ラノベ好きが行く異世界冒険

グラ〜暴食〜

1、俺ラノベ買いに来ただけなのに

「なんじゃこらー!!」
あたり一面が荒野になっていた。

これは遡ること数時間前……

「今日は素晴らしい月初め!そう!お小遣いがもらえる日です!」
そう言いながら、本屋に駆け込む怪しい人、もとい加奈次 新太 高校一年生。
「溜まりに溜めた半年分の小遣いと本屋のポイントカード!今こそラノベを買う時だー!俺の財布が火を吹くぜー!」
小遣いを貯めたと言いつつ、ポイントを使うと言うなんという、けちくさ……倹約家だろうか。
周りの目など気にせずに、
「このシリーズも良いらしいからこれ全部と、やっぱり主人公最強と成り上り系は必須だよなー、まあ人それぞれだけど。」
俺は生粋のオタクである。高校受験でラノベを買うどころか読む事さえ駄目だったため、軽く暴走気味である。普段は普通の人だよ、本当だよ、高校に入学してからクラスの自己紹介でオタク宣言して、意外にも進学校なのにオタクが沢山いてはしゃいでる訳じゃないよ、本当だよ。
「店員さん、この量大丈夫?」
「あら、あなた久しぶりね〜最近来なくなったから、みんな、『遂に引き篭もったか…』なんて心配してたのよ」
「どんだけだよ、そしてみんなって?」
「書店の店員みんなよ」
「俺はそこまで認知されていたのか」
何時から?そんなに目立つか俺?自分で言ってて悲しいが、イケメンではないし勉強も中の下だし、得意なものと言っても弓道くらいだし…はて?
「なんでって顔してるけど、毎回声を上げながら来てるし、突風だろうが台風だろうが吹雪だろうが、発売日にはちゃんとくるし、一部のお客様はあの坊やが来ないと、この書店も寂しいなと声を頂いたほどよ。」
「マジで!?」
思わず声を荒げてしまった。マジかよ、俺ってそんなに目立ってたの?あまり良くない意味で。
「で、 なんかあったの?」
「受験だったんだよ、俺今〇〇高校の一年生。」
人にどこに入ったかが、聞けないからこそあえて先に言うこの配慮!結構ポイント高い?
「あぁ〜、自称進学校の〇〇高校ね〜私の母校だわ、」
「母校を自称進学校にするなよ先輩」
「あら、口がなってないわよ後輩君」
軽く冗談を言い合う。親しそうだ?これが田舎の親しみ易さだ、ちなみに3年間ここに通っているが、この人僕知らないよ。話しかけられて、すごくびっくりしたよ。マジでこんな人いたか?記憶にない…俺ってば頭の中数式で埋まっちゃった?
「楽しいかい、学校生活は?」
唐突に聞かれたが、
「進学校だから堅苦しいかと思ったら、俺と同じオタク結構いて安心した。最初に出来た友達はオタクじゃなかったけど。」
はっはっはっーと棒読みの笑い声を上げながら言った。
「っと、しゃべってないで会計だったね。しかし、主人公最強やら成り上がりのハーレム系ばっかだねこれ、もしかして主人公羨ましいーとか思いながら見てんの?」
「中々、知ってるのね店員さん、俺は主人公達が楽しそうだから見てるの、別に主人公羨ましいなんて思わないよ」
「意外だね、大抵の人はヒロインを嫁とか言うオタクがいるのに」
確かにいるなぁー、そういう人も
「俺も思ったこともあるけどヒロイン達は主人公のものだし、それに俺はハーレム系なら修羅場が面白くて見ているのもある。」
「中々黒いねー君」
みんなにも言われたわーそれ。
「これなら大丈夫かな……」
「?なんか言った店員さん?」
「ううん、何も、」
気のせいか?耳は良い方だったはずだが…、
「ねぇねぇ、もし異世界に行けたらどんなことしたい?」
「いきなりだな、もちろん剣と魔法のファンタジーな世界で、ほのぼのしているところもあって、現代の知識を使って悠々自適に過ごしたい、あと銀髪や白髪になってみたいし、隠れチートみたいなものも欲しいなー、全部ラノベの受け売りだけど。」
すると店員さんが
「いけるといいねそんな異世界に」
「あぁ、さすがに見知らぬ人の為に魔王とか倒したくないし、俺にそんな正義感ないし」
「はは、確かに私もしたくないなそんなこと、ただ隠れバグキャラとか面白くない?」
「おー、わかってるねー店員さん。」
「店員さんじゃなくて、このは先輩でいいよ後輩君」
「俺も新太でいいですよ先輩」
お互いに笑い合う、すると
「じゃあ、お会計3万円になります。しかしポイント3000ポイントはさすがに異常だよ自重しようねー。」
「それが俺の性さ」
「かっこ良くネタに走っても意味ないよ、まったく親御さんが頭抱えてるよ」
「それを言われたら、ぐうの音も出ない」
「マジで、親御さん頭抱えてるの!?」
本当に親には理解されないのは辛いよ?
「まぁ頑張れこれから大変だと思うけど」
「まぁ、これだけラノベ持ち帰ればな、」
マジで俺の親卒倒するんじゃないか?
「そう意味じゃないけど……、まあそれじゃ、良き異世界召喚がありますように、」
祈るように手を合わせて俺に言った。
「このは先輩、中々ノリいいです……ん?」
ね、と言おうとした時足元に幾何学的な模様が輝いていた。ある世界から見ればそれはものすごく高度なものだと卒倒しているが、今の新太には、分からなかった。ハッとしてこのは先輩を見ると笑顔で手を振りながらこちらを見ている。オタクである俺は察した。異世界召喚であると、
「マジでですか〜い」
俺の意識はそこで途絶えた。



「んぅー、いつの間に俺は寝ていたんだ」
確か、ラノベを買ってこのは先輩と話をしていて…
「で、どうなったんだっけ?」
そう思い、周りを見渡すとまさに異世界の大平原!そして周りは森だけなんということでしょう!まさにエデンのような光景です!
誰が匠の技だコラ、虚しいツッコミが心の中でこだましている。こだまでしょうかいいえ…待て待て、これじゃあ永遠に1人ボケツッコミになっちまう!
「まずは落ち着いて、持ち物チェックだ、財布、スマホ、ラノベは?」
アレ?3万円で買ったラノベは?ドコ?
「俺の宝物ーー!!」
神よ私に慈悲はないのか!俺の半年間の我慢と苦労を返せー!


「まあ、とりあえず異世界だろうここは、きっと」
とりあえず落ち着いてきた俺は冷静に状況を確認し出した。
「こうゆう時は、ステータスオープン」
そう叫ぶとウインドウでも開くと予想、それは正解だった。

加奈次 新太   16歳   男   レベル1
種族   人種
体力100
魔力200
物理耐性100
魔法耐性100
スキル   ユニークスキル   
              ・ 知識の書庫
              技能スキル
              ・弓術(レベル5)
               魔法スキル
              ・雷魔法(レベル2)・付与魔法(レベル1)
               特殊スキル
              ・深夜気分(レベル3)
               持ち物
              ・財布・スマートフォン・異空間バック
「ツッコミどころありすぎだろ…」
まず、押せるみたいだから押して、おぉ〜なった。詳細が見れる。
〜知識の書庫〜
あらゆる知識が取り出せる。取り出せない知識はない、ラノベが40冊集まると使えるようになるユニークスキル。

ラノベ消えたのこいつのせいかよ!つうかラノベ40冊如きで世界の神秘分かっちゃっていいの!?

落ち着いて次は、意味不明な
〜深夜気分〜
夜になると気分が高揚し、ステータスが1.5倍になる。なお徹夜明けだと2倍になる。

アホかこのスキル人を小馬鹿にしてんのか?夜にテンション上がるとか場合によっては通報もんだぞこれ。しかも地味にスキルレベル高いのが無駄に腹立つ。あっ、ここは異世界だから警察いないか。

あと、少し気になったのは
〜奉仕〜
家庭的なスキル。家事全般がそつなく出来るようになるスキル。

確かに地球じゃ、家事はそれなりに出来たがそんなんでいいのか異世界。

持ち物は、
〜異空間バック〜
容量に限りは無いが、バックの口より大きいものは入らない。

なぜここで少し現実的になる、そしてなぜ俺のバックがこんなに魔改造されているんだ、と思ったが、異世界補正かと無理やり自分を納得させる。
「次にステータスだな。魔力が高いから魔法使いか俺は、確かに雷魔法が使えるがどうやって使うんだ、詠唱みたいなのいるの?厨二病発表会みたいで嫌なんだけど取り敢えずそれは置いといて折角だから、」
前の木々に向かって、
「雷よ紫電の如く貫け!」
即座に考えた詠唱。決まった思ったが何も起こらなかった。
「…………うぉおおー!!」
はずいこれは凄くはずい、何が雷よ、だよ!
穴があったら入りたいとはこの事かーー!
「どうすれば、って【知識の書庫】あるじゃん」
今更ながら気付く。馬鹿か俺は、
「どうすんだこれ、【知識の書庫】発動!」
あぁ、また俺の厨二魂が火を吹いてしまった。このネタ一回やんなかったっけ?
すると、
 ハイ、マスター。【知識の書庫】です。 
「うお!頭の中に声が響いた、もしかしてナビゲーションみたいなものか【知識の書庫】は」
 首肯です。マスター。
なんともナビゲーションなしからぬ人間のような喋り方だな。
 否定。私は人間ではありません。子供は産めますが。
「あ、聞かれてたのね心の声。って子供産めるて、どうゆうこと?というかどうやって?」
 返答。人型になる事ができます。
マジデスカ?
 首肯です。
すると、目の前が真っ白になり1人の少女が現れた。その姿はモデルが裸足で逃げ出すような美少女で、髪は金髪ロングで身長は俺が175くらいだから、150後半くらいか?そのくらいで胸は貧乳では無いが身長に比例したらこのくらいの大きさか。
「マスター、今何か失礼な事考えましたか?」
「イエ、ベツニ。」
何故だろう、失礼な事は言っていないと俺は思うのに有無を言わせぬこのプレッシャーは。
「人型になれるのはわかったが、何て呼べばいい?」
流石に、知識の書庫ちゃんはない。
「マスターが付けて下さい。ネーミングセンスに期待します。」
「じゃあ、リノで。」
「わかりました。これからはリノとお呼び下さい。」
「でさ、リノ。魔法ってどうやったら使えるの?」
「決まった詠唱を使えば出来ます。無詠唱のスキルが手に入れば、イメージだけで使用できます。」
「スキルはどうやって手に入れるんだ?」
「マスターの場合、特殊なため2つの方法があります。1つ目は、持っている人のやり方を見て真似をしてみて習得する事です。これは成功するまで時間がかかります。もう2つ目が、魔法スキルのみですが、覚えたい魔法を直接くらう事です。これは危険ですが、生きていたら覚える事ができます。マスターの場合、無詠唱ぐらいだったらその妄想力の高さで何とかなると思いますが?」
「しれっと俺の心の傷に塩を塗らないで」
「まあ、やってみましょう。」
「わかったよ」
俺は、雷魔法が使えたから空から降ってくるイメージで、するといきなりズドンと音がした。集中するために目を瞑っていたのだが、目を開けると木に直撃したのか、木が燃えていた。
「ちゃんと見ておけばよかった」
俺の意識はまた途切れた。


「んぅ?あれ俺は何を」
辺りを見回すと、辺りは荒野だった。そして冒頭に戻る。
「何故こうなった」
ひとりでに呟くと、
「マスターの雷魔法が木に当たり、木が燃えてそれが森全てに飛び火しただけです。」
俺を見下ろしながら整然として報告してくれた。……………見下ろしながら?あれそういえば、頭が少し高いような、そして顔を覗き込むようにしている事から、
「俺は膝枕をされているのか」
理解したそして、
「ありがとうございます!!」
っと高らかに叫ぶのであった。


 



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