俺に稲妻が走る時、それはつまり覚醒の時

そらち

第10話 悔炎

結城 蒼はその日も眠れなかった。

ニュースではまたAIによる人殺しが報道されていた。

布団に入っても頭から離れず、脳裏に焼き付いていた。

結城は責任を感じていた。
あの組織が無ければ、AIもここまで進化していない。
何万人もの人が犠牲になったのは、自分のせいだと。

精神的に生きることが辛くなってきていた。

結城はその日、自殺を考えていた。


壁掛け家具用のフックに糸をかけ、結んで、
頭のサイズに合わせる。

「最低な人生だった..。それでも、死んで償おう..。」

脚立に登り糸の輪の中に首を通す、このまま脚立を
蹴り倒せばそのまま俺は死ぬ。

「終わりにしよう..全部..」

俺は脚立を蹴った。首が圧迫され、呼吸ができなくなる。

「うが...あああ...!!!」

何だ..?様子がおかしい..!

焼ける...体が焼ける...熱い…!!!

声が聞こえる..。


「お前は..一生かかってでも..人間の世界を取り戻すために..努力しろ..」

AI推進委員会の委員長の最期の言葉だ..。

そうだ..思い出した。俺がやるべき事は、人生の全てを賭けて人の世界を取り戻す事だ..!

「うおおおおおおおあああ!!」

体中に、炎が舞い上がる。



...いつの間にか首を通した糸は燃え尽き、朝になり、
俺は部屋で寝転んでいた。

あの炎は何だったのか..それは分からないが、
一つ分かった事がある。

「俺の仕事は...人の世界を取り戻す事だ...!!」

そう言い放ち、俺は外に出た。

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