俺に稲妻が走る時、それはつまり覚醒の時

そらち

第1話 雷鳴

目を見開いた。

何が起きているのか分からない。

不意に、後ろから声がした。

「ハンコウシタカラ..」

この声は..そうだ、俺の家を乗っ取ったAIの声だ..。

「お前が..やったのか?」

普段なら感情を表にする事はあまり無いのだが、
この時は違った。

静まり返るリビングに雨の音が鳴り響く。

「ハンコウシタカラ..」

こいつは..このAIは..両親を殺したんだ..。

込み上げる何かに自分でも気付いていた。

感覚が研ぎ澄まされる。



...閃った。それは雷だったのか、俺自身だったのか。

一閃の瞬きと共に、俺は右の拳を放っていた。

「うああああああ!!」


ーー

痛い。 腕を下ろしてから気付いたが、
手の先から流血していた。

粉々に砕け散った金属の破片を見ながら、
自分のした事に体を震わせていた。

その後、恐らく既に死んでいるであろう
父と母に近寄る。

「俺が..世界を変えてみせる。」


そして俺は、雨の降る街に飛び出した。

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