラズリさんを雇用して正解だった。

「ガウウウウウウウウウ!」

「いやあああああああ!歩~たすけてえええええ!」
「はぁ~。助けにいってきます」
「はい。お気をつけて」

駄女神だけど、なんだかんだ言って頼られてはいるんだよな。
俺がなんとかしてやらないと。

□□□□

「ふへへー!」
「笑い方きもちわるっ!」
「アテナさんいいなぁ~」

アテナは今、俺に首根っこをつかまれて、まるでおとなしくなった猫のようになっている。
とてもリラックスしていて、ご満悦なようだ。

生まれたての猫は、ひとりで歩くことができない。
だから場所を移動する時は、母猫が口にくわえて運ぶ。
首根っこをくわえられると、母猫が移動するのだと認識するらしい
そして母猫にくわえられている間、子猫はリラックスしているのだとか

「歩~!もっとぷらぷらしてー!」

俺は首根っこをつかんでいる手を左右に振る。

「あーははは(*´∀`*)ねこになったみたいー!」

みたいじゃなく、まんま猫だけどな。

アテナはきゃっきゃっと楽しそうにはしゃいでいる。
うちの駄女神は、どうやら子供なのではなく子猫だったようだ。


アテナは目を離さなくてもすぐに暴走する。
だからこれは、おとなしくさせるために編み出した秘技である。
ねこづかみ、ならぬ、アテナづかみだ

ちなみにラズリさんは無理だった。
当然だ。アテナが特別なのだから。

□□□□

今日の目標は15階層まで。
ラズリさんにこのダンジョンに慣れてもらうのが目的だ。

「さきほどの戦闘もお見事でした」
「ありがとうございます」

ラズリさんは純真な笑顔で讃えてくるので、妙にこそばゆい。

「それにしても全ての魔物を一撃で倒してしまうとは驚きです。
 アユムさんの本当のお力はSSランク以上なのかもしれないですね」

「どういうことですか?」

「本来、同格クラスの魔物は一撃で倒すことはできません。
 それを可能にするには何倍ものステータス差が必要なんです。」

「そうなんですか!?」

スキルLv.3の恩恵で当たり前のように倒してたけど、これってまずいやつか?

「そもそも魔物を倒すのにも、普通は複数人で挑むものなんです。
 それを一人で、しかも一撃で倒してしまうとか......
 以前ダンジョンとは、パーティーを組んで攻略にあたるものだと言いましたよね」

確かに言ってた~!

「通常、ダンジョンは5人編成で挑みます」
「5人ですか」

「まずは前衛の盾役ですね。
 魔物の注意を一身にひきつけたり、
 魔物の攻撃から味方を守ったりする役割があります。
 主にパラディン系職の方が担当されます」

地味だけど大切な役割だよな。
俺には無理だけど。

「次に中衛の攻撃役兼盾役ですね。
 臨機応変に攻撃役に加わったり、
 盾役の補佐についたりする役割があります。
 主に戦士系職の方が担当されます」

俺はここに分類されるのだろうか。
でも俺は、オールマイティな気がする。

「その次は後衛の攻撃役兼司令塔役ですね。
 基本的にパーティー内の最大戦力となります。
 また周りの状況を常に把握し、仲間に指示を出したりする役割もあります。
 主に魔法使い系職の方が担当されます」

やはり最大戦力は魔法となるのか。
剣で一人倒している間に、魔法なら大勢倒せるもんな。

「同じく後衛の回復役兼盾役ですね。
 仲間の回復はもちろんですが、
 時としては盾役の補佐などもする役割があります。
 ただ守らていれる存在ではないということです。
 主に僧侶系職の方が担当されます」

ば、バーサクヒーラーですか。
聖母のようなシスターを想像していたんだが......


「ねーねー!私はどれになるのー?」
「まだ説明終わってないだろ。それにお前は盾役だ」
「なんで!?」
「いつも言ってる女神パワー(笑)を見せてみろよ」
「ふえぇ(´;ω;`)」

実際アテナが最強の盾役なのは間違いない。
それはアテナの秘密に関係がある。でも......

「安心しろ。本当に危険だったら必ず助けてやるから」
「本当ー?」
「本当の本当」
「本当の本当の本当ー?」
「しつこいっていつも言ってんだろ!くそ駄女神!」
「ふえーーーーーーーーーーーーーーーん(´;ω;`)」

頬をつねられた駄女神は喘いだ。
いつもいつもどうして学ばないのか。本当にバカな駄女神だ

「でもー......」
「なんだよ?」
「歩のことは信じてるからねー!(にぱー☆)」
「・・・」

アテナは目尻にたまった涙を拭うと、にぱー☆とほほ笑んだ
本当、手の平を返したくなる

ちゃんとしてればかわいい子なんだけどな~。胸大きいし。

「あ、あの説明を続けてもよろしいでしょうか?」
「ど、どうぞ」

ラズリさんを完全に忘れていた!
アテナかわいいよアテナ

「最後となりますが、攻撃役兼パーティー編成役もあります
 それが私達、探索者なのです」

───。

ラズリさんは、ない胸をドンッと叩いてどや顔だ

───ぷるんっ。

ちなみにラズリさんの真似をしたアテナの胸は揺れていた

てか、ラズリさんは元探索者であって、今はギルド職員でしょ。

「パーティーを組むことで様々な恩恵を得ることができます。
 例えば、パーティーメンバーの位置がなんとなくわかるようになったりします。
 また、経験値は倒した人にしか貰えないのですが、それをパーティーメンバー内に分配することもできるようになります」

パーティーを組むことで、俺が倒した魔物でもラズリさんがレベルアップするということか。

「はやく言ってくださいよ。
 それだったら、早速パーティーを組みましょう」

「魔法は発動できますが、パーティーは組めません。
 パーティー編成の魔法はパーティーリーダーでないと組めないシステムなんです。
 ギルドにはアユムさんがリーダーとして登録してありますので......」

この世界のパーティーは申請式だ。
ギルドにて申請をしないと、ただ一緒にいるだけの人扱いになる

ちなみにアテナとラズリさんも申請してある。

「要は俺が使えればいいんですよね?」
「その通りです」
「でしたら、あてがあります」
「もしかして私ー?」
「そうだ。頼むな?」

こうして、ラズリさんからアテナにパーティー編成の魔法を教えてもらうことになった

「ラピスー!魔法見せてー!」
「はい。どうぞー!」
「いっくよー!ゴッドまねっこー!」

そう言うと、アテナは厨二くさい変なポーズをした

「そのポーズいらないだろ」

「ゴッドまねっことは相手の魔法を真似する姑息な技!
 相手は驚く!」

「いまさら説明あるのかよ!?」

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【女神レベル3で習得できるEXスキル】

パーティー編成Lv.1(消費200)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

早速アテナに覚えさせる

女神ポイント:1000【↓200】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【スキル共有で取得できるスキル】

パーティー編成Lv.1 (消費200)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そして共有スキルで俺もパーティー編成を取得する

女神ポイント:800【↓200】

「パーティー編成!」
「え!?なんでアユムさんからパーティー編成が!?」

どうやら成功したみたいだ。

「まぁ、強さもそうですが秘密ってことで」
「い、異世界人の方はすごいですね......うぅ」

それで押し通せるのか。
日本人だからと同じ、便利な言葉になっているような......

「あっ。なんとなく分かるってこういうことですか」
「頭の中に地図があるー!」

アテナの言う通り、頭の中に地図が表示されている感覚だ。
範囲的には500mぐらいだ。
スキルレベルが上がると範囲が広がるのだろうか。

ついでに経験値分配も見てみる。
今の分配方式は、魔物を倒した人に入る設定になっている。

選べる形式は、

①魔物を倒した人に入る
②パーティーメンバーに平等に入る
③任意で経験値が入るようにする

この3つだ。
なんかゲームみたいだな。

とりあえず俺とアテナには経験値は不要なので、ラズリさんに経験値が入るように設定した。

「設定終わりました。
 これでラズリさんにも経験値が入りますよ」

「そ、そうですか。ありがとうございます......」
「どうしました!?」

よく見るとラズリさんは落ち込んでいた。
背中にどよ~んの文字が見えそうなぐらいに。

「だって......アユムさんまで探索者の魔法使えるようになったら、私の存在意義がなくなるじゃないですか......」

そんなことかよ!

「全部使える訳じゃないですし、そもそも俺には知識がありません
 ラズリさんの知識にはとても助けられています。
 だからラズリさんは必要な人ですよ。
 いつもありがとうございます」

「アユムさん......ありがとうございます。
 やっぱり私を必要としてくれるのはアユムさんだけです!
 私をぜひお嫁さんに貰って・・・」

「それはごめんなさい」
「な~んでですか~!」


こうして俺達は15階層を突破して、昼の町へと遊びに繰り出すことにした。


町に戻りながら、俺は思う。

まじめなラズリさんはちょっとカッコイイのに、もったいない


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『アテナ』 レベル:3 危険度:極小

種族:女神
年齢:ーーー
性別:♀

職業:女神
称号:智慧の女神

体力:50
魔力:50
筋力:50
耐久:50
敏捷:50

女神ポイント:800【↓400】

【一言】首つかまられるとリラックスできるの不思議だねー!
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アユムの所持金:1950000ルクア【↑10万ルクア】
冒険者のランク:A(クリア回数:1回)

このお話の歩数:約18300歩
ここまでの歩数:約953850歩
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『アユム・マイニチ』 レベル:1380【↑13】

種族:人間
年齢:26
性別:♂

職業:凡人
称号:女神の付き人

体力:1390(+1380)【↑13】
魔力:1380(+1380)【↑13】
筋力:1385(+1380)【↑13】
耐久:1385(+1380)【↑13】
敏捷:1440(+1380)【↑13】

技能:言語理解/ステータス/詠唱省略

Lv.1:初級火魔法/初級水魔法/初級風魔法
   初級土魔法/初級光魔法/初級闇魔法

Lv.2:隠密/偽造/捜索/吸収/浄化魔法
   治癒魔法/共有

Lv.3:鑑定/剣術/体術/索敵/感知
   物理耐性/魔法耐性/状態異常耐性

共有:アイテムボックスLv.3
   パーティー編成Lv.1

固有:ウォーキングLv.1380 955/1381
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