やがて枯れる花たちへ

こむぎ子

子供部屋には帰れない

少女は部屋でうずくまっていた。萎んだ風船にはカラフルな「Happy  Birthday」の文字が並び、喜びが残されていた。私はハサミを持って風船に切り込みを入れた。何の音もならず、静かに喜びは抜けていった。空虚な部屋。祝うものはなくなった。私は少女の手を取り部屋を出た。

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