歩くだけでレベルアップ!~駄女神と一緒に異世界旅行~
第13歩目 はじめてのチンピラ!
アテナに頼られていると知ってから更に3日が過ぎた
あの日から変わったことと言えば、アテナが起きる前には必ず宿屋に戻るようになったぐらいだろうか
もちろん収入は落ちたが、アテナに泣かれるよりかはずっといい
今日も今日とて、俺とアテナは依頼をこなしていた
〔はい、こちらが今回の報酬となりますね〕
「ありがとうございます」
『ねぇーねぇー。今日もアイスクリーム食べていいー?』
アテナが俺の服の裾を掴んでおねだりしてきた
俺とアテナは依頼をこなすと真昼間から町で遊んでいる
そもそもアテナは冒険をしにきたのではない。旅行しにきたのだ
冒険者稼業もお金が必要だからしているだけだ
「あぁ、構わないぞ。この前みたいに食べ過ぎて腹壊すなよ?」
───ぽふっ。ぽんぽん
アテナお気に入りの頭ぽんぽんをしてあげた
『にへへー!ありがとー!歩~!』
いつものにぱー☆な笑顔を向けられた。かわいい
こいつのにぱー☆はほっこりさせられる
俺だけじゃない。受付嬢さんも優しい表情になっている
〔あっ。町で遊ばれるなら気を付けてくださいね。
最近ルーキー狙いの報告が多く上がってきていますから〕
ルーキー狙いねぇ
どこの世界にも新人いびりはあるようだ
「ありがとうございます。気を付けるようにします」
俺は礼をして、アテナといっしょにギルドを出た
□□□□
『♪♪♪』
アテナはるんるんとはずんだ様子でご機嫌だ
そんなにアイスクリームが楽しみなのか......
町で遊んでいる時のアテナは幸せに満ちている
そんなご機嫌なアテナを眺めつつ、アイスクリーム屋を目指した
しかしそんな俺の感知スキルに反応があった
強い悪意だ。もしや例のルーキー狙いか?
俺は気づかない振りをして、人気のないところまで行った
『あれー?歩~。どこ行くのー?』
「黙ってろ」
『あー!分かったー!路地裏の名店ってやつー?
ねぇーそうでしょー?そうなんでしょー?
歩もやるわねー!私の為に名店見つけてくるなんてさー!』
駄女神アテナは、気配に全く気づいていなかった
『最近の歩は優しいからねー!
ちょっとは感謝してあげてもいいよー!』
「いいから黙ってろ!」
『ふえーーーーーん!』
俺は頬をつねり、駄女神を黙らせた
{おーいおいおい!見せつけてくれるじゃねぇか!}
{こんな状況でよくいちゃいちゃできるな!この色男!}
{よく見たらいい女じゃねぇか!こりゃあ、楽しめそうだ!}
某世紀末アニメに出てきそうなスキンヘッドの三人組が、肩を怒らせやってきた
{{{金と女を置いていきな!}}}
やはりルーキー狙いだった
まぁ所謂お約束ってやつだろうか
3人の男のセリフもありふれたものだった
しかし気になるワードがあった
いい女だと?誰のことだ?
こいつか?この駄女神のことか?
さて、どうしたもんかなと考えていたら、
『おじさん達なーに?
私これからアイスクリーム食べに行くんだけどー?』
「・・・」
駄女神アテナは、この状況を全く理解していなかった
{げへへ。お嬢ちゃん、アイスクリームなら俺らがたくさん食べさせてあげるぜ}
{アイスクリームだけじゃないぜ?他にもなんでも買ってやるぜ?}
{そんな男より俺達といっしょに遊ぼうぜ、お嬢ちゃん}
『えー!!!本当ー!?やったーO(≧▽≦)Oじゃあ、 おじさん達と遊ぶー!』
「・・・」
なんだろう、このバカな展開......
今時小さい子供でもこんな誘い文句に乗らないぞ
3人の男もアテナをいい女だとお気に召しているようだ
もうこのバカは3人の男に任せてもいいんじゃないかな
むしろそうだな、任せよう!
だから俺は言った
「金はやれんが、この女ならいいぞっ!持っていけっ!!」
俺はアテナの背中をトンッと押して、3人の男の前に差し出した
『{{{えっ!?}}}』
アテナと三人の男は、何を言われたのか分からないと言った様子でぽか~んとしていた
{ば、ばっかやろう!女だけじゃなく金も......}
『え?え?え?持って行けってなにー?歩はいっしょにこないのー?』
「行くわけないだろ。お前一人で行ってこいよ」
アテナが男の言葉を遮るように、俺にバカなことを聞いてきた
{てめえら!俺の話を......}
『ねぇーねぇー!歩もいっしょにいこうよー!
おじさん達なんでも買ってくれるってー!
美味しい食べ物にー、装備品なんかも買ってもらおうー?』
アテナがなおも男の言葉を遮るように言葉を重ねてきた
こいつ狙っているのか?それとも天然か?
3人の男の額に青筋みたいなものが浮かび上がっている
{いい加減にしねぇと......}
『あっ!なんだったら今後の生活費ももらおうよー!
そうすれば冒険者なんてやらなくて済むよー!
さすが私!どうー?智慧の女神らしいでしょー!』
いやいやいや!さすがにそこまでは言ってなくね?
アテナのぶっとんだ発言に3人の男がなんとも微妙な顔をする
なんかやっかいなやつに声をかけちまったな、って表情だ
しかしここで諦めてもらっては俺が困る
だから根気よくアテナを説得した
「俺は宿屋で待ってるから、おじさん達に遊んできてもらえ」
{お、おい?俺達は別にもう.....}
『いやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
歩と一緒がいいーーー!歩と一緒じゃなきゃやだーーー!』
アテナはその場で寝転がり、まるで駄々っ子のように暴れ出した
そんなアテナの様子を見て、呆気に取られる3人の男
だが、ただ一人、俺だけは違った
アテナをまるでゴミ虫でも見るかのような目で見つめていた
うぜぇ。そもそも遊びに行くと言いだしたのはお前だろ!
そう思ったら、なんだかむしゃくしゃしてきた
だから俺は......
『げべっ!?』
足元でもがいているゴミ虫を踏ん付けた
{{{・・・}}}
そんな俺の行動を見て、3人の男の表情が引き攣っている
なんかやばい奴らに関わっちまった、って表情だ
{お、おい。なにもそこまでしなくても......}
「ご心配なく。ちゃんと言うこと聞かせますので」
俺に踏まれ、お腹を押さえてごろごろしているアテナは本当に虫みたいだ
『い、痛ーい!普通、女の子踏ん付けるー?』
「いいから早く立て!くそ駄女神!また踏むぞ!」
『ひ、ひぃ!』
アテナがまるで敬礼でもするかのように、背筋をピンッと伸ばして勢いよく立った
───ぷるんっ
あっ。揺れた
ちゃんとしてれば可愛い子なんだよなぁ。胸大きいし
さてと、それじゃあ説得を開始するか......
『ねぇー!歩も一緒にいこー?』
「俺は行かないって言ってんだろ」
『いやー!歩と一緒がいいのー!』
なおも懸命に食い下がるアテナ
困惑した表情で成り行きを見守る3人の男
正直辟易してきた俺
仕方がない、切り札を出すか
「なら遊びに行かなきゃいいだろ......」
『それもいやー!遊びたいのー!いっぱい買ってもらのー!』
う、うぜぇ......
「わがままばかり言ってんじゃねぇ!くそ駄女神!」
『ふえーーーーーーーーーーーーーーーん(´;ω;`)』
俺が頬をつねると、駄女神は喘いだ
{{{・・・}}}
俺はため息をついてアテナを諭した
「安心しろ。俺はいなくなったりしないから。
ちゃんと宿屋でアテナの帰りを待ってるよ」
『......ぐすっ。本当?いなくなったりしない?』
───ぽふっ。ぽんぽん
小さな子供を諭すように、アテナの頭をぽんぽんしてあげた
「約束する。いい子にできるな?」
『にへへー!うんー!たくさん遊んでくるねー!』
ぽんぽんされた、アテナの顔がにぱー☆と華やいだ
うん、これなら大丈夫だろう!
ようやくこれで3人の男にアテナを任せられる
「すいません。お待たせしました。
こんな子ですが、よろしくお願いします」
『よろしくお願いしまーす!』
俺は改めてアテナを3人の男の前に差し出した
すると3人の男が、おずおずと声をかけてくる
{一緒にいてやんな......若僧}
{お守り大変だな......がんばれよ}
{しっかり育てるんだぜ......応援するよ}
そう言い残して、立ち去っていってしまった......
「・・・」
『・・・』
駄女神アテナは、チンピラすらもやさしい人間に変える
『ふえーーーーーん!私のお金がいなくなっちゃったー(´;ω;`)』
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『アテナ』 レベル:2 危険度:極小
種族:女神
年齢:ーーー
性別:♀
女神ポイント:1580
【一言】おじさんどこー(´;ω;`)せめてお金は置いていってよー
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アユムの所持金:210000ルクア
冒険者のランク:B(クリア回数:2回)
このお話の歩数:約10155歩
ここまでの歩数:約230340歩
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『アユム・マイニチ』 レベル:678【↑15】
種族:人間
年齢:26
性別:♂
職業:凡人
称号:女神の付き人
体力:688(+678)【↑15】
魔力:678(+678)【↑15】
筋力:683(+678)【↑15】
耐久:683(+678)【↑15】
敏捷:738(+678)【↑15】
技能:言語理解/ステータス/鑑定Lv.2/浄化魔法Lv.2
剣術Lv.2/体術Lv.2/索敵Lv.2/治癒魔法Lv.2
感知Lv.2/隠密Lv.2/偽造Lv.2
初級火魔法Lv.1/初級水魔法Lv.1
初級風魔法Lv.1/初級光魔法Lv.1
状態異常耐性Lv.2
固有:ウォーキングLv.678 158/679
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コメント
なつきいろ
感想ありがとうございます。
そのお言葉が何よりも励みとなります。
ウォン
ちょっとおもしろかった