獣人とか竜人とか人間がいない世界に転生したけど夢あるファンタジーも糞もないこの世界

睡眠魔

2話 異世界転生1日目と獣人族

「ぁ・・・う・・・」


目を開けると、素晴らしい大自然が
・・・うわー、周り見ても木だらけじゃーん
捨て子なの?マジかあ・・・
そうだ、今自分どうなってんだろ
頭を触ると、ケモ耳らしき物
おお、自分獣人になったのか・・・!
尻尾もある様だが、どうやら人間がベースらしい
そして・・・聞いて驚くなよ?男になってた
否、何でだよ。私、女だぜ?男女どっちともなれるからって、初期が男って・・・
まあ、男になるのは憧れてたし、いいか!ツッコミたいけど!
どうやら私は籠の中に布で包まれて捨てられているらしく、身動きがしづらい
それと、近くには鴉と鷲、鷹の幼体が1匹ずついる
か、可愛くてかっこいい・・・!
目が合うと、ふらふらと心配になる飛行でこっちに来た
そして籠に止まると擦り寄ってきた
・・・有難うございます!天照大御神!今幸せです!


ガサガサッッッ


急に音がして、そちらを見ると獣人がいた
動物ベースで、見たところ・・・うん、超強面なライオンだ
え、ちょ、大丈夫か?
喰われないかとかじゃなくて、何かライオンが物凄い怪我を負ってる
肩から太腿にかけて、斜めにズバッと
致命傷っぽいけど・・・
・・・あ!こっちに気が付いた


「こんな、所に・・・赤子、か・・・」

「あうあー?(大丈夫ですか?)」

「ふっ・・・ここは、危ない、ぞ・・・」


否、そりゃ貴方見りゃ分かりますよ
ボロッボロですもん、何かあったんでしょうよ
・・・あーあ、この人の傷が治れば、助かったのかもしれないのに・・・それに、目の前で死なれるのもなあ・・・
すると、鴉がカー、とひと鳴きしライオンの所までふらふらと飛んでいく・・・危なっかしいなあ
だが次の瞬間、驚くべき事が起きた
鴉がライオンに頬擦りすると、怪我がみるみる治っていった
・・・まさかの鴉さん、能力持ちですか
ライオンも目を見開き、とても驚いている
そして、鴉と私を何度も視線を動かして見る


「・・・今更だが、この子供は・・・獣人の耳と尻尾はあるが、見た事も無い生き物だな・・・だがしかし、可愛らしいな」

「あゆあわー(私みたいな獣人いないんか〜)」

「これも何かの縁。・・・拾うか」


お?これは?
取り敢えず身の安全は確保されたか?
あと可愛いと思うのは赤子だから、な?
ライオンは籠から私を抱き上げると、見つめて来た
・・・何やねん


「見れば見るほど可愛いな・・・我はレオン・エペイスト。今日からお前の名はルイーズだ、宜しくなルイーズ」

「あうあうあー!?(意味って確か栄光の戦士だったよね!?)」

「ふっそんなに気に入ったか」


否・・・何かその名前になると戦士にならなきゃいけない気がするんで・・・
結局私はレオンさんにルイーズと名付けられ、拾われた
そして、今片手で抱っこされながら森を歩いているのだが・・・
いやあ、長い
暇すぎる
レオンさんは周りを警戒しながらだから暇ではないと思うが、私は抱っこされてるだけだ
まあ、鴉達と遊んでるけどね!
というか、眠いなあ・・・
・・・寝るか









「あぅ・・・・・・あう!?」


あー良く寝た・・・ってうぉ!?
目の前にレオンさんとはまた別の強面がいた
ビビったー・・・


「俺を見ても泣かないとはな!肝が据わってるガキだ!ワハハハハ!!!」


異常に高い、高い高いをされる
否、何で放り投げんの!?泣きそうなんだけど!


「ふええええぇぇぇぇんんん!!!」


ほらぁぁぁぁぁ、泣いちゃったじゃん!
赤ちゃんは泣くんだって!怖いと!


「え!?ちょ、れ、レオンにバレたら・・・!」

「我にバレたら、なんだ?」

「ふぁ!?」


真っ黒な殺気を纏って目をギラつかせ現れたレオンさん
どうやらここは大きなテントらしく、暖簾のような入口になっているらしい
さっきまで高い高いをしていた黒豹の獣人さんはレオンさんを見て真っ青になってあわあわとしている
因みに未だに涙目な私である
考えてみて?涙目な赤ん坊を強面の黒豹が抱き抱えてたら・・・
なんだよその絵面、誘拐か


「こ、これには訳があるんだ!お、落ち着こう!」

「ならば、なぜルイーズは泣いている?貴様以外、考えられんだろう・・・?」

「い、いや!例えばお腹を空かしてとかさ!」

「・・・そういう事か」


単純かレオンさん
バレたらって言ってたでしょうこの獣人さん
ねぇ、天然なの?
レオンさんは獣人さんの手から私を奪い取るようにして抱っこすると、どこかへと向かい始めた
獣人さんはその横に並んで歩き、私の顔を覗き込んでいる
その獣人さんに向かって笑うと、獣人さんも二パッと笑った


「俺はネグル!ネグル・レオパルドだ!」

「勝手に自己紹介をするな。貴様の名前など、覚えせさせたくない」

「酷くないか!?」


・・・仲いいっすね
周りを見渡すと、色々な獣人さんがテントを張っていたり、こっちを・・・というか私を興味深そうに見ていたりとしていた
うーん・・・沢山の目に晒されるのは苦手なんだけどなあ・・・
するとそれが伝わったのかわからないが、少しギュッとされた
・・・暫くすると、一際大きなテントが3つ連なったところに来た
暖簾のような物を潜り、中に入る
すると、そこは食堂らしく、沢山の机と椅子があり、沢山の獣人さんがいてジョッキに様々な飲み物を入れて騒いでいた
所謂、食堂のような物だろう
すると、1人の女性の獣人さんが現れた


「良かった、本当に無事に帰ったんだね!よくあの熾烈な前線から帰ったね・・・。ん?耳と尻尾以外、何だか分からないけど可愛いその赤子は?」

「帰る途中で捨てられていてな。我は致命傷を負っていたが、この赤子と共にいた鴉に頬擦りされた時、傷が癒えたのだ」

「ほえ〜・・・凄いねえ!で、名前はなんて言うんだい?」

「ルイーズだ」

「・・・あんた、こんな可愛らしい子に戦士の名前を・・・せめてもうちっと可愛い名前にしないのかい?」

「何となく思い付いたのだ。別にいいだろう、ルイーズも気に入っているのだからな」

「あうあうあいあー(まあかっこいいからね)」

「ふっ」

「・・・アンタ、相当な親馬鹿になるよ」


あ、やっぱり?そんな気配してたけどなるよね?
まあ、将来どうなるかわからんけど・・・
あと姉さん、私は今男だから可愛くなくてもいいんやで、かっこええし


「そうだ、この子に自己紹介しないとね。アタシはカルロッタ・フーリー。狐の獣族だよ」


姐さん、という雰囲気を醸し出す狐の獣人さんの名前はカルロッタさんかあ
なんか似合ってる


「ところで、さっき泣いたのだがどうすればいいんだ?ネグルは腹が空いたのではと言っていたのだが・・・」

「それじゃあ、牛から貰ってくるよ」


そう言うと、カルロッタさんはテントから出て行った
ネグルさんとレオンさんは何故か私の頬を揉んだり、手を握ったりしていた


「へぇー、俺達みたいに毛が生えて無くてすべすべだな。それに頬がモチモチしてて気持ちいいのか」

「こんなにも赤子は手が小さいものなのだな。それに手に指を置くと握り返すぞ」

「マジか!」


初めて赤ちゃんに触れた子供みたいな感じだなあ
・・・まあいいけど
暫くその状態が続くと、次第に他の獣人さん達もなんだなんだと集まってきた
何これ、すっごいストレスなんだけど・・・
あ、ヤバい泣く


「ふええええぇぇぇぇんんん!!!」

「「「あ」」」

「コラァァァァァ!!!何でストレス掛けて泣かせてんのーーーーーー!!!」

「か、カルロッタ姐さん・・・これは・・・」

「見てりゃ分かるわよ!大勢の目に晒されて大きなストレスが掛かって泣いたのよ!この馬鹿野郎共!」


グイッと引っ張られ、カルロッタさんの腕の中に収まる


「レオン!拾ったからにはこれからアンタが育てるのよ!?確りと覚えておきなさい!ほら、付いてきな!」

「あ、嗚呼・・・」


・・・スゲーなカルロッタさん

今度から姐さん呼びしよ


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