異世界を追い出された俺は──元の世界でハーレム作りに勤しみます【凍結】

決事

詐欺じみた説得

母さんたちが帰ってきたようだ。
お弁当でも洗っているのか、台所から音がする。
……こんなに耳が良くなったのもあっちの世界行の賜物なんだよなあ。
嘘も方便、と言い逃れ続けるのは簡単だが、簡単だからとそうするのは……。
ベッドでゴロゴロ回転しながら言い訳をいくつかピックアップするも、あれもだめ、これも嫌。
今俺が氷漬けされたら、うんざりした顔の見本が出来上がることだろう。
そりゃあ、一番誠実なのは本当のことを話すパターンだ。
けれど、こちらに戻ってきてから嘘をいた時点でそれを選ばなかったのだから、ここで翻してしまうのは……と、堂々巡りの思考を繰り返している。
良心の呵責を理由にしてこれからを決めるのはそれこそいかんだろう。
そう囁く自分が1番有力だ。
よし、方針はそれでいこう。
ただ、絶対に欠かせないのは矛盾を作らないこと。
俺は『誘拐された時のことを覚えていない』という設定にした。
それなのに魔法を教えて貰ってどうこうなどと、完全に夢物語は……。
いや。
夢、か。
うん、いいかもしれんな。

結果から言えば、成功した、ということになる。
決して記憶操作とかしたとかではなく。
まるっと夢の中の話にしてしまったのだ。
両親たち大勢の人間が見てしまった攻防の方をどうにかするのは諦め、『魔法を使えるようになった原因』の方から攻めてみた、と表現すればよいのか。
くだんの誘拐の一環と一括りに纏めてしまった。
先の俺曰く、「無我夢中で逃げてたらさ、神様からお告げがあったんだ……逃げるのに手を貸してくれるって云々」
勿論、ご両親殿は痛ましそうな顔をしてくれた。
俺の背負った罪悪感は兎も角、疑わしく思われたかもしれないが、この件は一応の終焉をみた。
ああっと、他の外部から来た観客諸君についてはちょちょいっと記憶操作しました。
安心安心。
え?
記憶操作したとかではなく。とかなんとか言った奴はどこ行ったって?
いやま、親ならいざ知らず、全く知らん赤の他人に俺の生活に水を差されても嫌なので……?
学校内はなあんにも弄っていない。
これは誓って言える。
ーー折角のハーレムの契機を自分からぶっ壊してどうするってな?


〜*~*〜*~*〜
皆さん、お久しぶり。
何ヶ月ぶりでしょうかね。
受験勉強をしていた……と言えたらいいんですけど、なろうを大量摂取していました。
(いつかあの大手サイトに参入してみたいです)
あとは初めての同人即売会に一般参加したり。
実際、来月から高3、花のじぇーけー最終学年となるんですが、実感全くないですな。
高2最後の一ヶ月もコロナで休校ですし。
棚ぼたの長期休暇ができたので少し投稿してみました。
次回は、無い頭をひねって考えた説明回です。
俺の頭が耐えられないような難しい設定はまず考えられないので、安心してお読みください。
ではまた次回。ごきげんよう!

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